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再開

オレが異動して2か月、仕事も軌道に乗って来た。

暮らしにも少し余裕ができて、休みも取れるようになった。

そろそろ加瀬恭子と会おうか?という話になった。


オレの住まいは会社が用意した自社物件のマンションの1室。

ちょうど、1部屋空いていた所でオレは住んでいる。


和室の4畳半と6畳のフローリングの2DK。新婚さんにいい。

彼女はこの部屋に来て、家事をしたいと言ってくれた。

オレとしては嬉しかったが、人目もある。

どこから彼女の存在が知られるかもしれない。


会うのはオレの得意のホテルにした。

ちょうど贔屓にしているホテルがこの県にもあった。

オレの住む最寄りの駅から3駅ほど離れているのも好都合だ。

ホテルは客のプライバシーを絶対に漏らさない。

そういう点でも会うのは安心だった。


彼女の到着は、連休初日、2時すぎ駅に到着予定だった。

オレはその予定時間より1時間も早く駅に着き、

先にチェックを済ませ彼女を待った


初めてのお泊りデートになる。

オレは年甲斐もなくそわそわし、駅のトイレで何度も鏡を見る。

バカじゃないか?毎晩スカイプで顔出してるくせに。

そんなに惚れてるんだな。我ながら感心する。


改札口で待つ。

それほど多くない降車客だ、それにあの身長、すぐわかる。


少し申し訳なさそうに胸元を押さえ小走りに近づくのが彼女のくせだ。

身長がイヤなのだろう、いつも少し猫背ぎみだった。

今日はサンドベージュのワンピースに白のローヒール。

あいかわらず上品で素敵だと思う。


「すいません、待っていただいて、けっこうありますよね~」


『そりゃそうさ、なんせオレが島流しにあった土地だからな』


「も~ いきなり~」


笑いながらオレの肩を叩く。そんな仕草も自然になっていた。


ホテルに向かう。歩きながら短い時間だが、3部の様子を聞く。

スカイプでも彼女は3部の話をほとんどしなかった。

元気ですよ。とか、かわりありませんというだけだった。

オレは疑っていた。心配かけまいとしての彼女なりの配慮だろう。


あまり聞いても彼女の誠意に失礼だ、なので毎晩のデートでは聞かなかった。

でも実際に顔を見るとダメだ。気になってしまう。


『どうだ?みんな大丈夫なのか?』


「ええ」


『詳しいことは伝えてくれなくていい。どうすることもできないから。

      でも、オレにとって奴らはかわいい子であり、弟、妹なんだよ』


「ええ、部長はみんなを大事にされましたからね」


ということは、野上の野郎、みんなをイジメたりしてるんだな?

そういう悪い想像ばかりしてしまう。

でもオレがどれだけ心配しても、部長ではない、あきらめるしかないのだ。


そうこうしてるうちにホテルについた。


ドアマンが声をかける。


「お帰りなさいませ、小林さま」


その声に加瀬恭子は驚いて顔を見る。

かわいいなあ。名前を呼ばれたことが不思議なのだ。

軽く笑顔で返して、エレベーターに向かう。

泊まりはいつものクラブフロアだ。


カードキーを差し、27Fを押す。

彼女はすべてが珍しいらしい、

今の動作はなに?と質問する姿が愛おしかった。

エレベーターが27Fに着いた。


「静かですね、なんか高級そう」


部屋に着いた。オレは彼女の肩を抱いてドアを開ける。


「入っていいんですか? っておかしな言い方ですよね」


クスっと笑いながら忍び足で部屋を進む。


「ひろーい!すごいですよね」


オレはふと、以前、出会った風俗嬢を思い出した。

愛があれば同じセリフでもこれだけ愛しいものなんだな。




部屋を見回る彼女はまるで新居にときめく花嫁のように見えた。






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