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これを運命といいます  作者: える


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第9話

「おい聡里、さっきのバスケは城之内さんが可哀想だったぞ」


 授業が始まる前、幸雄は朱里と話がしたかったが他クラスの生徒が朱里と喋りたいがためにやってきて、彼女は他クラスの生徒の相手をしている。

 幸雄は仕方なく前の席に座っている聡里に話しかけた。暇なのだ。


「当然でしょ」

「は?」

「どんな風にやり過ごすか見たかったのよ。やだぁ、できなぁいとか言ったらその場でウザいって言ってやろうかと思って」

「おま、性格悪いな」

「意外と反応が普通だったから面白くなかったけど」


 ここまで包み隠さず嫌悪を露わにするのもいっそ清々しい。


「あんまり城之内さんをいじめてやるなよ、転校してきたばかりで心細いんだから」

「どうだか」


 たった一人引っ越してきて知り合いは誰一人いない中の転校は不安で不安で仕方ないに決まっている。

 転校初日からクラスメイトに嫌われるなんて、自分だったら不登校になるところだ。


「幸雄は可愛い子に甘すぎんのよ、これかだから変態は」

「はぁ、お前なぁ、その性格どうにかしないと友達減るぞ」

「生憎、性格の不一致で離れる友達とは最初から仲良くなりません」


 可愛くない女だと思う。

 それだから彼氏もできないんだと悪態をつく。

 聡里が告白されるという話は聞いたことがないし、聡里が片想いだなんてそれこそ想像がつかない。

 こんな女を彼女として受け入れてくれる器の大きい男はいつ現れるのやらと、親心を持って思う。

 

 聡里も顔は悪くない。ただ性格が悪いだけであとは問題ない。性格が悪いというよりも思ったことは何でも言うタイプなため、性格が悪いという風にもとられてしまう。そこをもっと抑えれば可愛い女になれるのに、口を開けば可愛くないことばかり言う。


 小学生からの付き合いであるため、聡里に彼氏ができたら少し寂しい気もするが、煩いのがいなくなったと思うと少し嬉しくもある。複雑な感情だ。


「白井くん」


 他クラスと喋っていた朱里だったが、どうやら解放されたようで席に座っていた。

 聡里と話が途切れたタイミングを見計らい、幸雄に話しかける。


「城之内さん、もう他のクラスの子と友達になったの?」

「うん、皆すごく良い人で今度街を案内してくれるって」


 たくさん友達ができて本当に嬉しそうだ。


「あ、そうだ、白井くん甘いもの好きかな?」

「甘いもの?まあ、嫌いじゃないよ」

「じゃあ、アップルパイとかも食べられる?」

「うん」

「あのね、昨日家でアップルパイ作ったんだけど余っちゃって。よかったらもらってくれないかな?」


 不安そうに少し上目遣いで聞く朱里に幸雄は即答で「うん」と答えた。

 美少女の手作りは何でも美味しいに決まっている。例え失敗して黒焦げになったとしても、幸雄は喜んで食べるつもりだ。


「よかった!じゃあ今日の放課後、一緒に帰ってもいいかな」

「もちろんだよ!!」


 まさかこんなに早くもう一度家に行くことになるなんて思わなかった幸雄は、「折角きたんだからお茶していく?」と長居の期待をした。


「あたしも行っていい?」


 妄想していた幸雄だが、それを壊すように聡里が横から入ってきた。


「聡里ちゃんもアップルパイ好きなの?」

「まあね、あたしも今日は暇だし放課後一緒に帰っていいよね」

「うん、大丈夫だよ。白井くんと三人で帰ろうね」


 朱里と二人きりで帰って二人きりの空間を作りたかった幸雄は邪魔が入ったことに肩を落とした。


 聡里は朱理のことが嫌いだが、幸雄は朱里が好きだ。それが恋愛だとかはまだよくわからない。美少女で優しく可愛い。これが恋でないなら何と呼ぶのだ。


「放課後楽しみだね」


 嬉々として言う朱里とは裏腹に聡里は鋭い視線を送っていた。



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