ガリウルと面接
「ママ〜!」
「ガリウルどうしたの?」
「今日ね! 僕お友達と遊びに行くんだ!」
「あらそうなの、楽しんでらっしゃいね」
「うん!! 行ってきます!」
僕はすっと目を覚ます。昔の頃の夢を見たんだ。母さんが恋しい。家族が恋しいんだ。
眠い目をこすり、僕は時間を確認すると面接まで少し時間があることがわかった。
「朝ごはんでも食べに行こうかな」
一人でご飯なんていつものことなのになんだかすごく悲しい気持ちになる。
でも僕はすぐに気持ちを切り替える。
早く仕事を見つけて仕送りしないといけないんだから。
両手で両方のほっぺを叩き気合を入れた。
家を出て近くのカフェへと入ろうとする。
「お、お客様、も、もも申し訳ございませんが……!ここ、は地球人だけのお店なんでお引き取りください」
僕をみて怖がり、完全に拒否する店員。
そんなこと言ってもタコみたいな宇宙人が中に居る。
普通にご飯を食べているしあれはお客だ。
僕は肩を落とし仕方なくスーパーへ行った。
初めて見るパンと書いてあるモノ、天球にはそんなものはない。
僕は興味が湧きパンというモノを買うことにした。
スーパーを出て面接近くの公園のブランコに座りパンを頬張った。
「んん、うまい」
もぐもぐと口が進んで行く。
「母さんたちにもいつか食べさせてあげたいな」
僕はそれを食べ終わると公園の飲み水を飲み、面接場へと向かった。
僕はドアをノックして入る。
「失礼します」
面接官は二人いる。
僕が座る椅子の横にもう一つ椅子が置いてあり、もう一人人間の男の子が横に来る。
「えっと、友野翔?」
「は、はい!」
友野翔と呼ばれる男の子は緊張しまくっているのが見え見えだった。
それにちらちらと僕と目が合う。
面接官はどんどんと僕たちに質問してくる。
友野くんより僕の方がすらすらと質問に答えることができた気がした。
面接が終わり、その工場を出た。
友野くんという男の子は外に出るとふにゃりと座り込んだ。声をかけようと思ったが僕には時間がなかった。
僕は急いで次の面接へと行った。
次もさっきみたいな工場だった。
「失礼します」
またドアをノックして僕は中に入った。
「なんだお前は……! く、くるなぁっ」
面接官であろう人が僕を見て驚いた。それもそうだ、地球人は僕のような天球人を初めて見るのだから。
「面接を受けに来ました、ガリウルと申します」
「怪物……とは知らなかったんだ! 帰れ!」
出した履歴書を投げつけられ、僕は渋々その工場を出た。
工場を出る途中にクスクスと笑い声が聞こえた。
どうしてなんだろう? 地球人も僕から見れば変な生き物なのに、どうして違うものを馬鹿にするんだろう。
僕には違いを受け入れられない地球人が全く理解できなかった。
少し歩くとさっきのスーパーへとまた来ていた。昼と夜のご飯を買い、僕は家へと帰った。
僕はもう一度、求人広告を見て電話をたくさんかけ始める。
やっぱりどこも受け入れてはくれない。
「今日の面接受かってるといいな」
僕は心からそう思った。何十個も電話をかけた中、たった一つだけしっかりと面接をしてくれたんだから。
面接がうまくいかなかったわけじゃないけど、僕は受かる気がしない。
でもそんな事は何でもいい。
僕に普通に接してくれる人も居ることがわかったんだから、それでいいんだ。
「ふ〜ふふふ〜」
僕は鼻歌を歌いながら部屋の窓を開け、お昼ご飯を食べ始めた。