我々は───
シオンが頭を捻っていると、ちょうど戻って来たメイドさんに話を聞いた。
「どうして魔物を狩っているの?」
「これはシオンお嬢様、汚れていて申し訳ありません」
このメイドさんは、口では汚れているといっても、返り血一つついて無いけど????
「シオンお嬢様が立派な屋敷を建てるまでは、我々メイドはすることがありません。故に、魔物を狩って食糧と素材の売買でお金を稼ごうと思いまして」
立派な屋敷って・・・庶民(前世では)の私は普通の家に住むつもりだったんだけど?
ってか、論点がズレてない?
「いや、そうじゃなくって、どうして普通のメイドさんが魔物と戦えるのって話だよ!」
「いやですわ。シオンお嬢様が教えてくれたんじゃ無いですか♪」
ピキッ!?
おい、レオナさんや。そんな目で見ないで!?
「わ、私が、何を教えたんでしたっ・・け・・・?????」
「私がご当主様に手籠にされそうな時に、助けて頂きました。そして強くなければ何も守れないと、仕事中でも身体を鍛えられるように、身体の『重力』が倍になる魔導具の指輪を作ってくださったではありませんか。しかも細かく重さが調整できる機能まで付けて。今では10倍の負荷にも耐えられるようになりました。おかけで休日は冒険者として魔物を狩ってお金も稼ぐことができるようになったので、生活にも余裕がきました。本当にありがとうございます!」
あー、なんかそんな魔導具も使ったかも?
やめて!そんなキラキラした目で私を見ないで!?
私のHPはもう1しか残って無いのよ!?
「なるほど。シオンの感謝の気持ちが強くしたんだな~」
レオナさん、腕を組んでうんうんと納得しないで!
おかしいから!
え、おかしいよね?
おかしくない?
でも、こんなメイドと執事がたくさんいるし・・・
あれ?おかしく無いのか・・な????
シオンは自分の考えに自信が持てなくなっていた。
すると他のメイド達も集まってきた。
「メイドA!シオンお嬢様と会話なんて羨ましい!抜け駆け禁止!」
「メイドB、これはシオンお嬢様に話しかけられた結果で、抜け駆けなんてしていません」
「メイドC、D、E、登場!なになに?私達も混ぜて~」
なんか増えた。
「同じメイドさん仲間なんだから名前で呼ぼうよ?」
「シオンお嬢様、普通なら主人は使用人を名前で呼びません」
えっ、そうなの?
「雇っている使用人が多いからです。側近のそば付きメイドなら名前を呼ばれることもありますが、普通は呼ばれませんので、メイドで大丈夫ですよ」
なるほど。
「だから───」
えっ?
メイドさん達はサササッとフォーメーションを取った。
はい???
「「「我々はシオンお嬢様にメイドと呼ばれ隊!」」」
ドッーーーーーーン!!!!!!
なんか後ろが爆発した。
なんだこれ?なんだこれっ!?
無表情なメイドさん・・・別名クールビューティーメイドさんたちがやらかしました。
シオンは脳内のキャパシティを超えて目を回してしまった。
「ちょっと君達、シオンに仕えることが嬉しいからって遊び過ぎだよ」
「申し訳ありません」
レオナとメイド達が和やかに話している間にシオンは思った。
ここにまともな人材はいないのかと。
もしこの心の声が周囲に聞こえていたら、全員が言っていたであろう。
【おまゆう】
(お前が言うな!)
何とか気を取り直してメイド達に視線を向けると──
「それより、他の人の家より早くシオンお嬢様がお住みになる屋敷をお願いします!」
「えっ、私は普通の家で十分なんだけど?」
「シオン、それはダメだ。少なくとも領主のような存在なんだから、他の者より立派な建物に住まないと、そこに住む街の者が萎縮してしまう。私としては屋敷より、城を建てるべきだと思うぞ?」
いやいやレオナさんよ?
こんな辺境の地で城はやりすぎでしょうーよ?
「城っ!?」
ほら、メイド隊のみんなも驚いているじゃない。
「「それは素晴らしいです!!!」」
なんでだよ!!!!
「いやいやいや!さっきも言ったけどこんな辺境に立派な城なんて必要ないよ?」
「「シオンお嬢様こそ何をおっしゃっているんですか!!!」」
ぴぇっ!?
またメイド達の迫力に気圧されてしまった。
「シオンお嬢様は自分の価値を自覚すべきです!」
「そうそう、大聖女様として神の使徒として、大陸中の国々を救った英雄じゃ無いですか♪」
「これから多くの人々が『聖地』として移住して来ますよ?」
だから大聖女じゃ無いって!
神の使徒でも無いから!!!
ってか聖地???
ホワイ?
なにそれ?
どういうことなのよーーーー!!!!!!




