第12話
結局、キアン専属侍女として雇われることとなり、やはりというか、なんというか、部屋もキアンの隣のままだった・・・・。
「ユメノは何かを俺に与えてくれるのか?」
部屋に戻った私たちはとりあえずキアンの部屋でお茶をすることにした。
「さぁ?私は別に何かのスペシャリストでもないしこの国のことなんてさっぱりわからないし、何をすればいいかはこっちが教えて貰いたいくらいだわ」
「・・・・そうか。というかユキノ。こっちに座って一緒にお茶をしないのか?」
そう言って、キアンは自分の隣の席を指さした。
「・・・・侍女として雇ってもらった以上王子と同じ席に付くことはできないわ!仕事は仕事としてきっちり分けなくちゃ!!」
言葉も敬語で話していたら、キアンに気持ちが悪いと怒られ結局、2人きりの時は今までどおりとなってしまった。
「・・・融通がきかないのだな・・・・」
「そういう問題じゃないわ。仕事としてやらなければいけない事はやらないとほかの人に示しがつかなくなってしまうわ。特別扱いをする方もされる方も信用をなくしてしまうのだから」
「・・・ふむ。なるほど・・。父上はこういうことをユキノから教われというのだろうな・・・・」
キアンはなにやら一人でぶつぶつと言っていたが、私は侍女としての初仕事としてティーセットとにらめっこをしていた。
「・・・・わからない・・・。どうして王族ってその日の気分によって違うものを飲むからとこう何種類も用意しなければいけないのかしら・・・・。とても効率が悪い上、もったいなさすぎるわ!!」
こちらはこちらでぶつぶつと文句をいいつつ言われた通りにコーヒーや紅茶など5種類のお茶を用意したのだった。
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「キアン様。次は現在こちらに滞在中の隣国の皇太子がご挨拶にこられます」
「うむ。通せ」
あれから数日が過ぎ、私も大体の仕事内容が把握できてきた。
要はキアンの秘書のような物だったのだ。
「キアン殿下。ご機嫌いかがですかな?このたびはお世話になります」
「クルーナ殿下。ご無沙汰いたしております。滞在中何かお困りの事がございましたら、なんでもお申し付けください」
「いや、ありがとう。とても助かるよ。・・・ところでそちらの可愛いお嬢さんは誰だい?この前来た時にはいなかったよね?」
「はい。私の専属秘書として仕事を手伝ってもらっているユキノと申します」
キアンが私に視線を送ってきた。
「クルーナ殿下。お初にお目にかかります。ユキノ ニシノと申します」
ドレスを軽くつまみお辞儀をすると、クルーナ殿下が近寄ってきて私の左手をとった。
「ふふ。かわいらしいお嬢さんだ。その年で殿下の専属侍女とはなかなか頭もいいと見える。これからよろしく頼むね」
そういうと殿下は、左手の甲に口づけを落とした。
今すぐトイレに駆け込んで手を洗いたくなったが、にっこりと笑顔を返した。
「・・殿下、お戯れを・・・。ユキノはこういうことに慣れておりません。どうぞ、あまりからかわないでやってください」
「ふふふ。まだまだ真っ白なんだね・・・・」
殿下の目が一瞬怪しい光を放ったようだったが、気のせいだったのだろうか?
穏やかにほほ笑み、左手を解放してくれた。
「では、キアン殿下執務中に失礼したね。もう少しの間ゆっくりさせてもらう」
そういうと、クルーナ殿下は執務室を後にした。




