4 温かさ
※重たいです
過呼吸だめな方は読まないでください!
大丈夫な方だけ見ていってください
夏の暑さがまだ残るが、秋の匂いがし始める頃
いつものように私は、るなとあやかに話しかけた
「つぎ、移動教室か」
「そうだね、早く行っちゃおうっか」
と、るなが応えてくれた
うん?あれ?
いつもの声が聞こえない
いつもなら、「まって!」とか「急いでトイレ行ってくるから待ってて!」とか聞こえてきて、わいわいするのに…
「どうした、あやか?」
みるからに、元気がない
いつもの明るく話してくれる声がない
「なんもないよ」と小さく返して歩いていってしまう
私とるなは顔を見合わせて首をかしげる
絶対何かあった
でも、聞かれたくないような内容だったら…
と、思っってるなと相談して
いつ話をしてくれてもいいような雰囲気を作って待っていることにした
でも、一向に話してくれない
聞いても大丈夫だけ
どんどん、やつれていくあやかを見て、我慢できなくなり放課後教室に残ってもらうことにした
放課後、教室に残った三人
誰もいない教室は、やけに静かだった
「最近、元気ないけどどうしたの?」
るなが、いつもより少しだけやわらかい声で聞く
あやかは、下を向いたまま何も言わない
沈黙が続く
時計の音だけがやけに大きく聞こえた
私は、少し迷ってから口を開く
「話したくなかったら、それでもいい」
それでも、言わなきゃいけない気がして
「でも、あやかは一人じゃないよ。私たちいるから」
その言葉を聞いた瞬間だった
あやかの肩が、ぴくっと揺れた
でも、顔は上げない
何か言おうとして、でも言えなくて
唇が少し震えている
「……べつに、大したことじゃないし」
小さな声
でも、その声は少しだけ掠れていた
「ほんとに、なんでもないから」
そう言ったあと、
ぽた、っと机に水滴が落ちた
一滴、また一滴
「あやか…」
るなが名前を呼ぶ
その瞬間、堰を切ったみたいに涙が溢れ出した
「…わかんないの、もう」
途切れ途切れの声
「家で、なんか…うまくいかなくて…」
言葉が続かない
呼吸がうまくできてないみたいに、苦しそうだった
私は何も言えなくて
ただ、そっと背中に手を置いた
るなも、反対側から静かに寄る
気持ちを伝えたくてそっと抱きしめた
それだけだった
でも、その温かさで
あやかは、さらに声をあげて泣いた
でも、何を言っても正解がわからず、助けたいのにどうにもできない
それから、数日間たっても元気が戻らず、私達は一緒にいてあげることしかできない無力感に苛まれていた
どうにもできない悔しさがあった
るなとあやかに少なくとも学校では元気に過ごしてほしい
その思いからずっとどうしたらいいのか考えていた
私達も疲れてきていた
次の日も、いつも通り授業は進んでいく
黒板の文字をノートに写しながら、
ふと、あやかの姿が目に入る
授業に身が入っていないみたい
たまたま、るなと目が合った
何も言わなかったけど、
同じことを考えてる気がした
今日は部活がないので、るなといつも通り帰る
でも、二人とも会話をする気にはなれない
重い空気がただよっていた
地下鉄の中、なぜかドキドキする
人の声がいつもより遠く聞こえた
なんだか、息がうまく吸えない
あ、やばい
そう思った瞬間、視界が少し揺れた
「みつき?」
気づいたときには、るながこっちを見ていた
次の瞬間、手を掴まれる
「大丈夫、大丈夫」
低い声で、何度も繰り返す
背中をさすられて、手を握られて、少しずつ呼吸が戻っていく
るなの手は、大きくて、あたたかくて、
安心できて私を現実に戻してくれた
この手をずっと、繋いでいたい
その思いが伝わったのか
落ち着いてもずっと繋いだままだった
次回は、重くないです




