水菜のお店
僕は天球の料理を幾らか作ることになった。
それから二週間が過ぎる。住み込みで料理を考えていた。お客様に出せるような盛り付け、そして天球料理をここのシェフ達に教えることだ。
僕がそうしている間、店は閉め切っていた。水菜さんは外でアルバイトを始める。僕を信じてくれているのだ。他の従業員も最初は僕を嫌な目で見てたけど今は水菜さんの力もあり、少しは僕にも合わせてくれるようになっていた。
この店のシェフは覚えが早く、僕が教えたものを一回で作って見せた。
「これで僕の知ってる天球料理は以上です。ありがとうございます」
僕がそう言うとみんなは笑って言う。
「水菜さんのためだ。俺ら結構ワケありな従業員だったし。最初は冷たくしたけど……あれは悪かったと思ってる」
シェフもみんなも頷いている。僕も笑った。地球人はやっぱり面白い。感情がコロコロ変わるもの。僕がこんなことを考えてるうちに従業員の一人が水菜さんに電話をし始めた。
「もしもし、水菜さん? すぐに帰ってきてください! 店もう出せますよ! 雰囲気も少しは変わったと思います」
彼がそう言った数時間後、水菜さんは慌ててお店に入ってくるとともに息を切らしながら言った。
「みんなっ! もう出来たって……本当!?」
みんなはびっくりした表情で水菜さんを見る。しかし、その表情はすぐ和らぐ。
「落ち着いてください。味も問題ありません。店ももう出せる状態です」
水菜さんは辺りを見回した後、苦笑いをした。
「ええ、そうなんだけど……この椅子、なんでこんないろんな形があったりするの? あと色も場所も変だよ」
その一言にみんなは一気に黙り込む。これは僕の案だったのだ。
「ごめんなさい。みんなが僕を少しでも受け入れてくれたように、ここの店の人はいろんな宇宙人を受け入れられると思うんです。だからその……」
「そうですよ! この店に来るのはみんな地球人だけで面白くないですよ!」
あんなに僕を嫌っていた者もこんな事を言ってくれた。
「宇宙人っていろんなやついるし、地球人の椅子じゃ入らないやつも居るって事で、いろんなサイズや色合いを使いました。だめなら戻します」
水菜さんはみんなの顔を見ていた。そして、一つため息をつくと笑った。
「いいわよ、その代わり呼び込み、貴方たちに頼んだわよ」




