第六百五十六話
開会式は花火にドローンにダンサーの踊りに……。
俺もコスプレして踊りまくった。……宇宙怪獣カワゴンの。
いもいもーも。
「カワゴン……お祭り……」
屋台の出店の区画を歩いてるとルーちゃんに抱きつかれた。
「はいはーい」
ルーちゃんを抱っこして一緒にまわる。
ルーちゃんの学校のお友だちもいて一緒に屋台を回る。
「ぬはははは! 金はある頭の悪そうなものを買うのじゃー!」
ピカピカ光るカチューシャとか七色綿あめとかね。
「カワゴン! 射的やっていい?」
光る骸骨キーホルダー、安っぽいライター、微妙に似てない野球選手の置物。死ぬほどいらない。
心の底から欲しくない景品が並んだ射的屋があった。
子どもたちは景品を取ってるが……あとで親に怒られるだろう。
おっちゃんに話しかける。
「この子たちの分。好きに遊ばせてあげて」
「こ、国王陛下」
そして耳打ち。
「こんなショボい商売するな。お菓子持たせてやれ。いま持ってこさせるから」
「へ、へい」
そりゃさー、屋台にだまされるのも経験だよ。
でもさ……いくらなんでも……これはひどすぎるよ。
カミシログループに連絡。
「すぐにお持ちします」
屋台がアホアホグッズ売るのはいいけど、イベントの評判が下がるのは嫌なのよね。
するとすぐにカミシログループから連絡があった。
なにかあったのかな?
「イベント会社は海賊ギルドでした」
「あ、うん、はい。俺が言っとく」
海賊ギルドに連絡。
「てめえ! なにチンケな商売してんじゃボケええええええええええ! てめえ俺の顔つぶす気かああああああああッ!」
はい、カミシログループの補給部隊が来て屋台がアップグレード。
あんなショボいグッズじゃなくてもさ。
倉庫に眠ってる商品がいくらでもあるわけよ。
なんか微妙なデザインの壁掛け時計とか。
俺や首脳陣を揶揄するイラストのジグソーパズルとか。
こっちで作って爆死した微妙なアニメグッズとか。(教育的すぎて失敗した)
「さわやか士官学校」という銀河帝国の道徳番組のグッズとか。(作りすぎてクソ余ってる)
あと大量のお菓子。
半分販促でばらまきまくる。
ふう。
ルーちゃんママがやって来たのでバトンタッチ。
まずは野球の試合か。
貴賓席でお仕事。
嫁ちゃんがいた。
シーユンは野球のときだけは別の貴賓席に隔離。
タチアナとワンオーワンにストッパーになってもらってる。
「ラターニア代表と太極国の一戦じゃ」
太極国の応援歌が貴賓席にまで聞こえてきた。
もうね! もうね! ガチなのよ!
その点、ラターニアは大人しい。
ラターニアはまだアマチュアスポーツだからね。
でも何人かが太極国のリーグにスカウトされたらしい。
数年後にはラターニアでもプロリーグができることだろう。
イソノは嫁さんと家で中継見てるらしい。
イソノがいない状況がこんなに不安だなんて!
なお野球の試合の前に行われたプロレス興行は満員御礼。
急遽立ち見席まで用意した。
これから毎日興行するんだって!
商売が上手すぎる……。
だってタンク先生とザウルス先生、クロノスの大学の経済学部で興行やプロモートの講義してるもの。
毎回満員の人気講義なんだって……。すげえ。
明日は中休みでお笑い枠。
健康サンダルデスマッチやるんだって。
健康サンダル履いてプロレスやるの。
サンダル脱ぐと反則なんだって。
……見たい。
さて、野球である。
「チェン! やっちまえええええええええええええ!」
シーユンの叫ぶ声が聞こえた。
すぐに応援歌が聞こえてくる。
ガチだ。ガチすぎる……。
そもそも太極国人は騒ぐのが楽しいようだ。
普段は大人しいけどイベントのときにはじけるタイプ。
だから俺たち銀河帝国人やクロノス人と相性いいんだよね……。
かっきーんと音がした。
「おしゃあああああああああああああああああああ! 一点!」
「し、シーユン! 身を乗り出すな!」
「お、落ちるであります!」
いやガラスで覆われてるから落ちないけどさ。
身を乗り出すのは危険すぎると思うのよ。
ドンドンと太鼓が鳴る。
すると今度はラターニア側がホームラン。
おっとパワー系の選手も出てきたか……。
うーん、野球の進化のスピードが凄すぎる。
しみじみしてたら太極国側から叫び声がする。
「ぎゃあああああああああああああああああああッ!」
「シーユン! 剣を抜くな!」
「やめるであります!」
ごめんね二人とも……。
弱いお兄ちゃんですまない……俺には……シーユンを止めることはできない……。
「ローザリア帝国の練習見てくるね……」
「妾も行く」
夫婦二人で逃げることを選んだ。
ローザリア帝国はすぐ近くの市営球場で練習してる。
学生の試合とかが行われる方の施設。
恥をかかせないためにコーチは中島と元プロで担当してる。
親善といいながらボコボコにして勝ち誇るのは我らの道徳に反する。
銀河帝国人はスポーツマンシップにうるさいのである。
かといって手を抜くのは今度は武士道に反する。
銀河帝国人めんどくせえな!
ということで日程ギリギリまで練習なのである。
とりあえず試合が成立する程度にはするつもりだ。
「がんばるのだー!」
シャーロットが応援してる。
「こんな日々が続けばいいなあ……。ねー嫁ちゃん。ラターニアもレプシトールとパーシオンの首脳陣の首取ったら大人しいし」
すると嫁ちゃんは心底呆れた顔してる。
「なに?」
「ラターニア王がかわいそうになってきた」
「え?」
「あのな、ラターニアからすれば婿殿に借りばかりできてるのじゃ。いつか借りは返さねばならぬ。特に婿殿は基本的に善人かつ契約を理解してて公平な取引を望むからのう。他の国の俗悪な為政者とは違い扱いに困っておるのじゃろうな」
「少し汚れた方がいいってこと?」
「汚れようがないから問題なのじゃ。婿殿はプローンすら救済する賢王ぞ。せめてポリーナを嫁にすれば安心なのじゃろうがな」
「待って、俺、そこまで不安にさせてるの?」
「うむ。屍食鬼の数倍は不安じゃろな。優秀で野心のない隣国は理想的じゃが……あまりに優秀だとそれはそれで不安になるものじゃ」
勘弁してくれよ。
滅私奉公してただけなのに……。
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続刊が確実になるのでおなしゃす!
あと今日も予定がタイトだったんですがまにあいましたー!




