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プロローグ

 カンカンカンカン!


「メフィストフェレス。お前に判決を言い渡す」


 頭を割るようなガベルの音。

 神々の集う法廷に、厳かな声が響き渡る。


 善良な魂には、祝福と救済を。

 罪深き魂には、呪いと制裁を。

 神殺しのメフィストフェレス、お前には呪われた運命と、忌まわしき悪魔の名を与えよう!


 ――僕は思った。全てを憎んだあの日、僕は心を手放したのだ、と。



***

 昔々、あるところに、悪魔がいましたとさ。


 俺は紙束(メモ)にミミズののたくった文字を書き殴り、この物語を始めた。


 鬱蒼と茂る森の中。

 泉の傍に、ぽっかりと開けた荒原があった。

 草がまばらに生い茂るその場所に、一輪の花が咲いていた。


「時よ留まれ、お前は美しい」


 悪魔は跪き、その花に口づけた。

 悪魔の頬に、一筋の涙が光った。




 その一部始終を、俺は書き留めた。


「……哀れだな」


 呟いて、俺は森に消えた。



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