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婚活ごっこの結果

ん~ 加瀬恭子とパーティに出る?


それって出来レースだろう?

結局、オレたち2人がカップルにならないか?

オレの意見を聞いて、彼女は大笑いした。


「じゃあ、パーティに行くの止めて、ここで会ってるんだし

        この場を婚活パーティとしましょう」


『どういう意味なんだい?』


「初対面のつもりで話すんですよ。初めましてから」


『改めて、話するつもりでかい?』


「ええ、私たちは今初めて出会いました~ ねえやりましょう~」


彼女は楽しそうだった。

ここで婚活パーティごっこをやろうというのか?

さすがにオレはイヤだった。51だぜ、オレ。

やっぱりこういうとこはお子様だな・・・・

困った事に、この子は言い出したら聞かない。

しかたなく、オレはパーティごっこに付き合うことにした。



初めましてから2人とも軽く会釈する。

なんとなく照れくさい。どうしても笑ってしまう。

彼女は笑わず、真剣な顔をしている。やっぱり慣れてるんだな。

真面目な顔に申し訳ないような気がしてきた。

オレも本当に初めて出会ったつもりで話をすることにした。


挨拶、年齢、仕事、趣味などを慌てて話す。

こんな事を人に言うのは生まれて初めてかもしれないな。

始めはバカにしていたオレも、段々本気になってきた。

3分くらい話をした時点で彼女は言う。


「はい、今はお見合いルーレットですから

       1vs1の話はこれくらいで終わりです」


『こんなに短いの?挨拶だけじゃん』


「はい、このあとフリータイムで、気に入った人や

       話の合いそうな人に声かけてそこでアタックですよ」


なるほどねえ。じゃあ、今からフリータイムってことか?

でも、フリータイムって言っても2人しか居ないからなあ(笑)

バカバカしいなあと思いながらオレは楽しかった。

独身になった今、こうして加瀬恭子と出会っていたら・・・・

きっとプロポーズをしていただろう。


そう思いつつ、話は弾む。

当たり前だ。何度も愛し合った関係なんだから。

でも、やはり婚活ごっこの果てに話は真面目にしないと。


オレは最後に言った。


『今の彼、イヤじゃないなら、進めろよ』


「・・・・ダメなんですか?」


『オレとか?』


「ええ・・・」


『正直、そうなりたいよ。でもまだオレは自分の負の部分が拭えない』


「離婚されて、すぐだからですか?」


『今から考えて答えがでるかどうか・・・

           いつ、この思いが晴れるか?わからないのさ』


「私待ちます」


『君の想いは嬉しいよ、でもオレ、その言葉も辛いんだ』


「私が良二さんをあきらめるほうが、気が楽になりますか?」


『気が楽というか、自然に考えてくれないか?

           今の彼、オレと関係なく考えてくれよ』


『このまま上手くいくかもしれないし。

         オレだって、新しい相手に出会うかもしれない』


「・・・わかりました。でも、でも、連絡だけは・・・」


『うん、それは話とか、相談はしよう』


彼女はその言葉に安心してくれた。


今回の婚活ごっこではっきりした。


オレは独身になったが、やっぱりダメだ。


加瀬恭子とだけは・・・




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