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バレンタインの手紙

2月9日夕方。


オレは加瀬恭子にメールをした。

まだお互い仕事中なので事務的なメールだ。

名前を一切入れないのが、仕事中の証拠。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


お疲れさまです。

たった今、私の叔父が亡くなったと連絡が入りました。

11日、お通夜。12日が葬式になります。

つきましては12日の会合が中止になりました。

すいませんがよろしくお願いします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


彼女からは、叔父様のご逝去、ご愁傷様です。

どうかお気をつけてと返信があった。


しかたない。かわいそうだが、これしかない。

このまま、なし崩しにお別れに持って行こう。

その夜も家には帰ってない体にしなくてはならない。

加瀬恭子が事業所に連絡をすることは絶対ないから大丈夫だ。


オレはただの休みになってしまった12日を独りで過ごした。

これが当たり前の休日なのに、寂しくてしかたがない。

これからは本当の一人になるんだ。そう言い聞かせた。


14日夕方。マンションの集配ボックスに小包が届いていた。

爆弾じゃないだろうな?バカなことを思いつつ包みを開く。

加瀬恭子からのチョコレートだった。

高級チョコだ。無理しなくていいのに・・・

中には手紙が入っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


良二さんへ


バレンタインデーですね。

良二さんは今どうしてるのかしら?

独りのバレンタインでありますように!(ごめんなさいね 笑)


いつもスカイプで会えるけど

やっぱり会いたいなって思ってしまいます。


私も何とか、かんばっていますよ。

婚活もしてます。あまり気は進まないけど・・・

だって、誰と出会っても良二さんが浮かぶんですもの。


すべてにおいて素敵な良二さん。

どうしてそんなにカッコよくて強くて優しいの?

神様はどうして、私に良二さんを会わせたのかしら?

哀れなアラフォー女へのひとときのプレゼントにしては

あまりにあなたは素敵すぎるから。


いつも思うんです。


いつか、あなたに飽きられる日が来る。

いつか、お別れが来る・・・・


その時は感謝で、笑顔で、消えていこう。

良二さんと過ごした日々を心のささえにがんばろう!って。


感謝の手紙が愚痴みたくなってごめんなさい。


出会ってくれて、ありがとう。


これからも私の心の支えでいてください。


良二さん


愛してます 


St. Valentine's Day に心をこめて


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



お別れを決めたオレにこの手紙かよ?


惚れている相手からの一言は効くなあ・・・・


それこそ、オレが言いたいよ。


神様。なんで加瀬恭子に会っちゃったんだ?


オレにどうしろっていうんだよ?


やっぱりすがりたくなるじゃん。


オレは自分の弱さがほとほと嫌になった。







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