第11話
しかし、気にする問題はそこじゃなかった。
「国王様!!祖母もこの国に来たことがあるのですか!?」
そんなこと聞いたことがなかった。
まぁ、今現在こうなっているから信じられるだろうけど、そうでなかったら夢の様な話だし、ばあちゃんが話さなかったのも無理はないかもしれない・・・・。
「うむ。サチが27才だったか・・・・。あの頃はそれはもう・・・・・怖かった・・・・」
国王様の目が遠いところを見ていた。
「怖かった?」
「・・・・サチは見た目と違って鬼のようでのう・・・。情けない私はよく怒られておった」
何!?ばあちゃん国王様を怒ってたのか?
・・・・まぁ、あのばあちゃんならありえなくもないが・・・。
「しかし、そのおかげで見えなかったものが色々見えてきたのだ。私も、昔はそこの馬鹿息子と同じように誰からも相手にされておらんかったからな」
「・・・父上がですか?・・・・」
国王の言葉に反応したのはキアンだった。
「うむ。もうどうでも良くなっていたときにサチが現れたのじゃ。それから、私の周りは変わった。いや、一番変わったのは私だったかもな」
それから、周りにも認められ国王として現在まで至るということらしい。
「・・・あの、それで祖母はどうやって元の世界に戻ったのでしょう?」
「うむ・・・。それが、私にもわからんのじゃ。サチから元の世界に戻す方法を探せと随分言われたのだが、よその世界から人を招く事などいくら魔力があってもできないことだったのだ。呼び出すことも出来ないものを返せと言われても無理に決まっておる。しかし、ある日突然サチはいなくなったのじゃ。全く本当に突然だった・・・・。どこへ行ったのか城中の者総出で探したのだが、見つからなくてな。それで、きっとサチは元の世界に戻ったのだろうと思ったのじゃ。・・・じゃから、最後の挨拶もその後の事も心配しておった」
「そうだったんですか・・・・。ばあちゃんは、皆から慕われていたのですね・・・」
最後に何も言えず帰ったことはばあちゃんもきっと辛かっただろう。
しかし、くるのも突然帰るのも突然とは・・・。
頭を抱えたくなるのを堪え国王を見た。
「国王様。図々しいことを承知でお願い申し上げます!私をここに置いていただけませんか?下働きでもなんでもしますから!!」
帰る方法はないとの事だが、もしかしたら何かわかるかもしれない。
ばあちゃんも、ちゃんと帰れた事だし、ここにいて、色々と調べてみたい。
「うむ。それは構わぬが、一つ条件がある」
条件?
・・・・なにやら嫌な予感が・・・・
「この王子専属の付き人となってやってくれ」
キタ━(゜∀゜)━!
おっと・・・・思わず絵文字が頭に浮かんじゃったよ。
何?この世界の王族は考えること一緒なの?
いや、付き人ってだけまだ国王様の方が常識人だ!
「・・・・付き人ですか・・・」
「うむ。きっとユキノが来たのもこの王子にとって必要だったからであろう。どうか、この王子を次期国王としてふさわしい人間に育ててやってくれ」
あぁぁぁぁ。
国王様に頭下げられちゃってるよ!私。
聞かないなんて出来ないんでしょう?
「わかりましたから、頭を上げてください。・・・・・はぁ、次期国王としてふさわしい人間に出来るかどうかはわかりませんが、努力してみます・・・・」
要は新人教育だと思えばいいんだ。
だてにお局と呼ばれ始めた訳じゃない。
基本的な常識だけは叩き込むことにしよう。
側にいた王子は2人のやりとりに目を瞬かせるばかりであった。