3.2 C調言葉に気をつけて2
水曜日……
木曜日……
金曜日……
土曜日……
「うぅ……今、何時だ?」
体を少し起こして、ベット脇のデジタル時計を確認する。
表示は、土曜日の12:00となっていた。
「あぁ……もう土曜日かぁ……ずいぶんと長引く風邪だなぁ……」
一時期よりは大分楽になってきたが、それでもまだ、本調子にはほど遠い。
「今週はずっと、学校を休んじゃったなぁ……まぁ、いいや。おしっこしよ」
体を起こす。
あの日以来、ほとんどの時間をベッドの中で過ごしてしまった。
起きるのはトイレと、たまに、いつの間にか置いてあるお粥を食べる時くらいだった。
ふらりと、立ち上がる。
ずるり……
ベッドから立ち上がると、ズルっとトランクスがずり落ちた。
「う……また、ゴムが伸びたか……」
僕のお腹はゴムの天敵のようで、こうしてよく破壊してしまう。
トランクスを手で押さえたまま、階段を下りてトイレに入る。
用を足して、久しぶりに居間へと向かう。
しん…………
「あれ?」
土曜のお昼だというのに、居間には誰も居らず、しんっ、と静まり返っていた。
「おかしいな……」
キョロキョロと見回すと、テーブルに、一万円が添えられたメモが置いてあることに気がつき、手に取る。
[三人で、相模原のお義父さんの所に行って来ます。帰りは日曜日の夕方の予定です。食事代を置いておきますね。母より。11:00]
「……あー、この前、そんなことを言ってたな……」
今週末は、父さんの親、僕のお祖父ちゃんお祖母ちゃんが住む、相模原に行くと前から言っていた。
妹はあの周辺にある、青学などにも興味があるらしく、今回の帰省の目的は、相模原、町田、八王子周辺に点在する幾つかの大学を、妹が見学して回ることにある。
「僕の方が、先に進路を決めないといけないことについては、誰も気にしないんだよなぁ……」
ちなみに妹は現在、有名な進学校の[私立北鎌倉学園高校]の一年生で、進みたい大学の大本命は、保土ヶ谷にある国立大学だそうだ。
一万円を掴む。
「……普通、病人に食事代を渡さないよね? まあ、母さんらしいけどさ……」
出かけるのも、作るのもキツイから、別に食べなくてもいいか……
まだ食欲もないし……
僕はそのまま部屋に戻ると、再び、眠りについた……




