第六百六十一話
ラターニアが敗退。
でもスポーツマンシップにあふれる姿は拍手が送られた。
さてガチすぎる太極国であるが、シーユンが中島や師匠たちのところに行って直接お礼を言いに訪問した。
いつもの銀河帝国のちびっこいのじゃなくて太極皇帝としての公式訪問だ。
感謝状を贈り、中島たちの奮闘を讃えた。
「こういうとこ太極国って手強いよね。やはり大国だけあるわ」
「レオ様のマネしただけですよ?」
シーユンが首をかしげた。
え、俺?
「クレア……頼む」
「ええ、予算確保したから。今度は試合予定ちゃんと申請してね」
もうね、プロレスを野良で放っておく方が問題だと思うのよ。
首輪つきって嫌がるかもしれないけど、それでも管理させて! お願い!
影響力考えて!
ということで今度は鬼神国とクロノス。
明日試合だ。
夜逃げしていい?
「ダメに決まってんでしょ」
クレアに捕まった。
しかたないので嫁ちゃんに言いつける。
「嫁ちゃんクレアがひどいんだよ~!」
「妾の前で他の女の話をするとはいい度胸だ」
あ、まず。
逃げよう。
「ぽくちょっとラターニア語のレッスン忘れてたわ」
「ネイティブ並に話せると聞いてるが」
「嫁ちゃんへの愛をささやくレッスンさ。アイラブユー」
「あ、そう」
スルーされた。カナシイ。
「あ、そうそう婿殿。オートレース協会からプロ登録の陳状が来てるぞ。この間の逃亡劇が注目されてのー」
どうして俺の行動は後のフラグになっていくのー!
「周回まわるのだったら普通のプロの方が上手でしょが」
「そっちじゃない。クロノス王都市街を使ったレースじゃ」
「なにそれ、心がときめいちゃう」
「そういうの得意じゃろ?」
その……なんだ……事故る未来しか見えない。
俺と事故は切り離せないのだ。
「得意だけど……危なくない?」
「すでに京子とルナがモンスターマシンの開発に乗り出してな……婿殿はせっかく報復にあきて大人しくなったルナを妾に解き放てというのか?」
「……参加しマッスル。ただし男子どもも連帯責任で参加ね!」
「レプシトールも参加じゃ」
「パーシオンは?」
「あやつら交流が嫌いじゃからな……」
「ですよねー!」
アメリカンバイクでツーリングのはずがモンスターマシンでレースか。
そもそもの原因作ったの俺だけど泣きそう。
ママチャリで買い物行ってただけなのに……。
それにしてもどうにかしてパーシオン人表に出せないかな?
「ローザリアは?」
ローザリアはどうせ一年くらい居座る予定だ。
だってあの規模の要塞になると補給だけで数カ月かかるし。
あの質量だと移動するだけであちこち壊れる。
大航海時代の帆船みたいなもんだわな。
現在修理中なのだ。
その間、俺たちのテクノロジーや文化を持ち帰るのだろう。
俺たちもこの間の妖精さんの暴走時のどさくさに向こうのテクノロジー頂いたし。
お互い様だよね~。
とりあえず建設可能な距離にコロニーも建設中。
守らなきゃならない拠点が増えるって意味では戦略上よくないんだけど、ローザリアとの貿易を考えると作らねばならない。
ジェスターの仲間は多いほどいいよねって話でもある。
かなり悩ましい。
「ところで忘れてないか?」
「なにが?」
「人型戦闘機の大会じゃ!」
「いやじゃいやじゃ! でとうない!」
俺はその場で寝っ転がって手足をバタバタさせる。
「格闘技の方もじゃぞ!」
「いやじゃー!」
「うむ。ピゲット頼む」
するとピゲットが現われた。
「まずは徒手の方だ。行くぞ陛下」
足を両脇に挟まれ引きずられていく。
「いやじゃ! イチャイチャしかいらぬ! 俺はラブコメ時空の生き物なんだあああああああああああああッ!」
「婿殿は究極の戦闘民族じゃろが……」
こうして別の連中に捕まった男子どもとともに格技場に運ばれた。
男子どもにクロノスの近衛騎士に太極国の近衛に……。
あと死刑場に連れて行かれた虜囚の顔したアーマードリキシとニンジャでしょ。
あと喜ぶ鬼神国人たち。
「はい! ピゲット先生! ぼくらはなにをするですか?」
するとピゲットがニヤッと笑う。
「特別講師のヒューマ先生だ」
ヒューマさん!
あなたまで拉致されたの!?
「ヒューマです。えーっと、各国代表をそこのバカ男子どもと試合が成立するレベルにしろと無茶振りされました。あとでローザリアもキャンプに合流します。クロノス王陛下。わかってますね? あなたが総責任者です」
「うわあああああああああああああああ!」
もう泣きそう!
恥をかかせないために死ぬほど追い込めって意味だ。
いいもん! やるもん!
「おらああああああああああああッ! スパーリングじゃボケええええええええええッ!」
柔道着に着替える。
「はい国王陛下がスイッチ入りましたね。では私はニンジャの練習を担当します」
あ、ニンジャ隊死んだわ。
ヒューマさん、いまだに俺でも勝てないような気がするもん。
銀河帝国の下士官って冗談じゃなく強いからね!
「みんなー。死ぬかもしれないけど我慢してね」
「お館様あああああああああああああッ!」
もう、しらにゃい。
ニンジャ隊とアーマードリキシたちの悲鳴をBGMにスパーリングするのだった。
「相撲取りと聞いたがその程度か! ふんッ!」
びたこーん。
普通に上手投げされたリキシが飛んでくる。
「ふははははははは! いいぞもっと押せ! ほれ!」
びたこーん。
リキシが転がってくる。
「次はニンジャども! お前らだ! さあ、かかって来い!」
「ぎゃあああああああああああああッ!」
今度は柔道のようだ。
もうね、かわいそうなくらい投げられる。
びたこーん!
「柔道部! 基礎から教えてやれ!」
徒手って難しいよね。
「陛下! レスリングを教えてあげてください!」
ええー。
「だって俺、一つの流派を極めるんじゃなくて、相手を見てスタイル変える戦術だし!」
「いいから!」
ふえーん。
アーマードリキシに帯をつかませて。
……と捕まえようとして力んだ瞬間、上からビタコーン。
床にべちゃんこ。
「はい、居付かない」
「ヒューマ先生! レベルが違いすぎます!」
アーマードリキシどもが一斉にヒューマさんに言いつけた。
「国王陛下! もっと優しく!」
「えー、だから、ほら、もっとヌルッと動くわけよ。こう、技とかじゃなくて間合いでさ。異種格闘技戦なんだからぶつかる必要ないわけだし」
と言いながらぶつかってきた相手とがっしり組み合う。
「う、動かない」
「ね、ここで硬直するじゃない。だからヌルッと」
ぽいっとな。
「ヒューマ先生、無理です! なんの参考にもなりません」
「陛下! もっと優しく!」
ふえーん。
だって俺、剣術ベースだもん!
相撲教えられないよ!
「いいから恥かかせないように!」
ふえーん!




