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(75)留学生とダンジョン(1)

「俺は今更卵に興味はないけど、スミナは良いのか?何も俺に遠慮する必要はないぞ?安全に不安があるならばネルもいるし」


「ううん。遠慮なんてしていないよ。自分のしたい通りにしているだけ」


 クラスが課外授業に意識が向き始めている中で、早々に不参加を表明したジニアスとスミナが温い空気を醸し出しており、自分の気も知らないで……と少々不機嫌になっている担任のロンドル。


「では、明日不参加の二人は自宅学習でお願いします。残りは通常通りに登校して頂きますが、普段以上に動きやすい恰好で来てください」


 そして一日の授業が終了する。


 この時点で、ソフィア達、留学生が祖国に帰るまで……残り2日。


「ふぁ~、たまには何もしないでのんびりするのも悪くないな~、スミナ」


「フフ、本当ね」


 ジニアスとスミナがアズロン男爵邸でのんびりしている時、既にチャリト学園からダンジョンに到着した三人の留学生と生徒達は、護衛の冒険者を紹介されていた。


「俺はドノロバだ。お前らの安全は保障する」


「俺はジリュウ。指示した行動以外をとらないようにしろ」


「俺はムスラム。突然走ったり、大声を出したりするなよ」


「俺はトステム。気楽に行きましょうか」


 この四人、以前ダイマール公爵の指示でアズロン男爵を襲撃しようとしていたが、ヒューレット一行が護衛についているために諦めた事がある汚れ仕事を請け負う冒険者で、全員がレベル9。


「あの四人、全員がレベル9よ!」


 一生徒として、四人の冒険者達の紹介を受けているソフィア達。


 当然ラビリアが鑑定するのだが、隠す素振りすらない冒険者達のレベルの高さに驚き、小声で二人に得られた情報を告げる。


 自国の国王は二力ではあるがレベル7、自分達でさえレベル8であるのだが、目の前の四人全員の冒険者達がその上を行っているのだ。


「ヒューレット様達と同じレベルですか。この国の公爵家の力も侮れないのですね」


 思わずそう漏らすソフィアだが、課外授業には一切関係がないので話はどんどんと進んで行く。


 目の前に集まっている生徒達の内ダンジョンの入り口に近い場所にいる生徒達からある程度ダンジョンに侵入させて、その後ろを冒険者が一人追随していた。


 ソフィア達三人はクラスメイトとの仲を少しでも深めようと思っていた時もあったのだが、ジニアスに対する行いの話を聞いてからはその気持ちは一切なくなり、逆に嫌悪感が増していた。


 その為、話しかけられないように最後方に三人で固まって侵入の時を待っている。


「最後はお前らだな。既に名乗ったが、俺はドノロバだ。これから向かうのは浅層じゃねー。安全のためには俺の指示には従ってもらう。良いな?」


「「「「「「はい」」」」」」


 周りを見回すと既に生徒達は自分達三人とヒムロ、レグザ、ビルマスが残っているだけだった。


 この三人と行動を共にするのかと思うと眉が寄ってしまうが、まだ見た事の無い卵の状況を見るためだと割り切る。


「そんな顔をするんじゃねーよ。この三人の公爵家の力でお前らは中層にまで行けるんだ。それに、お前らは他の連中と違ってレベル8だろ?そしてこの三人はレベル7。道中の状況にもよるが、目的の中層より少し先まで行けるかもしれねーな」


 敢えて高レベルの能力持ちだけを集めたと説明しているドノロバ。


 ソフィア達三人は、憧れの黄金の卵すら現地で見られるかもしれないと思い笑顔が漏れるが、ドノロバの真の目的は異なる。


 確かに高レベルだけで構成したこのメンバーであれば他の生徒達よりも先に進む事は出来るだろうが、逆に言うと余計な目撃者がいる可能性について考慮する必要が無くなると言う事でもあり、そこで事故に遭ってもらう予定なのだ。


 不慮の事故であると言う事を証明する為に、公爵家に名を連ねる三人を同行させると言う意味もある。


 もちろん偽証だが、そもそも公爵家からの指示によってこの作戦を実行している以上、ヒムロ達が事実を口にするわけもない。


「浅層の内はお前等のレベルであればそう危険な事はねーからな。ある程度は自由に行動しても良いだろう。五階層からは俺の指示に従え」


 こうしてダンジョンに侵入する七人。


「比較的高いレベルの卵が見つかりやすいのはこの道だ」


 先行して進むドノロバを追いながら、大して危険ではない浅層を興味津々に見回しながら進むソフィア達三人。


「斑は何処にでもあるのは間違いないのですね」


「入ってすぐにこれだけあるから、そうでしょう」


「でもスゲーな。壮観だ。これなら、黄金の卵も有るかもしれないぞ」


 三人の様子を少し後方から慎重に観察しているヒムロ達だった。


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