僕のご主人様
今まで、彼女の犬だった彼が、棄てられたのに、彼女に必死ですがりついている。
「みいちゃん!みいちゃんごめん!!ごめんなさい!!もう飲み会なんて行かないから!!!」
みいちゃんに棄てられてなるものかと、みいちゃんにすがり付く。
みっともなくても構わない。
なんとかみいちゃんに赦してもらわなくては!!!
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」
みいちゃんの脚にすがり付き、懇願するが、みいちゃんは何の反応も示さない。
……この反応は知っている。
……どうでもいいものに対するものだ。
『どうでもいいもの』は、みいちゃんに声が届かない。みいちゃんに姿が見えない。みいちゃんから反応してもらえない。
でもここで諦めたら終わりだ。
「みいちゃん、俺は、みいちゃんだけの犬だよ。ご主人様に棄てられたら生きていけないよ!」
う~ん……必死だねえ。
端から見ると、彼女がヒドイんだろう。
でも彼女に恋している僕としては、このチャンスを逃すわけにはいかないから、この『元・犬さん』が邪魔なんだよねえ。
早く退いてほしいなあ。
待ってられないし、声かけちゃおっと。
「美夜さん。今飼っておられる犬がいないのなら、僕を飼ってもらえませんか?」
「なっ!ふざけるな!!みいちゃんの犬は俺だけだ!!!」
「……可愛い。チワワみたい。」
「みいちゃんっっっ!!!」
『元・犬さん』が喚くけど、彼女は僕だけを見つめてくれる。
嬉しいなあ……。
「私は、自分の犬が、私の言うこと聞かないのって大嫌いなの。それでもいい?それに、私以外の人間になつくのも赦せないわ。もし、破ったら、即座に棄てることになるけど、本当にそれでいい?」
「もちろん、お約束しますよ。」
「じゃあ、私の犬になって。」
「喜んで。」
ああ、幸せだ。
やっと彼女の犬になれた。
棄てられないよう、可愛い犬になるから、美夜さんも犬は僕でおわりにしてねっ!
……ここから、僕の幸せで華麗な 犬ライフは始まりました。




