クラゲが苦手
田舎の漁村で生まれ育ったせいか、クラゲに苦手意識があります。毎年夏ごろになると学校でも家でも、危ないから近寄るなと大人たちに言われるのでクラゲは敵であるという認識を刷り込まれます。
よく見るミズクラゲはそこまで毒性が高いわけではないものの、網に入ると魚を殺して鮮度が落ちてしまうこともあるので、強く警戒させる理由としてそうした恨みも大きかったのではないかと思います。
内海で結構な数の個体が浜に打ちあがっていたりプランクトンの増えた緑色の海を漂っている姿ばかりを見ているので綺麗なものとも認識できません。そのため、水族館でライトアップされている様子などを写真や映像で見ると体が即座に「敵がたくさんいる!」と反応してしまいます。綺麗なものなんですかね、あれ。
幻想的だとは思えないんですよね。そこら中にいるし打ちあがっているので。
ただ、独特の繁殖方法を知ると人間の想像もつかない世界があるのだなと神秘性を感じてしまいます。プラヌラとかポリプとかとても不思議な生態ですが、それで世界中に仲間が増えているので最適かつ合理的な繁殖方法なのだろうとも思います。もしクラゲに人間的な意思があれば、脊椎動物の繁殖の方が不思議だし意味が解らないといった感想になるでしょうね。
そんな感じで苦手なクラゲですが、近年別の方向から私の中での評価が上がってきました。赤潮です。
毎年のように赤潮が発生する地域に住んでいるので温かくなってくるとどんどん海水の色が濃くなってきて、今年も始まったかあ、などとうんざりした気分になるものです。地域経済への打撃はもちろん臭いがきついですし、昔はここまで頻繁には発生していなかったので気候変動の実害が出ているという実感が湧いて恐いんですよね。
赤潮シーズンが近づいてくると餌となる動物プランクトンの増加に伴いクラゲも増えてきます。結構な数が浮いていて散歩中などにそれを見るとうわ、という気分になります。
クラゲの増加それ自体は赤潮には影響しないものだと考えられます。赤潮は植物プランクトンの爆発的増加、クラゲの主食は動物プランクトン。
しかし、クラゲが溶解して生み出す成分には一部の藻類を殺すという効果があり、その中には赤潮で甚大な被害を引き起こすカレニア属も含んでいるようなのです。毎年発生して養殖に数億数十億の損害を与えてくるカレニア・ミキモトイにも効くようです。藻類を殺す効果があるとしてもどれくらいの濃度が必要になるのかとか、その濃度を海中でどれくらい維持できるかとか問題はたくさんあると素人でも想像がつきますが、あの海に浮かんでいるクラゲたちも多少は赤潮の被害を軽減していると思います。
そうした理由で、一方的に敵視するようなもんでもないのかなと思うようになってきました。そもそも、あれだけの数が広く生息している生き物なのでクラゲを敵視するということは生態系の観点から海洋生物全体を軽んじることにも繋がるようにも思えます。ありがとうクラゲ。
でもあれをライトアップして幻想的とは思えねえ。




