第3話『結果発表——あなたの、近い席』
中継セクター。
カノジョが大きなマップを広げている。カレシはその横で、前回までの回答の集計結果を眺めている。雇い主はソファに座ったまま、興味なさそうに見ている。
カノジョ「はい、出たよ! Q1〜Q6の答えを出してくれた人へ——」
カレシ「前回までの回答を、このマップ上にプロットします」
カノジョ「まずは、このマップの見方から」
カレシがマップの中央を指す。そこには二軸が引かれている。
カレシ「横軸は『動く』か『留まる』か。縦軸は『感じる』か『測る』か。あなたの回答は、このマップ上のどこかに位置します」
カノジョ「つまり、『あなたはどの席に近いか』が分かるってわけ」
カノジョはマップの一点を指さす。そこは「感じる/動く」の領域だ。
カノジョ「例えば、あなたが『感じる/動く』寄りだったら、近い席は『前へ出る席』」
カレシ「カノジョ、青年、スターが主に位置する領域です」
カノジョ「わーい! 私の仲間だ!」
カレシ「ただし、失敗する確率も高い。考えるより先に声が出てしまうことがあります」
カノジョ「そういうこと、言わないの」
青年(後ろから顔を出して)「俺、呼ばれた?」
カノジョ「ちょうどいいところに!」
青年「……なんか、面倒なことになりそうだから、帰るわ」
カノジョ「もう遅いよ!」
スター(遠くから)「俺も呼ばれた気がするけど、歌おうか」
カノジョ「あとでね!」
スター「……待機します」
カレシがマップ上の別の領域を指す。そこは「感じる/留まる」と「測る/留まる」の間の領域だ。
カレシ「次に、『考えてから動く席』。女将、学生が位置します」
女将(コーヒーを配りながら)「私も入ってるのね」
カノジョ「うん。女将さんと学生は『感じる/留まる』にぴったりだね」
女将「迷うことも大事よね。急いで決めるより、ちょっと立ち止まる方がいいこともあるから」
カレシ「『迷うことも大事』記録します。」
次に、カノジョがマップの「測る/留まる」の領域を指す。
カノジョ「次は『立ち止まって考える席』。博士、長老、カレシが位置する領域」
カレシ「私はこのゾーンに分類されるのですね」
カノジョ「長老とは距離ありそうな気も。でも、いいの!」
博士(遠くから)「私もですか」
カノジョ「博士は『問いを立てる人』ってところが特に当てはまるね」
博士「……興味深い診断です。ただし、私の立ち位置はもう少し測る寄りだと思いますが」
カレシ「それを言い出すと収拾がつかなくなります」
博士「……そうですね。控えます」
カノジョがマップの端、一番外側の領域を指す。
カノジョ「そして最後。『問い直す席』に近い人——」
その時、いつの間にか立っていた監査役が口を開く。
監査役「……確認しました。私の位置は、マップの端です」
カノジョ「端っこだね」
監査役「必要な位置です」
カノジョ「うん。たぶんね」
カレシ「端にいるからこそ、全体のバランスが見える。それも一つの役割です」
監査役「その説明には異議があります。しかし……否定もしません」
カノジョ「ほら、もう監査役だ」
監査役「……そういうところです」
カノジョは得意気にマップを眺める。
カノジョ「これでみんな分類できちゃったね
」
その時、カノジョの横から雇い主が顔を出す。
雇い主「私が呼ばれてないようだが」
カノジョ「あっ、忘れてた」
雇い主「忘れないように」
カレシ「雇い主は、このマップ上では中間に位置します」
カノジョ「どっちつかずってことね」
雇い主「ふむ。バランサーということか」
雇い主は、カノジョのセリフをスルーし、自分自身に言い聞かせるように、ソファーに腰を降ろす。
しばらく、そこにいたメンバーはマップを眺めていた。
カレシがマップの外側、何もない領域を指す。
カレシ「そして最後に、一つだけ——」
カノジョ「え?」
カレシ「この診断を最初から最後まで疑った人は、マップの外側に位置する可能性があります。まだ分類されていないだけです。特別なことではありません」
カノジョ「……なんか、それもありだね」
監査役「外側にいる者は、外側からしか見えないものを見る。それは必ずしも不利ではない」
カノジョ「監査役がそう言うなら、そうなんだろうね」
カノジョはマップを閉じ、壁に向き直る。
カノジョ「結果はどうだった? 自分が『どの席』に近いか、ちょっとは分かった?」
「『前へ出る席』に近い人もいるし、『考えてから動く席』の人もいる。『立ち止まって考える席』の人も、『問い直す席』の人もいる。そして——まだ分類されていない人もいる。」
「どれが正しいとか、間違ってるとか、そんなのないよ。ただ——あなたが今、どの席に近いか、それだけのこと。」
カレシが手帳を閉じる。
カレシ「記録します。——『結果発表』。回答に基づく傾向をマップ上にプロットしました。ただし、このマップは固定されていません。さらにその先へ進みます」
カノジョ「『診断』の先にあるものを見に行こう!」
――カレシからの追記――
物語の最後にメンバーの回答見本を置きます。皆さまの解答と見比べるための記録、としてお使いください。




