21話 プチダンジョンの検証
魔法学園の寮は”ボガの家”と呼ぶ。命名の経緯は知らない。
1か月前に、この町のプチダンジョンが開通した。
こどもは、白と紫のダンジョンに挑戦することができる。
街中を南門に向かって、俺とジジ、ダニス、そしてバニラの4人で歩く。
今日は、5歳ぐらいが挑戦した場合の難易度を確かめに来た。
白花のダンジョンは5歳から入ることができる。
中は、市場あり、森あり、草原ありで、近くには他の白花から入った人も見える。だから寂しくはない。
白花と紫花は妖精が管理しており、まず、蕾の前で、”遊びに来たよ! マリル”といえば、妖精が出てきて、年齢やペナルティの有無を見る。
年齢に達していない者や越えている者がいると、そのパーティは受け入れてもらえない。
また、ダンジョン内で悪いことをして妖精に叱られた人は入れない。
問題なければ、妖精さんに招きいれられ、プチダンジョンに入れる。
門を通り抜けて、南街道から右手の3本目の小道に入ってゆく。といっても左右は田畑で、開けたところだ。
300mほど入ったところの小川沿いに、白い蕾を見つけた。
「遊びに来たにゃ! マリル」と、ジジが話しかける。
「さあさあ、お入り。 たっぷり遊ぼうね。」と妖精が煽る。
妖精さんは、身長10cmぐらいで、手のひらに乗るほどで、ダニスの頭に座っている。名前はマリルというらしい。
ダンジョンに入ると、依頼版に向かう。
「何を選ぶかな?? 」とダニス。
「これは、どうかにゃ? ”魔女にニンジンを運ぶ” ロバが引く車が使えるみたいにゃ。」とジジ。
お届け物のクエストである。
報酬は、薬草アルファルファの乾燥が100g。 HP回復薬の原料に使われる。
売値が、小銅貨5個。まあ焼き肉串が5本買える。
「ロバの車は、あそこにあるよ。さあ乗って。」とマリル。
魔女の家までに、いくつもの分岐がある。その都度右か?左か?問題が出てくる。
「3+1はいくらかな? 4ならば左、でなければ右に寄ってね 」
「左よ! 左 サクヤ、ダニス 左に寄って!」とジジ。
簡単な算数問題で、子供たちの教育ができるようになっている。
間違えると他の人に替って、再度挑戦する。3回まで挑戦できる。
でも、全員が不正解の場合は、ダンジョンから押し出されて、その日はダンジョンに入れなくなる。
35歳の記憶を持っている俺には、簡単だがね。
ダンジョンで手に入れた物は、すべてチームのもので、チーム内で分配する。
「うん。5歳ならクリアできそうだね。 明日は、10階層を試してみようか。」と俺。
今日は、10階層を検証にきた。1階層目にある白花から2階層目に行く。
このシステムは、よくできており、各階層の町には宿屋も存在する。
泊まりながら階層を潜ってゆくと、最終層の奥にはボスがいる。
俺たちは、やがて白花をみつけた。
「遊びに来たにゃ! マリル」と、ジジが話しかける。
「さあさあ、お入り。 たっぷり絞ってあげるからね。」と妖精が煽る。
何を絞るかって? それは汗だよ。 がまの油じゃないよ。
「今回は10階層まで通しで潜るからよろしくお願いしますにゃ。」とジジがマリルに頼んだ。
「OK,OK 問題ない。 さあさあ行こう。」
町中から、少なくとも2Kmは離れなければ白花を見つけられない。下の階へ行くには再び2Km以上歩いて、白花をみつけなければならない。5階層まで行くには最低でも10時間はかかる。途中で1泊か2泊しないと10階層にはたどり着けない。また2Kmぐらいから魔獣が出てくるので大変だ。
一方、紫花は、望む階層に行ける。但し妖精が良いと言えばOK。
でも、紫花はめったに無い。白花100に対して1つぐらい。
マ・ウサギの攻撃は、近づいてきて、後ろを向くとやおら後ろ足で蹴飛ばしてくる。致命傷にはならないが、一人が3回蹴飛ばされるとパーティごと、上の階層の町中に転送される。
「キー、キキッ、キー」とけたたましく襲ってくる。ってダンジョンのマ・ウサギは鳴くのだ。
1階層目の町から白花まで、マウサギを30匹倒した。これで、小銅貨10枚獲得したことになる。
2階層の町で昼食を取って、3階層目への白花を発見し、3階層目の町中に入る。ここまでマウサギ55匹と、薬草アルファルファや薬草バジルなど、袋に一杯になった。今日はここで一泊。まあ、こんな調子で10階層まで行くことができた。
5階層目からは、掛け算や割り算、7階層目からは3ケタ以上の乗除加減算や理科、歴史など難しくなる。魔獣もイノシシや羊など自分より大きなものが出てくる。
「10階層に辿り着くには、HPが100ぐらいのFランク相当が4人は必要だね。」
「ボスのマ熊は強かったね。 HP500で攻撃力が凄い。 一発殴られるとHPが半分になっちゃう。 ちょっとやそっとでは、攻略できないと思うよ。」
「通しだと、およそ大銅貨10枚ぐらいにはなったにゃ。夕食はちょっと豪華にするにゃ。肉がいっぱいにゃ。」
ジジが飛び跳ねている。
「まあ、様子を見ながら調整をアイリス様にお願いするにゃ。」
「バニラ、どうだった?」
「とっても良いと思いますよ。 思った通りの景観、魔物と収穫も結構良いところでバランスしていると思いました。 休憩所には遊び道具が欲しいですね。」
今回は通しで10階層まで潜ったが、紫花があれば行きたい階層に直行できる。まあバイパスがあるのだ。今日は様子見だから使わなかったけど。
魔法学園も実技訓練に、このシステムを利用している。もちろん、誰でもが利用できる。
小銅貨が10枚で銅貨、銅貨10枚で大銅貨になる。小銅貨1枚で焼き肉串が1本、みかんが1個買える。小銅貨が10円、銅貨が100円、大銅貨が1000円ぐらいかな。大銅貨10枚で1銀貨、銀貨10枚で1金貨になる。金貨1枚は10万円相当になるかな。




