怪しい男
昨日の爆発事故。綾人は不審に思った。
何か引っかかると…
今朝も太陽が明るく照らす。
カーテンを開け、窓を開けると気持ちの
いい風が入ってくる。
「ん、今日もいい風だ」
目を閉じて風を受けている綾人。
朝食の準備をして、テレビをつけると
やっていたニュースをみて顔が曇る。
「昨晩爆発事故が起きたようです。
原因は不明ですが、警察の調査に
よると爆発する前にその現場で
酒に酔って暴れていた怪しい人物がいた
ことがわかっています。引き続き
調査をしていくとの事です。次の…」
綾人は朝食のパンをくわえながら考え込む。
(いきなり爆発事故?まさか…)
(今晩あたり動いてみるか)
時間を確認し、学校に遅れてしまうため
朝食を飲み込み家を後にする。
学校に向かう最中後ろから話しかけられる。
「綾人くーん!おはよ。」
昨日知り合った恵美と静香だった。
「おはようございます。恵美さん、静香さん」
「今日もいい天気だねー」
「あ、二人共今朝のニュースみた?」
「何の話?静香」
「ビルでいきなり爆発事故があったやつだよ。
学校からもそんな遠くない場所だし
怖いよね〜」
静香が今朝のニュースの話を出してきた。
場所はこの近くらしい。
「…」
「あれ?綾人くんどうしたの?難しい顔して」
「あ、いや、爆発事故なんて怖いよなって」
あははと笑ってみせるが、恵美が不思議そうな
顔をして綾人をみている。
「どうかしたの?爆発事故になんか心当たりが
あるの?」
「いや、何にもないよ」
恵美は違和感を感じたが、気にしない
ようにした。
今日の学校は授業も簡潔に終わったため
早めの帰路となった。
綾人は帰宅準備していると恵美から
「綾人くん、喫茶店いかない?昨日
いけなかったし、色々話ししようよ」
(今日は夜動けばいいから大丈夫かな…)
「わかりました。一緒させてもらいます。」
「そうこなくっちゃ。あと、敬語使わなくて
いいから。なんかこっちまで緊張しちゃう」
「わかった。恵美さん」
お互いに笑いながら教室を後にして
街の喫茶店へ。
「そういえば今日は静香さんは?」
「ああ、静香はなんか用事があるからーって
急いで帰っちゃった」
「そうなんだ。喫茶店ってもうすぐ?」
「確かここら辺に…あった⁉︎あそこ」
年季が入ってそうな外見だが、お洒落な
店がそこにあった。
二人して中に入ると、マスターが出迎えて
くれた。
「いらっしゃいませ。お二人ですかな?」
「はい、綾人くんコーヒー飲める?なら
アイスコーヒー2つお願いします」
「かしこまりました」
二人は窓際の席に座る。
「綾人くんは兄弟とかいるの?」
「妹が一人いるよ」
「そうなんだ、私は一人っ子なんだよね。
今年から高校になるし、実家からは
遠いから初めての一人暮らしなんだ」
「そうなんだ、僕も一人暮らししてるよ」
「へー、男の人の一人暮らしとか大変そう
だね。全部自分でやらなきゃいけないし」
「大丈夫、今までも自分でやってきたから」
「え…もしかしてご両親は…あ、嫌なら話し
しなくていいからね。ごめんね」
「大丈夫だよ、慣れてるから。
恵美ちゃんは暗闇の悪夢って知ってる?」
「暗闇の悪夢…それって、何年か前に起きた
謎の大規模事件だよね?」
「うん、実はそれに僕ら家族は巻き込まれてね
両親はその時に…」
「そうなんだ…辛い事思いださせてごめん」
「いいよ、起きたことは事実だし」
そういってコーヒーを飲む二人。
すると、恵美が不思議そうに外を見ていた。
「どうしたの?」
「いや、今そこのビルの間に長いコートを
来た人が入っていったんだけど、ふらついて
たように見えたから大丈夫かなって」
「コートを着た…?」
綾人もそっちに目線を送った時にそれは
起きた。
ビルの間から爆音とともに火が出てきたのだ。
「なっ…!」
「きゃー‼︎」
一緒にして周りはパニックになる。
すると綾人はすぐに外へ向かっていく。
「綾人くん!危ないよ!」
「ごめん恵美さん!マスターお金置いときます!」
そういって綾人は爆発があったビルの間に入っていく。
奥の方へいくと、ゆっくりとふらふら歩いて
いるコートの男がいた。
(あれか、恵美さんがみたっていってたのは)
コートの男は綾人に気づいたのか足を止め
ゆっくりと振り向く。
その姿を見て綾人は確信したのだ。
「やっぱり、闇落ちしたやつか…!」
コートの男は見た目は普通だが、白目と黒目が
逆転していた。
「…なんかようか?小僧…」
コートの男が話しかけてくる。
「これ以上好きにはさせない。」
そういうと急に綾人の周りに風が吹き始める。
「なるほど、お前…」
その時だった。
「綾人くん…?」
その声に驚き後ろを振り返ると、恵美がいた。
「恵美さん!どうしてここに!」
「だって、綾人くんが一人で危ないとこにいく
から心配で…それよりなんなのその人?」
綾人ははっとしてコートの男を見るとにやりと
しながら壁に手をついているのをみた。
(まさか!危ない!)
「恵美さん!こっちへ!」
「えっ?きゃ!」
綾人が恵美を抱き抱えると風が綾人に集まり
そのまま真上にジャンプしてビルの屋上
まできてしまう。
「え?え?いったい何が…」
「いいから!くるよ!」
綾人は恵美を抱えながら違うビルへと
飛び移る。
その瞬間、またさっきの場所で爆発がおきた。
「逃したか…」
「綾人くん…?」
恵美はゆっくりと綾人の顔を見る。
「恵美さんにみられちゃったね。話しをしないといけないかな」
いつもの綾人だったが、どこか悲しそうだった。
ついに爆発の原因を見つけた綾人。
恵美にも見られてしまい、話しをするという。
闇落ちとは?綾人は何を語るのか。