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号泣

加瀬恭子と久しぶりに会った。

12日のデートを葬式だと偽り、その後26日の協議。

離婚も無事に進み、精神的にも落ち着いた。


会ったと言ってもスカイプだが、久々に話ができた。


この前、報告で聞いていた男。どうなった?

公務員の40歳。お付き合いしてるのかい?

オレは軽く楽しげに尋ねてみた。


返事が重い。

どうやら、オレが嬉しそうに聞くのが気に入らないらしい。

もっと嫉妬しろ。という。早く別れたいんだろう?と言う。


おいおい。やけに絡んでくるじゃないか?

オレにどうしろというのだ?


オレは懇々と話をした。

年齢を考えろ。条件もいい。

向こうも乗り気なんだろう?

結婚する気はないのか?

チャンスは逃すな。


まるで結婚相談所のように話した。

行ったことないから分からないが、そんなつもりで。

彼女は何度か、気が乗らないと否定的だったが

オレの懸命の説得が間違いだとは思っていなかった。


きっと、オレとその40の男と比べているんだろう。

手前味噌だが、オレの方が背は高いし、年収も上だと思う。

ただし、オレは結婚できる人間ではない。

いや、正確には、もうすぐできるのだが・・・・

そう言いそうになったが我慢した。


彼女はイヤそうに言った。


「それがね・・・年も年だし・・・

      加瀬さん、真面目に考えてもらえないかって」


『おお!プロポーズだな!』


「はい・・・で、私」


『受けたのか?』


「少し待ってほしいと、まだ出会ってすぐだからって」


『まあ、期間は短いけど、そういうカップルも多いぞ』


「・・・・」


困った顔で返事をしない。

本心はどうなんだ?

画面越しにイライラしだしたオレに気づいて

よけいにオロオロしている。


『言いづらかったら、カメラ消して声だけで話すか?』


「いえ・・・」


オレは自分のカメラを消して言った。


『さ、カメラ消して、電話でいこう!』


彼女もカメラを消したが、言葉の重さは変わらなかった。

逆に顔が見えないから、話を聞いているのか?わからない。

オレはよけいにイライラしてしまった。


『オレいちおう君の彼というか

         心の支えって言ってくれたよね?』


『言いたくなかったら、いい。恭子ちゃん、もう寝るか?』


「ごめんなさい、言います言います。思ってること・・・」


「・・・・・・」


しばらくの沈黙だったが、泣いていることがわかった。

オレは何も言わずに言葉を待った。


「・・・・・・」


もう話を聞くのも無理だなと思った。


『ごめん、無理やり聞き出すのもなんだな。また』


もう今日は寝ようと言うつもりだった。


その瞬間。


「だって~ 好きなんだもん。離れるのイヤなんだもん~」


そういうとワ~っと声を上げて泣き出した。


予想はしていたけど・・・


離婚したって言おうかな・・・




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