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これを運命といいます  作者: 円寺える


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第10話

 下校中、聡里は幸雄を間に挟んで歩く。細い道を一列で通った後も三人並ぶ際に必ず幸雄を真ん中にする。

 そうあからさまに避けると朱里が可哀想なので後でそれとなく注意しておこうと誓った。


「白井くんの家はどの辺りなの?」

「俺の家は、城之内さんの家の前を真っ直ぐ進んだとこにあるよ。あそこから十分くらい歩いたとこかな」

「そうなんだね、聡里ちゃんの家はどの辺りなの?」

「一丁目」

「私の家からちょっと遠いね、なんかごめんね。明日学校に持っていけばよかったかな」

「大丈夫大丈夫!聡里が行くって言ったんだから、そんなに気にしなくてもいいよ!」


 聡里の素っ気なさにため息を吐きたくなった。

 楽しく話をしろとまでは言わないが、ある程度は仲良くしてほしい。


「あ、ここだよ」


 朱里の家は、いかにも女の子が住んでますという雰囲気が出ている家であり、強盗が入らないか幸雄は心配になった。

 外から見えるカーテンは花柄で、もう少し危機感を持っていた方がいいと幸雄は思った。


「城之内さん、この家のカーテンは城之内さんが買ったの?」


 玄関で靴を脱ぎ「お邪魔します」と一言添えてリビングに入る。

 アップルパイを渡すだけというのもどうかと思い、態々招き入れた。

 朱里からお茶をもらいながら花柄のソファに座る。


「ううん、ほとんどお姉さんの趣味だよ。私はちょっとだけ雑貨を飾らせてもらってるだけなの」

「そうなんだ、でもこの家可愛いしカーテンも女物だし危ないよ。せめてカーテンは無地にしたり、性別が分からないようにしないと」


 玄関の前にもカラフルな花が置かれてあったし、せめてカーテンくらいは何か他のものにした方がいいのでは、と思ったのだ。しかし朱里のきょとん顔を見て、お節介だったかと焦る。

 うざい男だと思われたかもしれない。


「あ、でも、家主さんが困るか。勝手に物を変えられないもんね」


 こんなことで嫌われたくないので必死に弁解をする。


「うふふ、いいえ。お姉さんは暫く帰ってこないしこの家も好きなようにしてと言われているから大丈夫」

「そ、そっか」


 嫌われることはなかたようで安堵する。


「あ、そうだ。そういえば今日のチラシに…」


 そう言って台所に行った朱里を見計らって聡里は口を開いた。


「親戚のお姉さんの家だとか言ってたけど、本当はどうなのかしらね」

「何がだ?」

「だっておかしいじゃない、少なくとも一人暮らしで一軒家を与えられるなんて。普通アパートとかでしょ!」

「だからそれは、親戚が家に帰らないから借りてるだけだって」

「それにしても、よ。そんな太っ腹な親戚いる?自分が帰らない間に何されるか分からないのに」


 聡里は、この一軒家に一人で住んでいるのが不思議で仕方ない。不思議というよりは疑っている、何をそこまで疑っているのか幸雄には理解できなかった。


 自分が帰らない間に何をされるか分からない、と聡里は言ったが仲の良い親戚なら信用しているだろうし、そこは自分たちが知らなくても良い部分だ。


「お待たせ。これ、今日のチラシなんだけどカーテンが安くなってるの」

「本当だ、近くの家具屋だ」

「実は私もカーテンを変えようと思ってて、明日か明後日にでも買いに行く予定なの。だから白井くんがカーテンを買い替えた方が良いって言ったときすごくびっくりしたの」


 これは運命を感じる。


「このチラシだと安くなるのはこの種類のカーテンだけみたいだね」

「そうなの、だからどれにしようか今日決めておこうと思って。白井くんはどれが良いと思う?」

「俺?うーん、そうだな、俺はこの灰色かな」


 どれが良いと思う、と聞かれて困った。

 幸雄はセンスが皆無だ。

 オシャレやファッションとは程遠い位置にいる幸雄は、カーテンですらどれが良いのかよく分からない。カーテンにも流行りとかあるのだろうか。


「聡里ちゃんは、どれが良いと思う?」

「どれでもいいんじゃないの、安いなら」


 愛想がないのはいつものことだが、今朝のバスケが余程気に入らなかったらしくあれ以来聡里は敵意むき出し状態だ。

朱里はさほど気にしていないようで「そうだよねぇ」と笑っている。


「じゃあ、このグレーにしようかな」

「えっ、本当にいいの?俺こういうの本当に分からなくて、もっとオシャレなものとかが良いんじゃない?」

「ううん、これがいい。実は私も聡里ちゃんと同じで安かったらどれでもいいかなぁ、なんて」


 それはつまり、自分に決めてもらうつもりだったということか、自分が決めたカーテンを使うということか、と心躍った。



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