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新江の島縁起〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜  作者: 綿野草空希


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3.7 C調言葉に気をつけて7

 「この姿なら、普通に生活出来ますぅ~……」


 「体が痩せたのは、超複製の能力によるものだろう」


 「超複製は、壊れた不必要な細胞を、瞬時に正常な細胞に置き換えてしまう[最適復元力]、いわばその体最大のポテンシャルを形状記憶するみたいなもんだな」


 「太ったお前は不必要な細胞だらけだったのだろう」


 「あまりに最適とはほど遠かったために、体内に入ったばかりの零型BIP細胞は、しっかりと定着して機能するまで、時間がかかってしまったと推測出来るな」


 「はぁ、なるほど」


 よく分からないので、生返事をする。


 「定着するまでは時間がかかったが、今後は凄いぞ? お前は、例え瀕死の重傷を負っても瞬時に治癒する、不死身の肉体を手に入れたんだぞっ」


 Dr.はドヤ顔で僕を見る。


 「はぁ、瀕死の重傷でも……そのぉ、その時は痛くはないんですか?」


 「いや、治癒するまではめちゃめちゃ痛いだろうな。なんせ瀕死の重傷だからっ」


 Dr.はそう言って、いいねっ! と親指を立てて微笑んだ。


 「うわぁぁ、例え治るにして、それは嫌だなぁ……」


 まったく、他人事だからって、この人は……


 「それより、最適化されたポテンシャル最大の肉体をちょっと見せてみろ。上着を脱げ、モルモット」


 Dr.が強引に、ブカブカの制服を剥ぎ取ろうとする。


 「わっ、分かりましたからっ、自分で脱ぎます」


 破られてでもしたら堪らないと、慌てて、自分で脱ぐ。


 「おおおっ!! うんうんっ、コレだよっ。この筋肉質で見事に均整の取れた体だよっ、コレを予定してたんだ」


 Dr.がペタペタと触る。


 女性に裸の上半身を触られているが、そこには一切の色気もない。


 なぜならDr.の触り方は、完全に実験体モルモットでも扱うような手つきだったからだ。


 「お前がデブいせいで、変化するのにここまで時間を要してしまうとは、天才の私でも想定出来なかったぞ」


 「あー、注射の後に[出でよっ!]とか言って、ポーズ取ってましたもんね」


 「うっせ。なんか生意気だぞ、元失敗作」


 Dr.ヘッドランドはそう言って、僕のお腹をペチーーンと叩いた。


 「うーーむ、しかし本当に素晴らしく成功したなっ!」


 「現状で人間の限界に達しているはずだからな、戦闘員服程度のパワースーツを着ただけでも、驚異的な戦闘力を発揮するぞっ!」


 「おい、ちょっと軽くジャンプしてみろ」


 「はい? ジャンプですか?」


 「ああ、軽くだぞっ、軽くだ」


 「はぁ、軽く……」


 よく分からないが、言われた通りに軽く跳ぶ……


ビョンッ!


 「わわっ!?」


ガンッ!?


 「痛ってぇぇ!?」


 その場で軽くジャンプをしただけなのに、あっと言う間に天井まで跳び上がり、頭頂部を強かにぶつけてしまった。


 着地して頭を擦る。


シュン……


 嘘みたいに、一瞬で痛みが消えた。


 「うん、やはりトップアスリート並みの身体能力になっているなっ。これでお前専用のパワースーツを開発したら、凄まじい強さになるぞっ」


 Dr.がガッツポーズをして喜ぶ。


 (これが超複製の治癒能力と、最適化された肉体の最大ポテンシャルか……)


 僕は、二つ同時に自身に備わった特殊能力を体感して、少し戸惑いを覚えた。


 「くぅぅぅ~~、とにかく、これで大成功だぁぁ~~」


 Dr.ヘッドランドは、両手を上に上げて、ぐぐっ~と伸びをした。


 すると、ポキポキと背骨が鳴った。


 「はぁぁ~~、正直ホッとしたぞぉぉぉ~~~。私はこの一週間、どれだけ針のむしろだったか、お前に分かるかあぁ~?」


 Dr.が伸びながら、恨みがましい目を向けてきた。


 「……何かすみません、太ってて………」


 僕が悪いのかなぁ? と疑問に思いつつも、頭を下げる。


 「いいよ、結果オーライだ。ふぅ~、何かホッとしたら喉が渇いたな……」


 Dr.ヘッドランドはヒラヒラと手を振ると、僕から離れて机の横にあるポットの前に行く。


 「お前もコーヒー飲むか?」


 「あ……頂きます……」


 Dr.ヘッドランドは特に応える事もなく、黙ってインスタントコーヒーを、BIPのシンボルマーク(八方睨みの亀)がプリントされた二つのマグカップに入れ始めた。

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