アイドル剣闘士
凛花は缶コーヒーをステフに渡しながら、ふと呟いた。
「あんたってさ」
凛花は少しだけ目を細める。
「顔はかっこいい方だよね」
「モテるでしょ?」
ステフはコーヒーを一口飲む
「自慢じゃないが」
「昔はモテた」
凛花は思わず吹き出す。
「よくいるおっさんのモテエピソードみたいな入りだね」
ステフはタバコに火をつけゆっくりと吸い煙を吐く
「人気だった」
凛花はニヤニヤしながら問い詰める
「へえ、どれくらい?」
少し間があきベランダの通りからは男女の笑い声が聞こえる
「歓声が飛ぶくらい」
凛花が笑う。
「アイドルかな?」
巨大な闘技場。
そこには熱気、歓声が飛び交っていた
円形に囲まれ、中心には屈強な男たちがしのぎ削っている
「うおおおおお!!」
観客が叫ぶ。
凛花が目を丸くする。
「え?剣闘士?コロッセオって事?」
ステフは頷く。
「少しやっていた」
凛花が即返す。
「何でもかんでもバイト感覚でやんなよ」
闘技場。、
ステフが入るとたちまち歓声が上がる。
女達の声。
「キャー!!」
「こっち見て!!」
凛花が腹を抱える。
「アイドル過ぎるw」
ステフは淡々と続ける。
「俺は何故か人気でな」
「今でいう人気スポーツ選手をアイドル化したみたいな感じだった」
「そういう所マジで変わってないんだな人類」
大きい垂れ幕に板に文字を書いて掲げる女達
『ステフ愛してる』
『今日も勝って!』
『抱いて!』
様々な言葉が書かれている
凛花が爆笑する。
「最後完全に惚れてんじゃんw」
「グッズもあった」
木彫りの像から剣闘士のイメージカラーのアクセサリー人気の剣闘士ほど売れていく。
剣闘士の人気にあやかり良席に座る為の権利やグッズ販売を勝手にする輩まで出て来ていた。
「ファンクラブの起源ここ!?」
「個人で勝手に商売してるからな、俺には一銭も入らん」
試合
相手を倒す
歓声
ステフは少し困った顔をする。
「理解できなかった」
凛花が首をかしげる。
「何が?」
「なぜ騒ぐのか」
「そりゃ強くて顔良いからでしょ」
凛花は真面目な顔でキッパリと言う
ステフはぼそっと言う。
「顔は関係あるのか」
凛花が即返す。
「めちゃくちゃある」
「顔が良い奴がわーきゃーされるのは今も一緒」
ある日闘技場の外で女性達に囲まれる。
「結婚して!」
「一晩だけでも!」
凛花が腹を抱えて笑う
「モテすぎだろ」
ステフは煙を吐く。
「あれは面倒だった」
凛花が止まる。
「嫌味か?」
ステフは真顔。
「静かに飯を食いたかった」
凛花が呆れる。
「贅沢な悩みだなほんと」
「じゃあ昔かなりモテたんだ」
ステフは少し考える。
「多分な」
「自覚薄いの腹立つわぁ」
「でもさ、剣闘士って殺し合いだよね?お前人殺すの嫌いじゃん、なんで始めたの?」
「実際はそんな血生臭いもんじゃないぞ」
「いっときは殺し合いもしてたが主に娯楽だ
民間人の目が政治に向かない様にカモフラージュに使っていた感じだな」
「大分捻れた情報が今に伝わってるんだな 」
「まぁ今でもあんたの顔はイケメンだからモテると思うよ?」
「大体怖がられて避けられるか?」
「それは...ほら!あんた笑わないからだよ」
ステフの見ずに目を泳がす
「私は結構タイプだよ?」
「そうか」
あまり嬉しくない顔をするステフ
「お前殺すぞ」
どの時代になっても似た様な事をしている
そして女性達の好みもそうそう変わらないという事が分かった日だった




