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第39話 クロウは嘘が下手

***********************


本棚の隅に、少ししわのできた絵本があった。


それは赤ずきんの絵本。


あの中にマゼンダがいる。


だけど俺はそれを見て見ぬふりをした。


マゼンダをまたこの世界に引き戻してどうする?


どうするつもりだ?



絵本の背表紙を眺め、俺はため息をついてパソコンの電源を入れた。


カタカタとキーボードの音が響く。


ピンーポーン・・・


キーボードの音だけの俺の部屋にインターホンが鳴り響く。


俺は舌打ちをするとドアの向こうを覗き込む。


そこにはクロウが立っていた。


帽子をかぶっていたけれど、俺がクロウを見間違うわけがない。


俺はまた、ため息をついてドアを開けた。


「よっ なんか顔が険しいぞ!」

「・・・何か用か?」

「ひでー!どうせ元気ないんだろうから優しい俺が励ましに来たんだろー!?」


クロウはそういうとずかずかと家に上がりこむ。


俺はクロウの背中を1度睨んだが、すぐにやめた。


悪気があるわけじゃないだろうし・・・ん?


「お前、なんで俺が元気ないと思ったんだ?」

「・・・え?」


クロウがビクッと体を小さく震わして俺のほうを見た。


俺は眉間にしわを寄せてクロウを壁へどんどん追い詰める。


クロウは『なんだよー』と笑ってはいたが顔が引きつっていた。


「なんでだ?」

「い、いや・・・その・・・リンがいなくなったから寂しく・・・」

「嘘だな。」

「う・・・」


俺がきっぱりと言うと、クロウは否定もせずに唸った。


ふと、ルファの顔が浮かぶ。


「ルファか」

「え!?」


図星らしく、クロウは額にじわりと汗をかき始めた。


この男はいつも堂々としてるくせにどうしてこう、嘘が下手なんだろう?




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