アマウルの病気
ガリウルが天球を去り、どのくらいがたっただろうか。
「ねえ、ママ……。お兄ちゃんは帰ってこないの?」
シャルウルが母親のアマウルに問いかける。しかし、返事はない。
「ママぁ……ママぁ……」
シャルウルは泣きながら母親を呼ぶ。
「アマウル……!!」
母親の友人がガタンっ!と大きな音を立て病室のドアを開けた。シャルウルはぐちゃぐちゃになった泣き顔で音のする方を見る。
「あ、シャルウル」
「おば……さ、ん」
シャルウルは声をあげて母親の友達のサラムおばさんに抱きつく。サラムはもう大丈夫よとシャルウルの頭を撫で、抱きしめ返した。数分間の沈黙の中二人は抱きしめ合ったままだった。
シャルウルは安心したのかサラムの腕の中で寝てしまっていた。
「シャルウル、もう大丈夫よ」
サラムは彼女を起こさないようにアマウルの横へ寝かせた。
「失礼します。大きな音がしたんですが……」
「先生。すみません、大きな声を出して。だけどいいお知らせがあるの!」
次第に大きくなるサラムの声。
「一旦外へ出ましょうか」
「すみません」
「それほどいい知らせなんですね」
「それはもう!」
また大きな声を出してしまい口を手で覆う。
「早く出ましょう」
サラムは小声で先生に言い病室を出た。先生もその後に続き病室を出る。病室から少し離れた診察室へと移動した。
「それで、いいお知らせとは?」
「アマウルの手術費がガリウルから送られてきたの!! これでアマウルを治して先生!!」
大喜びしながら100万という大金を机に置いた。地球ではたった一つの札束くらい。そう思うだろうが、ここでは物価も安く給料も安い。100万と言うのはものすごく大きいものだったのだ。
「こんな大金……ガリウルくんはどうやって貯めたんだ?」
「地球は物価も高いし給料もここよりいいと聞いたわ。きっとこれくらい簡単だったのよ!」
「うーん。危険なことをしてないといいが」
「先生! これでアマウルを治せるのよね」
「もちろん。100万なんて多すぎですよ。70万で十分です。では早速準備にかかりましょう」
「ありがとう先生! シャルウルにも言わなきゃ」
サラムは診察室を出るとニコニコしながらシャルウルの元へ行った。しかし、嬉しいお知らせが来たにもかかわらず先生は難しい顔をしていた。
「シャルウル! お母さんの病気治せるわよ」
病室を開けると共にサラムは声を出した。しかしシャルウルが寝てるのに気づき、また口に手を当てた。
「これで少し安心ね。アマウルも早く元気になるのよ」
サラムはシャルウルの頭を撫でやさしく笑った。




