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超弩級超重ゴーレム戦艦 ヒューガ  作者: 藤 まもる
第3章 ヒューガ誕生編
29/75

第25話「ヒューガ」

 家に戻った俺達のパーティー「ケンタウロ・マキア」は2ヶ月の長期休暇に入った。


 理由の一つとしては、闘牛祭がある。

 今年の夏も俺は闘牛士(マタドール)として、闘牛に出演することにしている。


 またこれからの季節は台風、バアルの風も多く来るだろう。

 それに武具迷宮の情報収集も行なわなければならない。


 まあ魔王船は見つかったが、動かす手段がないからな。

 俺達にはどうしようもないことだし、あえて動かす理由も無い。


 というわけで、当初の方針は変わらず、武具迷宮攻略を目指すことにしたんだ。



 とりあえず今日からしばらくは、俺は骨休みだ。

 今日は図書館で、魔王の歴史でも調べてみるか。

 と考えながら居間でマリベルと喋っていると、呼び鈴がガランゴロンと鳴った。


 俺は玄関に向かいながら、客に呼びかける。


「はーい。どなたですかー?」


「ソール。あたしよあたし。ソフィアだよ」


 おお、ソフィアか。

 そういや迷宮でデートしたいって言ってたな。

 しかし昨日の今日かよ。

 焦りすぎだろうがよソフィア。

 とか思いながら扉を開ける。

 しかしソフィアの用事はデートではなかったようだ。


「ギルドマスターのホセさんが、ケンタウロ・マキアに話があるそうよ。明日の昼イチで総合ギルドに集合してくれって。パッツィの牧場にもギルドの使いが行ってるそうよ」


「ふーん。何の用だろ。心当たりが無いなぁ」


 特には誰も、ギルドにとって問題になる事件は起こしてないと思うんだけどな。

 どういうことだ?

 あっ、そういや俺達、雑貨迷宮10層クリアしたんだった。

 ということは、俺達のランクが上がるのか。

 全員1つ星から2つ星探索者にランクアップだな。


「うーん。まあそうかも知れないけど、いちいちギルドが呼ぶようなことかなぁ?」


 俺の推測にマリベルは疑問を持ったようだ。

 ま、明日のなれば分かるだろ。

 その後、ソフィアは用事があるとかで家に戻り、マリベルも友達と遊びにいったので,俺は一人で私設図書館に向かう。



 私設図書館に着いた俺は、魔王関連の本を調べる前に入り口付近に置いてある新聞を手に取る。

 あいかわらずここはガラガラだな。


 レオン王国では新聞が週に1回発行されている。

 が、あくまで発行されてすぐ読めるのは、王都レオンだけだ。

 こんな田舎だと、読めても1ヶ月遅れの新聞しかない。


 まあ周辺諸国の情勢や事件なんか読んでもしかたないんだが、俺はグローバル・スタンダードな男だからな、国際情勢は気になる。


 というのは冗談で、単純に今の国際情勢が少々キナ臭くて、やたら気になるんだよ。

 俺は新聞の一面を読む。



【王国北方国境線で再び交戦】

 5月28日未明。レオン王国北方国境線にアルコン帝国兵が侵入。

 アンドラ近辺で、我が勇敢なるレオン王国国境警備隊と戦闘を行なった。

 王国兵は2名負傷。アルコン帝国兵は無様にも逃げ出した。

 レオン王国陸軍は「アルコン帝国の傍若無人な振る舞いには、無慈悲な鉄槌を振り下ろす」と発表した。



 まあ、これはあれだ。

 たいしたことはない。

 レオン王国北方は、アルコン帝国と直接国境を接しているので、こういう紛争は年がら年中起こっている。


 両方ともやる気はないので、大抵ケガして終わりだ。

 不運な奴が年に10人ぐらい死ぬことがあるが、大規模戦闘はない。

 両方の軍が予算獲得の為にやるプロレスみたいなもんだ。

 さて、次の記事は……


 

【ルシタニア王国お家騒動、ジロカストラで騒乱か!】

 6月2日午前、ルシタニア王国西部の町、ジロカストラで騒乱が起き、憲兵隊が出動する騒ぎとなった。

 騒乱の中核は、第2王女派の西部諸侯と思われ、引き続き憲兵隊が調査を行なっている。


 ルシタニア王国消息筋によれば、鷹王キュリアクリス亡き後、レオン王国と友好的な第1王子レアンダーが王位についたが、これに不満を持つ、不貞第2王女キュテリアと西部諸侯が暗躍して、現王を追い落とそうとしていると考えられる。



 この記事読めば分かるが、ようはレアンダー王がレオン王国派で、第2王女キュテリアがアルコン帝国派だろう。

 この2派でルシタニア王国で代理紛争してるわけだ。

 ルシタニア王国消息筋とか、どう考えてもレオン王国の諜報員だろうなぁ。


 こいつは重大だな。俺が住んでるバレンシア領の北、バレンシア湾を越えてわずか550キロ先にルシタニア王国はあるからな。

 ここで戦争があるとこっちに飛び火しかねないんだ。

 次の記事も気になる



【アルコン帝国海軍 測量船が領海に侵入】


 5月初頭から6月にかけて、アルコン帝国の測量船が、レオン王国の領海であるカナリア諸島に侵入したと海軍から発表された。

 侵入は計12回行なわれ、海軍は警備を強化する方針だ。



 これもヤバイな。バレンシア領から海を隔てて西に400キロ行くと、パルマ島がある。そのすぐ北西がカナリア諸島だ。

 アルコン帝国は、常々ここを自国の領土と主張している。

 実効支配しているのはレオン王国だが、この展開は前世の日本でもあったからなぁ。


 ここで紛争が起きて海運に影響があると、バレンシア領の物価が高くなる可能性もある。

 アルコン帝国は伝統的に南下政策大好きだからな、せめて俺が生きてる間は、戦争はやめて貰いたいもんだ。


 新聞を一通り読み終えた俺は、魔王関連の書籍を探すために席を立った。





    超弩級超重ゴーレム戦艦ヒューガ

   ⇒第3章 ヒューガ誕生編





 翌日。昼に総合ギルド前で待ち合わせ。

 俺とマリベルが待っていると、ソフィア、パッツィ、マルガリータがやって来た。


「それじゃ行こうか」


 俺達はギルドの建物に入った。

 受付にギルドマスターであるホセ・アントニオさんがいた。


「どーもです。ホセさん」


「おお、ソールヴァルド君。よく来てくれた。奥に部屋があるからそこで話をしよう」


 俺達は案内されるままに部屋に入った。

 椅子に着席すると、ギルド職員の獣魔猫族の女性がお茶を出してくれる。

 俺達の正面にホセさん。

 隣にお茶を出してくれた女性が座り、俺に話しかけてきた。


「あなたがソールヴァルドさんですね。私はギルド職員のロッシ・コダス・ドミンゴと申します。妹が昔お世話になりました」


「ええと、コダス・ドミンゴって、ああ! ひょっとしてメイドのナタリアさんの?」


「はい。ナタリアは私の妹です。私はギルドでサブマスターをしております。どうぞよしなに」


「ああ、これは気づきませんでした。よろしくお願いします」


 このロッシさんもギルドでたまに見かけたが、まさかナタリアさんの姉とは思わなかった。

 言われてみれば顔の作りがナタリアさんに似てるわ。

 ははぁー、世間というのは狭いね。


 だが気になることがある。

 俺達とホセさん、ロッシさんで計7人だが、置かれたカップは9個ある。

 他にも誰か来るのか。

 と思ったら扉をノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


 とホセさんが答えると、新たに2人の男が入ってきた。

 俺は2人を見て目を剥いた。

 2人は軍服をきていたのだ。

 これはバレンシア領軍のもの。

 なんでここに軍人がいるんだ?


 2人は席について自己紹介を始めた。

 1人目は黒髪、緑目で口ひげが生えた、がっしりした体格の人間族の男だ。


「どうも初めまして、私はリリア陸軍基地の基地司令、マリオ・ベルモンテ・カンポといいます。ヨロシク」


 2人目は、金髪、青目の背の高いヒョロッとした人間族の男。

 

「初めまして、基地司令副官のサンチョ・ブエノ・ボリャンです」


 な、なんで基地司令なんかの偉い人が出てくるのか。

 俺達何かやったか、いや、まさか……

 混乱する俺達にマリオ司令が話しかける。


「ケンタウロ・マキアの皆さん、初めまして、そこの彼がソールヴァルド君ですな。いやぁ、去年の闘牛祭は私も見物してましてな。見事なムレータ捌きで感心して見ておりました。」


 俺は何故かマリオ司令としばし闘牛の話を続けた。

 にこやかな笑顔のマリオ司令に、当たり障りのない返事を返す。

 マリオ司令は闘牛観戦が趣味で、リリア闘牛場にはよく来ているそうだ。


「それでは、そろそろ本題に入りましょうか」


 マリオ司令との話がひと段落してから、ホセさんがそう切り出した。


「まずは昨日の説明を。雑貨迷宮最後のボスの部屋には、総合ギルドの魔道具が仕込んであってね。キングゴブリンが倒されると、こちらで分かるようになっている。君達も知っての通り、あのダンジョンコアの台座はギルドで保護しているものでね。5つ星魔力結晶は売ると結構な値段になるので、キングゴブリンが倒されたら、一応盗難されてないか我々でチェックするんだ。ギルドの結界も完璧とはいいがたいのでね」


 続いてロッシさんが説明を続ける。


「昨日、キングゴブリン討伐の信号が来たので、私はギルドを出発して雑貨迷宮に向かい、迷宮鍵で10層に到着。あなた方が魔獣を倒していたので、簡単に台座にたどり着きました。そうしたら、壁に大きな通路があったんです」


 あちゃー、最悪だ。

 いきなりバレてんじゃないか。

 俺は恐る恐るロッシさんに聞いてみる。


「そ、それで、通路には入ったんですか」


「はい。決死の覚悟で突入しました。そして地下であなた達が『魔王船』と呼ぶ大きな船を見つけました。私は元冒険者で斥候です。遠くの声を聞く魔法も使えます。そして聞いてしまったのです。奇妙な魔獣があなたを『魔王様』と呼んでいることに」


 ロッシさんは申し訳なさそうな顔をする。

 森で視線を感じたのは、気のせいではなかったわけだ。


「私はあなた方が戻ってくる前に、通路から雑貨迷宮に戻り、入り口であなた方が出てくるのを確認。あの時間、あなた達以外に探索者がいないことは確認しています」




 部屋は静まりかえった。

 俺がパーティーの皆の様子を見ると、

 一様に沈痛な面持ちを浮かべていた。


「いや、そこまで怯えなくとも良いですよ。私は別にあなた方、特に魔王とされるソールヴァルド君に不利益なことはしないと約束します」


 マリオ司令は明るい口調で皆に話しかける。


「わがレオン王国は伝統的に魔族との友好を重視しています。魔王は魔族の唯一の王だとか。ここで『魔王様』をいじめたとあっては、魔族との内乱になりかねない。ルシタニアじゃあるまいし、アルコン帝国を前にして、そんなことをする余裕はありませんな」


 確かにマリオ司令の言うことは嘘ではないだろう。

 しかし、できれば俺と魔王船を味方に引き入れたい。

 ぐらいのことはマリオ司令も考えているだろう。

 俺はマリオ司令に質問する。


「なるほど。しかしここに来られたということは、魔王船の情報を知りたいわけですね?」


「無論。あの伝説の船ですからな。それにこの時期に魔王と魔王船が出現した。これを気にするな、というほうが無理でしょう。できれば、ある程度の情報を知らせていただきたい。その代わり、我々はあなた方への干渉を極力控える。信用できないなら誓約書も書きましょう」


 さて、マリオ司令からボールが投げられた。

 俺はどう投げ返すか。


 いずれにせよ、この話は領主まで行くだろう。

 そうなれば情報を隠しても、様々な手段で調査されるだろうな。

 ならば情報を流して信用を得る方がいい。

 なにせあの魔王船は……



「分かりました。ある程度の情報はお話しましょう。誓約書は書いてくださいね」


 それから俺はステータスプレートを提示して、職業が魔王であることを確認させる。

 魔王船に関しては、知られても問題ない情報を話した。


「……それでつまり、あの魔王船は動かないということかな?」


「そうです。稼動には7つ星以上の魔力結晶が必要になります」


「7つ星以上……」



 フフフ、そうですよマリオ司令。

 あの魔王船は無用の長物なんです。

 場所が場所だけに解体して資源にすることもできません。

 まあ、くやしかったら7つ星以上の魔力結晶を持ってくるんですな。

 これで俺を利用するメリットは、ほとんど無くなったわけだ。


「というわけですので、あの船を動かすことはできません。俺も特に野心は無いので、リリアで慎ましい生活を送れるならば十分ですよ」


「なるほど、よく分かりました。ご協力感謝します。最後にですが、我々にもその魔王船を視察させていただきませんか? 無論、この部屋にいるメンバーだけで」


 視察か。

 別に俺はいいと思うけど。

 振り返りパッツィの方に視線を向ける。


「この件は、ソールにまかせるわ」


 パッツィ以外の面々もそれで納得してるようだ。

 俺はマリオ司令に視察の了承の意を伝える。

 視察日は2日後に決定された。

 俺は追加の注文をマリオ司令に出した。


「ああ、それと視察にもう2人追加して欲しいんですけど」




 話が終わった俺達は解散。

 俺とマリベルは家に帰る。


「お兄ちゃん。本当にいいの?」


「ああ、2人に育てて貰ったから今の俺がいる。だから2人にはこれを知る必然があるんだと思う」


 その夜。

 俺はイレーネとアベルに自分が魔王であることと、魔王船の視察に2人が参加することを要請した。





******

 2日後、俺、パッツィ、ソフィア、マリベル、マルガリータ。

 それに両親であるイレーネ、アベル。

 ギルドマスターと副マスターのホセさんとロッシさん。

 領軍のマリオ司令と副官のサンチョさん。

 計11名でリリア東門に集合。

 全員で雑貨迷宮へ出発した。


 なんでもいいが、なんでお前ら全員そんなにハイテンションなんだよ。

 イレーネは沢山サンドイッチやタパスを作ってるし、マルガリータはお菓子を、マリベルはお茶を準備してる。

 お前ら今から遊園地行くんじゃないんだぞ。

 まあ気持ちは分かるが。



 迷宮鍵を利用して第10層へ移動。

 魔獣を倒しつつボス部屋へ。

 イレーネやアベルも戦えるが、なぜかマリオ司令までレイピアを振り回している。

 副官とハイタッチもしてるし、この世界の大人は割とフリーダムなんだな。


 キングゴブリン戦では、俺達+ロッシさんで戦う。

 まず最初に魔法で両腕を潰し、後方に回ったロッシさんが、キングゴブリンの足の筋を切断してキングゴブリンを倒し、全員でたこ殴りにした。



 その後は、あのやたら長い通路を30分歩いて目的の魔王船に到着。

 イレーネは、


「あなた凄いわ。これが伝説の魔王船なのね」


 とやたら興奮し、マリオ司令は、


「うーむ。これが動かんとは、なんとも勿体無い」


 と悔しがった。

 副官のサンチョさんも質問してくる。


「ところで魔王船の推進方法は、魔法を使う魔走船なのですよね。魔導ポンプジェットとは?」


「艦尾に筒がついていまして、筒の前部から海水を入れて、後部に圧縮して噴出することで推進力を得る方式でして、それをポンプジェットと呼んでいます。当然海水を送るのに魔法を使います」


「なるほど……」


 まあ、俺も詳しくはないが大体あってるだろう。

 この世界での船の推進方法は大きく分けて、帆走、機走、魔走に分かれる。

 帆走は帆に風を受けて進む方式で、魔走は魔法を使って推進する方式。


 機走は、地球で言うなら内燃機関で回すスクリュー等だが、この世界では、この種の技術は開発されておらず、構想はあるものの、まだ実験段階なんだそうだ。


「あの左舷にある丸いドームは、竜巣ドームかね?」


 マリオさんが、左舷にある丸ドームの施設2つを指差して質問。

 ブレインが答える。


「その通り、機能的には同じものです。魔王船では竜巣艦橋と呼んでいます」


「ふむ。600年前も使われておったのですな。あのドームは我々の竜騎基地でも使ってますが、それほど昔からあるとは思いませんでした」


 竜巣ドームは、竜騎とパイロットが待機する宿舎兼格納庫。

 野生の竜やワイバーンが作る竜巣を模して作られる。

 ここで竜を生活させると、ここを自分の巣だと記憶し、パイロットが気絶しても竜だけでドームに戻ってくる。


 現在のように沢山の竜騎が使用されるようになったのは、200年前からであり、それ以前は少数の竜が足として利用されるに止まっていた。

 歴史的には、いつ頃から竜巣ドームが使われているかはハッキリしない。

 



 昼になり、魔王池付近で昼食。

 食後パッツィが移送リングからサッカーボールを取り出し、なぜか皆で廃墟となったコロシアムでサッカーをした。

 おい、視察はどうなった。


 サッカーで1時間遊んだのち、やっと視察再開。

 とは言っても、第1デッキから第5デッキまでは、ひたすら何もないスペースが続くだけだが。


 前魔王の伝言どおり、中のものはすべて処分したらしい。

 必要な設備は魔力で召喚することができるそうだ。

 だから7つ星魔力結晶以上がいるわけだね。


 しかし第6デッキでは驚きの施設を見つけた。

 マリオ司令もビックリしている。


「こいつは、船の中に…… 港があるのか?」


 第6デッキ艦尾側中心部は海水に満たされていた。

 両サイドには金属製の桟橋も見える。

 いわゆる「ウェルドック」というやつだな。

 船の中にあるドックで、

 ここに小型艇や揚陸艇を入れることができる。

 この巨大な船体を上手く生かした施設と言える。


 奥には造船所のようなものも見えるので、小さな船ぐらい作れるかもしれない。

 この世界では、かなり先進的な施設といえるだろう。


 そして第7デッキ。

 皆さんお待ちかねのお化け部屋にご招待。



ゥォオオオオオオオオオオオオォォォゥゥ!!!!



「な、なんですかこれは!!」


「むう、ソールヴァルド君。こいつは威嚇してるのかね!?」


 赤い巨大寄生魔獣が吼える。

 マリオ司令と副官がうろたえる。

 イレーネとアベルもビビッてる。

 まあ賭けてもいいが、たいしたことは言ってない。


「おいブレイン、あいつはなんと言っている?」


「ハッ、『木枯らしが吹きすさぶころとなりましたが、皆様いかがお過ごしですか。皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。』と言っています」


 こいつ本当に季節の挨拶が好きだよな。

 しかし前は陽光うららか、とか言ってなかったか?

 今度は冬の挨拶かよ。

 しかも実際の季節は夏だし。


 そんなことを考えていると、

 マリオ司令が質問してくる。


「なあソールヴァルド君。そこの小さいのにはブレインという名前があるが、この赤い奴にも名前があるのか? 魔王船の名前も教えて貰いたいのだが」


「ああ、そういえば名前付けてないですね。」


 魔王船に名前を付けるのを失念していたわ。

 なにか名前を付けてあげよう。

 そうだな、何がいいか……


 やっぱ日本の船の名前がいいか。

 最新の船の名前でカッコイイのは、

 たしかヘリコプター護衛艦に日向ってのがあったな。

 日向、ヒューガ、うん。悪くない。


「よし、赤い寄生魔獣よ! 魔王の名においてお前に名前を授ける。お前の名前は今日からヒューガだ!」



ゥォオオオオォォォゥゥ!!!!



 赤い寄生魔獣は喜びの雄たけびをあげる。


 こうして赤い寄生魔獣。

 すなわち魔王船の名前は「ヒューガ」と命名されることになったのだ。




    第25話 「ヒューガ」

   ⇒第26話 「ラヴィング」


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