第六百八十二話
逮捕者百名。
連座で給料減らされたアホどもの悲鳴が心地よい。
給料減らせないけど配給減らせることに気づいてからはスムーズだった。
家族親戚まで連座制で配給を減らしてやった!
さすがに食料は減らさないけど。
酒はやらん!
菓子はクロノス軍印のプロテインバーな!
マルチビタミンと微量栄養素入り!
ボケが!
「陛下! 連座処分されたパーシオン人家庭の児童の健康が急速に回復してます! 栄養失調だったようです。一部でプロテインバーなる万能薬を寄こせと暴動が起きてます!」
「なぜだあああああああああああああああッ!」
と、俺の悲鳴からラリーが始まった。
四日間の耐久レースなので俺も執務室で観戦。
ゴールしたら讃えに行く予定だ。
なおこのレースの場合、順位は関係ない。
完走するのが各メーカーの目標だ。
完走さえすれば「うちのメーカーはオフロードで四日間全力で走っても壊れません!」って言える。
そりゃ優勝はうれしいが、かなり運の要素が強い。
砂漠で一ヵ月とかやりたいけど、今回はこれで行こうと思う。
なおクロノス全土どころか外交関係にある各地から、「なんの競技でもいいので大会を開いて欲しい」と要望されてる。
もうこれはスポーツの統括団体作ってそっちに丸投げするしかない。
こういうの上手そうなのは……カレンさんが全力で嫌そうなジェスチャーをする。
カレンさんはラリー参加企業のトップ枠でパーシオンに来てる。
海賊ギルドとクロノスの企業とカレンさんでどうにかして欲しい。
あとバトルドームかな。
闘技場運営なんだしスポーツの権利関係の商売得意でしょ。
とにかく事務処理を分散させる。
君らで開催期間とか放映権とかスポンサーを話し合って!
これは決定だ。
別に俺は儲かる必要ない。
どうせ信託財産が増えるだけだし!
なので仕事を減らす方針で行く。
イソノがスタート。
耐久レースなので絵面は地味。
だけど各メーカーが本気なのはこっち。
俺のバイクレースなんて遊びもいいところだ。
そもそもバイクで大気圏突入みたいな人命無視の極みみたいな運用してるの銀河帝国だけだからね!
クロノスでも廃止したいんだからね!
でも戦略として強いんだよね……。
かっこいいからやりたがるし!
ということで席を外して昼飯作ろうっと。
バーベキューも飽きたので炒飯。
炒飯はいいぞ。
店レベルの味さえ出せれば幸福度が上がる。
化学調味料は正義だ。
チャーシューまずいと炒飯もまずくなるけどそこは大丈夫。
すでに煮てある。
くっくっく……。うますぎて……飛ぶぞ。
すでにワンオーワンはキラキラした目で調理を見ていた。
「ほーら、ワンオーワン。炒飯だぞ!」
「ちゃーはん! ちゃーはん! ちゃーはん!」
ということで炒飯食べながらラリー観戦。
そうなるかー。とは思ってたんだけど、開始一時間でパーシオンが走行不能になった。
別にコケたわけでもなんでもなく、機器のトラブル。
制御系の基板が死んだかな?
だから交換可能なようにカードリッジにしとけとあれほど。
あいつらホント言うこと聞かねえよな!
「これどうなるのでありますか?」
「うーん、規定の時間内に修理できないとペナルティーがつくんだよね。明日から復帰は可能」
「ほほう……」
でもメーカー的には完走が目的。
パーシオン製は売れ行きヤバいかもね……。
工場縮小でまた暴動起こりそう。
「リタイアみたいであります」
「あーあ……」
動かなくなってもすぐ復帰できれば修理早いじゃんって話になるわけでな。
もう今日からカーディーラーじゃ「パーシオン製の自動車と違いましてね。弊社の自動車はアフターサービスも充実。すぐに修理できます。交換パーツも豊富でカスタマイズもできます」なんて言ってるんだろうな……。
だって俺が乗ってたバイクのメーカーは「クロノス王陛下の運転にレース終了まで耐えられた最強のバイクです。レース用じゃないので爆発もしません」って売り出してるもん。
ぼくバケモノじゃないもん!
俺も愛車はママチャリなのに……。
ロードバイクすらしまわれてしまったのだぞ!
スピード重視じゃない金属フレームのやつなのに!
自転車レースは出てもいいよね……ねえ、クレア!
あ、だめ。はい。
選手としては引退宣言された俺は本業の調理師さんに専念する。
王様ぁ? 知らない仕事ですね。
ププー、王様の仕事なんてしませんもんねー。
パーシオンのアホどもで遊ぶのに専念しようっと。
「パーシオン、レースから撤退を宣言したようです」
炒飯食べてるとクロノスの文官がやってきて言った。
クレアの部下だ。
「炒飯食べる?」
「ありがたくいただきます」
「うーん、わざとリタイアしたわけじゃないけどメンツ潰されてヤケになって大会の邪魔してくるかも」
「愚かな」
「自分の愚かなところを直視できないんでしょ」
俺は自分の愚かさはわかってる。
すぐネタに走るとことか。お金使うの苦手なとことかね。
クレアが笑う。
「私はあなたのそういうところ好きよ」
「どんなところ」
「自分に厳しいところ」
そう言ってクレアがほほ笑む。
「武術家はそういうタイプの人間になるよな」
エディもなんでもないようにそれに同意した。
エディもお金何に使っていいかわからない勢だったか。
「うちの人もお金をインフラ整備とかゾーク戦争で家をなくした人たちや傷痍軍人のために使っちゃったものね……ほぼ陛下と同じね」
なんてぼやきながらミネルバさんは誇らしそうだった。
皿を自動洗浄機に突っ込んでまたラリーを見る。
本当ならパーシオンはとんでもないチャンスをつかんでる。
全宇宙が注目する競技の開催地になって、クロノスの企業が進出。
俺たちは地元企業と仲良くするタイプの戦略が得意だ。
侵略することはない。
俺の兄貴、サムだったらあっと言う間に地元を発展させただろう。
ただ彼らはその価値に気づかない。
悲しいことだけど、彼らはそういう風に管理されて生きてきた。
そういう民なのだ。
そろそろ来るかなって予感がした。
ラリーの最終日か、終わってからか。
正体をつかめないゼン神族のしっぽをつかまないとね。
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