あわや400億円のトイレ
「ふぃ〜、今日もこの一瞬の為に生きてるな」
凛花は相変わらず好きな銘柄のビールを胃袋にかち込みすぐ様2缶目に手をつける
プシュ!
その乾いた音はまるで凛花の喉を潤す始まりの鐘の音の様...
一杯目は豪快に、二杯目は感謝して味わいながら飲む。これが凛花の流儀だ。
「ん〜!このビールは香りが良いんよなぁ」
香りを満喫しながら飲んでいると別の香りが漂ってくる。
以前嗅いだあの変な汁の異臭では無い。
何となく日本人なら誰もが嗅いだ事があるだろう懐かしく、落ち着く香り
隣を見るとやはりこの男、ステフが立っている。今日はタバコを吸っていない。
が、何かいつもと違う香りがする
「良い匂いするんだけどあんた何かつけてる?」
ステフは自分の手首辺りを嗅ぎ、答える
「この香水だろうな」
意外や意外、こやつ香水なんかつけてやがるのか
「あんたが香水つけてるなんて初めて知ったわ
しかも良い匂いだしなんか嗅いだ事あるのよねぇ...」
ステフはタバコに火をつけゆっくりと煙を吐く
「いつもつけてるぞ、タバコのせいで香水の匂いが消えてるらしい」
「なんて無意味な事してんのよあんた」
呆れた顔でステフを見る
匂いの正体が気になる私に気付いたのか一瞬家に戻り直ぐに戻ってきた
シュ。
顔から少し離れた所でステフが液体を噴射する
「おぉ!これこれ!タバコのせいで良い香りが半減してるけどはっきり分かるわ!新品の畳みたいな香り。藁だ。」
「何も面白い所はないと思うが?お前のツボは分からんな」
「その笑。じゃねーよ。普通わかるだろ話の流れで」
冷静にステフのクソ雑ボケにつっこむ。
「それはモラハラってやつか?」
「覚えたての言葉使ってくんじゃねぇ」
「けど海外の人達ってよくジャバジャバ香水使うわよね、酷い人は最早臭いまであるし」
「ヴェルサイユ宮殿に関係している」
「へーどんな?」
「あそこはみてくれは良く貴族が住んでいてんだが俺も住んでた時期がある」
「あんた今サラッとすごい事言ってる自覚ある?」
「あの時は水道設備が未発達でトイレが少なくとにかく汚かったんだ」
「私のヴェルサイユ宮殿のイメージが崩壊していく...」
「酷い時はおまるを使ったり、庭で済ませる奴までいた」
「洒落になんねーぞおい」
「悪臭が常に漂っていた...
あれは最悪だったな」
「見た目豪華にする前にトイレもっと作れよ」
「建築士がこんなもんちゃう?みたいなノリで作ったせいだな取り敢えず豪華にしようって考えが強かった」
「そこでこの香水が使われる様になった」
「あーね、頻繁に風呂に入らないから香水使うってのも聞いた事ある」
「あぁこの香水文化の裏側には涙なしでは語れない過去があるんだ。今は心を落ち着かせたりするそういう使い方になってきているみたいだがな」
「ただのお前らの不衛生をカモフラージュする為に使われただけだろ、美談っぽく話すな」
静かな夜でビールを飲む酒カス女とかたやタバコを吸い続けるヤニカス男
「ちなみにそれどこで売ってるの?普通に欲しいんだが」
「欲しいのか?ならこれをやる」
ホイっと瓶ごと渡される
「え、良いの!?」
「あぁ、昨日作ったばかりだからな」
「お前無駄な才能あり過ぎだろ!」




