23話 剣術の稽古
勇者認定の俺は剣術を習うことになった。
と言っても、運動神経のどんくささは、召喚されて異なる身体になっても同じようだ。
勇者認定されてから、毎朝早起きして、ランニング30分、素振り30分が日課になった。それらが終わったら、汗を拭き、朝食を取る。
午後からは、冒険者ギルドで剣術の稽古となる。教官からビシバシと鍛えられた。
相手を傷つければ良いなんてなまちょろいものではない。とにかく殺すことが前提。力が入らないと致命傷に至らず、相手に隙を与えてしまう。およそ3Kgの樫の棒での素振りから始まる。重い。
教官が大上段で迫ってくる。もう避けようもないし、受け止める力もない。ただただ、剣を両手で掲げて衝撃を受けようとするが、強い衝撃と共に気を失ってしまった。
「サクヤ。腰が引けているぞ! もっと踏ん張れ! 」って、無茶を言うなよ。
まあ、そんなこんなで勇者としての稽古が連日くたくたになるまで続いた。
時々、アヤ姉が俺を覗きに来た。
ギルドの受付に就職して以来、会う機会が増えた。
「ちょっと、逞しくなってきたわね。」
「もう、打ち身だらけで、早く治癒魔法を覚えたいよ。」
今日は、俺とアヤの2人で市場の屋台を食べ歩き中である。
定番の肉の串焼きに果実ジュース。コロッケもあるんだ。ホクホクでおいしい。
アヤは俺が勇者だということは知らない。知っているのは魔女とシン王子とユーリィのみ。
噴水の前の椅子に座っていると、フローラがすっ飛んできた。
「サクヤー 」と思い切り抱き付いてきた。
おいおい。フローラって、そんなキャラだったけ??
「サクヤ。 私に内緒でデートなのかな? 」って、抱きついたまま下から睨んでくる。
「おやおや。おちびちゃんはサクヤのなんなの?」とアヤ姉。
おお、怖い。
「うーんと。 お友達かな? それ以上でもそれ以下でもないかな?。 」とフローラ。
「でも、その抱きつき方は、おかしくない!」
「そうかな?? どう思うサクヤ? 」
これはまずい。返答次第では両方からあらぬ攻撃を受けそうだ。
「まあ、よくある子供同士の挨拶だよ 」とドヤ顔をした。
「ま・ ま・ それならいいけど・・・」とアヤ。納得してくれたらしい。
「っていうか。いつまで抱き着いてんのよ! は・な・れ・な・さ・い・!」
それからは、3人で、お茶して歓談。めでたしめでたし。
剣術の稽古は続いた。
色々な場面や武器、防具、魔法などとの対処、攻撃のパターンなどを毎日くたくたになるまでやる。
1か月がたち、半年が過ぎたころから、勇者である素質なのか、イメージ通り身体と武器を動かすこと、或いは魔法を組み合わせて、戦うことができるようになった。 そして、教官に肉薄できるようになった。しかし、まだまだ、イメージをなぞるにも思ったようには身体が着いてこない。さらに11歳の身体の力不足は、身体強化の魔法が使えるようになったものの、教官の大上段の攻撃を受けると半分意識が飛ぶ。




