第41話 まだ間に合う
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「・・・でもね、マゼンダはあの世界にいたくなかったの。でも一緒にいたかったの。」
「・・・そう」
「マゼンダはどうすればよかったの?赤ずきんに戻っちゃいけなかった?もう戻れない?もうだめなの?」
言ってる間に涙がぼろぼろと流れ出した。
もう 戻っちゃいけない?
もう だめになっちゃった?
あの時逃げようとしなかったから?
ちゃんと きちんとしなかったから?
私がしっかりしてなかったから?
「ブルースに・・・好きっていえなかったから?言って、伝わるの?私の知ってるような簡単言葉で足りるの?どれをつなげれば伝わるの?」
「・・・赤ずきん 大丈夫よ」
おばあさんはふふ、と優しく笑った。
「まだ間に合うはずよ。だってね・・・」
『きっとその男の子も・・・』
おばあさんの声はそこで途切れた。
ぐにゃりと視界がゆがんで目の奥がズキッと痛んだ。
思わず目を瞑り、ふと目を開けるとそこには
ブルースがいた。
ブルースの家の中で、赤ずきんの絵本を持ったブルースがいた。
目が少し赤かった。
「・・・ブルース」
「久しぶり」
ブルースは笑ったり怒ったりせず、ただ無表情で私を見てた。
なんて言おうか考えてたのかもしれない。
短い静けさの後、口を開いたのは私が先だった。
「ッあのね!!」
言いたいことは山ほどあった。
だけど話しきる前に喋れなくなる気がした。
既に唇は震えてた。
泣き出しちゃったらごめん
でも 最後まで言うから聞いて