逢瀬
40㎡の部屋。
シンプルできれいだ。
BGMで流れるジャズフュージョンが心地よい。
ソファで2人、寄り添う。
彼女と軽く手をつなぎながら、見つめ合った。
『やっぱり上品で、きれいだな』
思わず口に出た。
「慣れなくてごめんなさい、どうしてもダメって思っちゃう」
また聞きなれたセリフを言ってうつむく。
『ダメな女なのかい?オレの彼女の悪口いうなよ』
そう言って抱きしめた。
応えるようにオレに、しがみつく。予想以上に激しいキス。
スーツのままだ。彼女の背中を叩きながら離れる様にたのむ。
「やだ私・・・しわになりますよね」
オレは頷いて、笑顔で立ち上がりスーツを脱ぐ。
赤い顔のまま彼女はクローゼットへ向かう。
やっぱりたおやかだな。スーツをハンガーにかける仕草を見て思う。
言えばまた否定するから黙ってはいるが、本当に女らしい。
ディナーまで少し時間がある。シャワーでも浴びてゆっくりしよう。
食事の前にお風呂を浴びようという話になった。
どうするか?相談したのだが
さすがに2人でお風呂に入るのは恥ずかしいらしい。
でもここはシャワーブースと浴槽が離れている。
別れて入ることもできるし、入ろうとオレは誘った。
「メガネ外せば、よく見えないから、恥ずかしくないかしら?ふふっ」
照れくさそうに笑う。
『あ!オレも老眼じゃん。距離が近けりゃ見えないよ』
「もー またそういう事言う~」
あ、またオレの肩を叩きに来た。
もちろん軽くなんだが、こうして触れにくるのが彼女の癖なんだ。
オレは癖を出してくれたことが嬉しかった。
信頼して、甘えてる、慣れてくれている証拠だからだ。
結局、彼女がメガネを外して一緒にシャワーを浴びることになった。
「恥ずかしい、見ないでください」
オレは風呂場にバスタオルを巻いたまま先に入る。
彼女がクローゼットで着替える音がする。
カチャ。ドアが開く。バスタオルを巻いた彼女はメガネを外していた。
「あまり見えないんで、変なことしたらごめんなさい」
シャワーブースはスペースがあるのだが、やはり彼女はデカい。
2人で入るとけっこう密着度が高いな。
「あの・・・胸小さくて、ごめんなさい」
申し訳なさそうに言う。オレは言い返した。
『オレの彼女の悪口止めてくれるかな?』
はにかみながら抱きつく。キスが激しく深い。
ゆるやかな膨らみがオレの胸に密着した。
ヤバい。それだけでオレの身体も反応しそうだ。
オレは慌ててシャワージェルをスポンジにつけて泡立てた。
身体を洗い、髪を洗い、自然に抱き合い求めあう。
シャワーの音が彼女の吐息を消してくれる。
身長差があまり無いのは楽だなぁ 抱き合いながら思う。
身体の位置と手の位置がぴったり合うのだ。
狭いブースの中で止まらない2人。
シャワーの音に紛れる彼女の声。
いつしかシャワーの音が耳に入らなくなった。
初めての逢瀬はどしゃぶりの中だった。




