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超弩級超重ゴーレム戦艦 ヒューガ  作者: 藤 まもる
第3章 ヒューガ誕生編
28/75

第24話「デーモンキング・シップ」

 なにゆえ、もろもろの民は嘆くのか。

 なにゆえ、もろもろの国は苦しむのか。


 エスパーニャのくびき、覇王の支配。

 悪しき者の座にすわらぬ人はさいわいである。

 殉教者は正しい者の道を知らされる。

 しかし、悪しき者の道は滅びる。



 見よ、遥か西海からこられる魔王の姿を、

 その巨大な島のごとき魔王船を垣間見て、

 もろもろの国は騒ぎ立て、恐慌を臨むだろう。


 魔王は言った。

 「わたしは剣をもって覇王を打ち破り、

 魔族をもって彼らを打ち砕くであろう」と。



 もろもろの民よ。

 恐れをもって魔王に仕え、

 おののきをもってその足に口づけせよ。

 さもないと魔王は怒り鎮まらず、

 あなたがたを道で滅ぼされるであろう。



 それゆえ、もろもろの王よ、賢くあれ、

 神に寄り頼むすべての者はさいわいである。


 ガラエキア歴代記  詩篇 覇王と魔王





    超弩級超重ゴーレム戦艦ヒューガ

   ⇒第3章 ヒューガ誕生編





 先を見通せない通路。

 俺、パッツィ、ソフィア、マリベル、マルガリータの順に、俺達はゆっくりと通路を進む。


 俺の数メートル先には、小さな寄生魔獣ブレインがヒュコヒョコと通路を進んでいた。


 通路の大きさは5メートル四方とかなり大きく、天井付近に魔法の明かりが等間隔で灯され、床の黒い敷石に光が反射する。


 雑貨迷宮10層のボス部屋から、この通路に入って早5分が経過した。

 歩き続けるも、いっこうに変化は見えない。


 唯一分かることは、床は緩やかな下り坂になっており、俺達はゆっくりと地下に向かっていることだけだ。


「ねえソール。これどんどん下に下がってるけど大丈夫かしら?」


 後ろにいるパッツィが不安げな声を上げる。


「ああそれは…… 大丈夫だよな、ブレイン?」


 俺の問いかけに、ブレインは前に進みながら、後頭部に目と口を作って答えを返す。


「ハッ、魔王様。この通路や向かっている先には魔獣はおりません。断続して続いてる『仲間』からのテレパシーでも確認しております」


「だってさ、パッツィ」


 10分後、ようやく突き当たりが見えたが、そこを右に折れると、相変わらずの長い通路が続いていた。

 傾斜はやはり緩やかに下に続く。


「それにしてもかなり長い通路ね。お兄ちゃん」


 歩く以外、特にすることもないので、今度はマリベルが俺に話しかける。


「ああ、天井見てみろよ、あの横筒は多分地上からの空気を通路に送ってるんだ。大掛かりな仕組みだな」 


「空気を送る魔道具。まるでお兄ちゃんの扇風機みたいね。この施設は600年前の魔王が作ったものかしら、私達は今からどこへ行くの?」


「そう、それが問題だ。ブレイン。下には何があるんだ?」


「……私もこの目で見るまでは確信が持てません。まずは実物を見て見ましょう」


 ふむ。実物というと、何らかの物体があるということだな。

 何だろう、前魔王の財宝とか墓とかかな?

 

 今度の通路は短かった。

 5分後に再び突き当たり。

 再び右に折れると、またしても下に向かう通路だ。


 どうやらこの通路は、コの字の形で地下に向かうようだ。

 10分後、突き当たりに到着。

 再び右に折れると通路があったが、下への傾斜はなく、水平な通路になっていた。

 ブレインが声をかける。


「ここが最後の通路です」


 皆でしばらく進むと、唐突に通路が終了。

 その先は巨大な部屋があった。

 だが薄暗くてよく見えない。

 ブレインは躊躇も無くその部屋に入る。

 続けて俺達もおっかなビックリで部屋に入った。


「こ、これは……」


 その部屋を見回して俺は驚いた。

 いや、これは本当に部屋なのか……

 ここはさっきの通路と質感がまったく違う。


 床や柱も金属で出来ている。 

 そして通路側の金属壁を除いて、

 見渡す限り壁が見えなかった。


 どこまでもどこまでも空間が続く。

 パッツィ、ソフィア、マリベル、マルガリータの驚嘆の声が、部屋の中に響く。


「凄く広い部屋ね。果てがないわ」


「おおー!」


「見渡す限り全部鉄だわ。何かの建物かな……」


「……ここは何? 場所はどこ?」


 最後のマリガリータの問いにブレインが答える。


「ここは左舷甲板直下、第4デッキです。やっと確信が持てました」


「……まさか、この大きさ……」


「甲板…… これが、伝説のあの…… あの魔王船の中だっていうの?」


 マルガリータとパッツィが驚愕の表情を浮かべる。

 んん、魔王船って何?

 俺はパッツィに魔王船について聞いた。


「魔王船というのは、西の果ての海から魔王が乗ってきた船よ。伝承が少ししか残ってないけど、島のように巨大な船で、鉄でできていて、どんな攻撃でも跳ね返すことが出来たと言われるわ。でも残骸も何も見つからないから、ただのおとぎ話だと思っていた。まさか実在したなんて……」


 パッツィは放心したように暗闇を見つめた。

 ブレインは続けて皆に話しかける。


「それでは階段で下に降りましょう。第7デッキで私の『仲間』が皆さんを呼んでいます」





「光闇魔法――――光玉ラズ・ボール


 マリベルが魔法を使い周囲を明るくした。

 船内や階段室が薄暗いためだ。


 付近にあった階段でどんどん下に下りる。

 階段も鉄製で、カンカンと降りる足音が周囲に響く。

 どれくらい降りたろうか?


 恐らくだが、ビルでいえば7階相当分を降りた気がする。

 横にも縦にもとんでもなく大きな船だな。


「着きました。ここが第7デッキです。」


 ブレインと俺達は階段室から出た。

 そこもまただだっ広い空間で、倉庫のようにも見えた。

 そこを艦首側に少し歩いて、通路に出る。


 通路を少し進むと、少し大きなホールに出た。

 そこには巨大な鉄の扉がある。

 俺達が扉の前に立つと、それを待っていたように巨大扉は稼動音を響かせつつ、ゆっくりと開いていった。

 巨大扉の内部の部屋に魔法の明かりが灯る。


「では参りましょう」


 ブレインの先導で、俺達は巨大扉のある部屋に入った。

 その中の光景に俺は思わず息を呑む。

 で、でかい!


 奥にいたのはブレインと同じ寄生魔獣だ。

 だが遥かに大きい。縦横15メートルほど、高さは5メートル。

 巨大な肉の塊で、血管がドクンドクンと脈打ってある。

 肉塊のいたるところに、口や目があり、大きな目玉や、縦に裂けた大きな口は数メートルの大きさがある。


 だがブレインとは違う特徴もある。色だ。

 俺が召喚したブレインは緑色だが、

 魔王船の寄生魔獣は真っ赤だった。

 それがよりグロテクスさを目立たせる。

 デカイ寄生魔獣って可愛くないな。

 まだブレインのが愛嬌があるわ。


 魔王船の寄生魔獣は、全ての目で俺を注視している。

 やめてよね、そんなに沢山の目で見つめられると照れるじゃない。

 と、とりあえず軽く挨拶しとくか。


「あっ、どーもこんちわ。俺、一応魔王やってるソールヴァルドです。ヨロシクー」


 真っ赤な寄生魔獣はしばし静止。 

 おもむろに縦に裂けた巨大口を大きく開き。

 そして吼えた。



ゥォオオオオオオオオオオオオォォォゥゥ!!!!



 凄まじい大音量に空気が震える。

 俺達は耳を塞いで、顔をしかめた。





 真っ赤な寄生魔獣が突然吼えたので、俺はテンパった。

 何、ひょっとして怒らせたのか。

 やっぱ挨拶が適当すぎたのが悪かったか?

 こ、こういう時はブレインに聞こう。


「な、なあ、なんでいきなり吼えたんだ。ひょっとして今ご機嫌斜め?」


「いえ、魔王様に挨拶をしております。『魔王様におかれましては、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。さて、春光うららかな季節となりましたが、500年以上待ち、ついに魔王様に出会うことが叶い、歓喜に絶えません。前魔王との約束も果たされました。はなはだ浅学非才の身ではありますが、何とぞ魔王様のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。』と申しております」


「そ、そうか……」


 巨大な心臓みたいな気色悪い姿だが、えらく礼儀正しいな。

 人は外見のみで判断するべきでない。

 ということか、いや、人じゃないが。


 というか、春光うららかな季節って何だよ。

 こんな暗い地の底で季節も何もあったもんじゃないだろう。

 俺は疑問点をブレインに質問する。


「ところで、前魔王の約束って何?」


「さて、そこまでは私も分かりかねますが……」


 すると真っ赤な寄生魔獣がブルブルの震え、体の一部が伸びて触手になり、ブレインのほうに伸びてきた。

 それを見てマリベルは「ひっ」と言って顔を引きつらせる。

 マリベルはグロ耐性が低いようだ。


 触手の先端から、ポロンと赤黒い肉玉が落ちてきた。

 ブレインはそれを見て、肉玉を食べた。

 ああ、こいつは知識玉というやつだな。

 これで膨大な情報の受け渡しができるんだった。


「ふむ、なるほど……」


「何か分かったか?」


「はい。前魔王は、次の魔王誕生を予期していたようですな。この地を去られる時、魔王船をここに封印していったようです」


「つまり俺のことか。それで俺に何をやらせるつもりだった?」


「過去の記憶については抹消されています。ただ前魔王から伝言を一つ。『船の装備と記憶はほぼ抹消した。そのほうが次期魔王もより楽しめるだろう』とのことです」


「なんだよそれ…… 好きにしろってことか?」


 よく分からんが、前魔王は俺にヒントもくれる気はないらしい。

 放心していたパッツィが気を取り直す。


「まずは今分かる情報を分析しましょう。そこにヒントが隠れているかも知れないし」


「そうだな、とりあえずは…… この船の諸元は分かるか?」


「ハッ、基準排水量41万1千トン、満載42万6千トン。全長は560メートル、全幅180メートル。主機関は6連装魔導ポンプジェット2基12軸です。最大速度は16ノット。最大乗員2万5千人。装甲は鋼鉄、アダマンタイト、ミスリルの複合装甲となります」


「ちょっと待て、42万トンだって……」


 俺は魔王船のあまりの大きさに絶句した。

 この世界で使われている船は、木造帆船が主流だ。

 鉄で装甲された軍用の木造装甲船はあるが、最大でも3千トンぐらいだぞ。

 600年も前に、こんな凄まじい船があったのか。


 たしか、日本にあった世界最大の戦艦である大和が7万トン。

 アメリカの原子力空母が10万トンだ。

 地球最大の船は北欧の石油タンカーだな。

 たしか56万トンだったはず。

 いずれにせよ、この魔王船は、

 地球でもおいそれと見れるような規模の船ではないぞ。


 パッツィ達はポカンとしている。

 やっぱ女の子は、船にはあまり興味がないか。

 この魔王船がどれだけ常識ハズレの船か、

 上手く理解していないようだった。

 パッツィは疑問を呈す。


「うーん。凄く大きい船だということは分かったわ。でもこれだけ大きいと、動かすにも魔力が随分かかるでしょうね」


「それもそうだな。おいブレイン、こいつの動力源は何だ?」


「魔力結晶です。7つ星以上の魔力結晶が推奨されます。現在魔王船にはありません」


「7つ星以上の魔力結晶!! そんなの国宝、いえ伝説レジェンド級の魔力結晶じゃない」


 パッツィは驚きの声を上げる。

 パッツィが言うには、

 民間や軍用で用いられる魔力結晶は5つ星まで、

 6つ星魔力結晶は、国宝として王族達がいくつか保管しているらしい。


 しかしそれ以上の魔力結晶は、

 文献には記載されているものの、

 ここ数百年見つかってはいないそうだ。


「つまり、この船は動かない。今のところ無用の長物なわけか」


 俺は心より安堵した。

 これがいつでも動かせるとなったら、

 いつの時期にか、俺達がややこしい事態に巻き込まれるに決まっている。


「ねえソール。この赤肉団子、天井や床を突き抜けてるよ。どこまで続いてるんだろう?」


 ソフィアが真っ赤な寄生魔獣にこわごわと近づき、寄生魔獣の上下のつなぎ目を観察してる。


「たしかに突き抜けてるな。おいブレイン。あれはどこまで続いてる?」


「ハッ、一言で言えば『全体に』です。この魔王船の装甲の中層、床と床の間。あらゆる所に埋め尽くされております。これにより彼はこの船の全てをコントロールしているのです」


 あまり想像したくない光景だ。

 なるほどな。

 つまり手甲剣に搭載されていたブレインのように、この金属の船は、あいつの体の外殻というわけだ。


 ということは見方を変えれば、この魔王船は一種の巨大な生物とも言えるわけか。

 ところで、


「なあ、あいつずっと黙ってるけど、ひょっとして喋れないのか?」


「はい。どうやら彼は相当の巨体らしく、この船を管理するためだけに進化した模様。思考は正常に行なわれていますが、喋る能力を失っております」


 そうか、赤い寄生魔獣は吼えることしかできないのか、俺はてっきり、召喚する魔王によって寄生魔獣の色が違うのかと思ったが、この船の管理の為に特化したわけだな。


 これで大体の情報は得た、

 時間も無いしそろそろ帰るとするか。

 聞きたいことがあれば、また来ればいいし。

 しかしその前に、是非とも立ち寄りたい所がある。





 俺達は、赤い寄生魔獣に別れを告げ、

 長い階段を上へ上へと登っていく。


 目指す場所は第1デッキ。

 最上部甲板だ。

 一度魔王船の全体の外観を見ておきたいのだ。


 階段を登りすぎて足がダルくなってきた頃、ようやく甲板に出ることができた。


「こいつは……すごいな」


 外に出て周りを見渡し、俺達は絶句する。

 金属製の船体の大きさも凄まじいが、その巨大船体がすっぽり入る、巨大な天然洞窟もまた凄まじくデカイ。


 洞窟はとても暗いだろうと予想していたが、意外にも船の外観が分かる程度には、明るかった。

 天井を見ると、巨大なクリスタルが光っていた。


「あれは光のクリスタルです。あれの真上が雑貨迷宮の横にある古代遺跡となっています。古代遺跡の巨石が太陽の光を吸収し、光のクリスタルに送っているのです」


 なるほど、古代遺跡の下がこんな構造になってるなんて、夢にも思わなかったな。


 改めて船を観察してみる。

 俺達が立っている場所から、200メートルほど先に船の舳先が見える。

 船体の形は地球でいう「三胴船」に類似しているが、実際には船体は3つには分かれていない。


 船の下には海水がある。

 深いところでは外海と繋がっているのだそうだ。

 前魔王がこの洞窟とクリスタルを見つけて、魔王船を封印。

 出口を岩で固めたのだそうだ。


「お兄ちゃん、あれ……」


「ああ、城……だな」


 マリベルが袖を引っぱるので、俺は艦首側から艦尾側に目を向ける。

 そこには巨大な城が立っていた。


「あれが魔王様の居城、魔王城です」


 ブレインが解説してくれる。

 この巨大な船の中心部分。

 地球の普通の船なら艦橋が立っている部分に、西洋風の大きな城が立っていた。


 第3デッキから立っている、四方150メートルほどの円筒形の基礎の上に、重厚感のある城はあった。


 城を正面から見てみれば、入り口には門衛門らしきものがあり、その中をくぐると張り出した小さな城下町のような場所に出る。

 その先には、魔王城の城壁があり、周囲には10メートルほどの外殻塔が4つそびえ立つ。


 城壁中央部には、城本体である大きな主塔ベルクフリート

 その上には、2つの側塔に挟まれた居館バラスがある。

 城の高さは35~40メートルあるか。

 リリアでは見ることがない、巨大な城だ。


 船の艦橋部分に大きな西洋風の城が立っているので、俺から見れば違和感バリバリだが、

 パッツィ達はこんな形の船を初めて見たためか、呆然としてはいるが驚いてはいない。

 まあ何にしろ、斬新なデザインの船だな。



 俺達は城付近を見物することにした。

 門衛門を通って、小さな城下町らしき場所に出た。

 600年の時が原因だろう。

 城下町は廃墟となっていた。


 木製の屋根はすべて朽ちて消え去っており、

 後に残るのは石造りの壁のみ。

 家の中を見てみる。


 朽ち果てた木片。石のテーブル。

 割れたコップにポッド。

 ボロボロの布らしきもの。

 様々な物が床に転がる。


 今はただの残骸だが、

 たしかに昔、ここに人が住んでいた痕跡があった。

 600年前はどんなドラマが、どんな物語があったのか。

 俺は様々な思いを過去に馳せた。


 城下町を越えて、俺達は魔王城直下の通路を進む。

 ここにも様々な部屋や残骸があった。

 城に入ることができるホールや、魔導リフトの乗り場もあった。

 俺達はそれを横目に、城の艦尾側に出る。


 そこには闘技場コロシアムがあった。

 闘牛もできそうな大きさだな。

 そこを通り過ぎ、艦尾側の門から外に出る。

 そこでも俺達は驚きの風景を見ることになった。 


 地球の船で言うなら、艦橋のすぐ後ろ。

 煙突がある部分に山と池と森があったのだ。

 ブレインが再び解説する。


「魔王様。あそこに見えるのは魔界山、魔王池、深魔の森と呼ばれていました」


 ふむ。

 まさか船の上に山やら森やらがあるとは思わなかった。

 なかなか趣がある風景だ。


 合理的な地球の船と違い、一見すると無駄と思える自然がある。

 これは長期航海の癒しを考えてのことと思う。

 ただここまで来ると、この魔王船は船というより、自走する島のように思えるな。


 俺はふと深魔の森を見た。

 何か視線を感じた気がしたからだ。

 しかし森に動くものは見えない。

 気のせいか。

 あるいは鼠ぐらいいるかも知れないな。




 さて、見るべきものは見た。

 そろそろ帰るとするか。

 日が沈むとこの洞窟内も真っ暗になるだろう。

 俺達は通路から、再び雑貨迷宮に戻る。


 向かう時は皆緊張していたが、帰り道はわいわい騒ぎながら帰った。

 そりゃ伝説の魔王船が実在したのだから、ハイテンションにもなるわな。


「お兄ちゃん。また来ようね」


「ああ、今度は魔王城を探検してみようか」


 マリベルも乗り気だ。

 魔王船はもう動くことはないだろう。

 あの赤い寄生魔獣も、500年以上もひとりぼっちで魔王船を守ってきたのだ。

 寂しいだろうから、時折はあいつの様子も見てやろうか。




    第24話 「デーモンキング・シップ」

   ⇒第25話 「ヒューガ」



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