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異世界トラブル  作者: 海路希望
4章~冒険者養成所編~
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第58話(〈荷物捜索〉クエスト4)

お待ちになっていた方々、投稿遅れてすみません。

お詫びに、今日はこれと合わせて二話投稿する予定です。

(もう一話は、夜遅くになる予定ですが)


では、異世界トラブル続きをどうぞ!




〈荷物捜索〉を切り上げた翌日。

イルマ達は、ナミノ教官が〈荷物捜索〉のクエストを養成所の授業にしてくれたので、それに参加する為に教室に向かう。


そして、教室で授業が始まるまで待機するAクラスの皆。

イルマ達は、まだ付加彫刻刀が見つけていないこともあり、早く始まらないかと少し焦れていると教室にナミノ教官が入って来る。



「今日の授業は、養成所で元々有った〈荷物捜索〉クエストを変更して授業で行うことになった。」



ナミノ教官は、教室に入り、生徒達に今日行う授業について説明を始める。生徒達は、「何で〈荷物捜索〉ぐらいを授業で?」「全員で探すだけの物なのか?」「嫌、それだと俺達じゃなくてもっと上の冒険者がやるだろ?」とナミノ教官の話した内容に疑問に思い、教官に授業の内容について質問する。



「ナミノ教官。何故元々養成所で出していた〈荷物捜索〉クエストをわざわざ授業に変更したのですか?」

「〈荷物捜索〉をこのクラス全員でするのですか?」

「何を探すのですか?」



とナミノ教官に生徒達は疑問に思ったことを声に上げる。

しかし、ナミノ教官が手を上げると、生徒達は口を閉ざして静かにする。


「確かに疑問だろう。養成所のクエストで出していた〈荷物捜索〉が、わざわざ授業に変更になっただからな。………しかし、先にこのクエストを受けていたイルマ達がこの〈荷物捜索〉をしていたら、この〈荷物捜索〉クエストの裏で怪しいことが起きていることが分かった。」



ナミノ教官の言葉で今回の授業で行われるクエストを先にイルマ達が受けていたことが判明し、クラスの生徒達はイルマ達に視線を向ける。


クラスの生徒達から視線が向けられたイルマ達はナミノ教官に視線だけで話しても言いかと問いかける。


イルマ達からの視線に対してナミノ教官は、「いいぞ、詳しい話をしてやれ」とイルマ達の視線に答え、イルマ達はクラスの生徒達に今回のクエストについて説明を始める。



「僕らがこの〈荷物捜索〉クエストを受けて最初に疑問に感じたのは依頼者がこの捜索して欲しい荷物を失くした切っ掛けを聞いた時。」


「失くした切っ掛け?」

「失くした時に何か有ったのか?」

「詳しく。」


「捜索する荷物は、魔道具職人である依頼者の父の付加彫刻刀。この付加彫刻刀を金庫の鍵も兼ねていて、それを知らない男達に絡まれた際に奪われそうになったことから疑問を抱いた切っ掛け。」


「?付加彫刻刀は、魔道具でも有るから奪う価値が有った話だろ?」

「金庫の鍵も兼ねていたなら当然狙う価値有るだろうしね。」

「別に変な所は無いけど?」


「それが余り知られていない話で、依頼者は見た目は魔道具職人に見えず、持っているか分からない時に直接付加彫刻刀を渡せと言われたら?」


「「「!?」」」


「最低でも付加彫刻刀が金庫の鍵を兼ねている話を知っていることと依頼者を狙った行動であることが明らかだ。もしかしたらそれ以上の何かを狙ったかもしれないけどね。……そんなこともあって僕らはナミノ教官にこの〈荷物捜索〉クエストの話を相談した。」


「で俺がイルマからこの話を聞いて話し合った結果、この〈荷物捜索〉クエストを授業で行うことになった。実際、昨日イルマ達が授業開始までに荷物を捜索している時に複数の男達が捜索を止めるように脅してきたそうだ。………このクエストの裏には依頼者に対して金銭やそれ以上の何か狙った人物がいると十分に考えられる。だから俺達は、依頼者の今後も含めた安全と荷物の捜索、そして、付加彫刻刀を狙った人物の判明、確保を行う。」


「…………なるほど。それなら納得出来る話だ。」

「〈荷物捜索〉クエストだけじゃあそこまで出来ないしね。」

「それに時間や人手もいることだしな。」


クラスの皆は、イルマとナミノ教官の話を聞いて〈荷物捜索〉クエストが授業に変更した理由に理解した様子だ。

そして、ナミノ教官からこれからの行動について説明が行われる。



「先ずは付加彫刻刀を捜索する班。これは狩人や捜索が得意な者と妨害が有ることを考えて戦闘が得意な者でメンバーを構成する。次に依頼者の身を守る班、これはお店と依頼者の周りと2手に別れて戦闘が得意なメンバーと依頼者が怪我した場合に備えて回復や襲撃をされないために探知系技能が使えるメンバーで構成する。……最後に今回の犯人を見つけ、確保する班。これは俺と………イルマ達!このメンバーで行う。」



ナミノ教官の班の振り分けに別れるクラスの者。

そして、ナミノ教官は全員に今回の授業の資料を渡し、昨日までイルマ達が探した場所や理由、探す方法等の資料は捜索班のリーダー役にした者に渡す。依頼者を守る班のリーダー役には緊急時に頼る場所、連絡方法等書いた紙を渡す。



「今捜索班のリーダー役にした者には昨日までイルマ達が探した場所や理由、方法が書かれた資料を渡した。依頼者を守る班のリーダー役には緊急時に頼る場所や連絡方法を書いた紙を渡した。各自、資料に目を通した後、班のリーダーからその事を確認しておくように!!…………では、行動開始!!」



クラス全員、ナミノ教官から渡された資料を直ぐに確認、その後自分達の役割を果たすために行動を開始するのであった。





・・・



そして、クラスの全員が付加彫刻刀の捜索とお店と依頼者の身の護衛に向かった後、イルマ達はナミノ教官と行動を共にしてある場所に向かっていた。



「………(なぁ、俺達何処に向かっているんだ?)」


「(そんなの付加彫刻刀を狙っている犯人のもとでしょ?)」


「(だ・か・ら!それが何処って話だろ!!)」


「(知らないわよ!!何も聞かされていないのだから!)」


「(………この方向は商人ギルドがある方向。行き場所は商人ギルド?)」


「(商人ギルド?何で商人ギルドに行くんだ?)」


「(………職人の道具を狙うから、道具の売り手を調べるため?)」



行き先を聞かされていないメラ達は、何処に向かっているのかとコソコソと話していた。


「おい、お前ら聞こえているぞ?」


「「「ッ!?」」」


「別にそんなコソコソ話しないでも隠していないからね?」


「「「えっ…良いのか?((本当?))なら教えてくれ!((教えて!))」」」



メラ達の反応に苦笑するナミノ教官とイルマ。


「そういえば言っていなかったね、……今から行くのは商人ギルドだよ。」


「そこで犯人を特定する為に付加彫刻刀の販売話や最近の魔道具職人達の話を確認する。」


「付加彫刻刀を奪った後に売買の話が無ければお店が潰れて欲しいと犯人の目的を絞れるからね。」


「………あっ!、イルマが頼んできたことか!!」


「だからイルマは私達にヒルゼさんのお父さんに関係する魔道具職人について探して欲しいと頼んできたのね?」


「………犯人を特定する手掛かりを手にする為に。」


「そういうこと。」


そう、以前イルマがメラ達に頼んでいたことは、今回の裏にいる犯人が誰なのか特定する為に金庫の鍵の話を知っている人物、魔道具職人達の中にいる可能性が有るため、メラ達にその手掛かりを探して欲しいと頼んでいたのだ。


メラ達は、イルマに頼まれてヒルゼさんのお父さんに関係がある魔道具職人達を探してリスト化していた。

その後イルマに渡したそのリストを元に今から商人ギルドでその魔道具職人達の話を確認することで犯人を絞るつもりだ。



「………本当にお前らと言うかイルマは用意周到だな。……まあ、お陰でスムーズに調べる事が出来るんだがな。」

「ほら、そんなこと話していたら商人ギルドが見えてきたぞお前ら!」



イルマ達が話しているとナミノ教官が商人ギルドが見えてきたことをイルマ達に教える。

ナミノ教官の声で前を向いたイルマ達の視界にはチユルの町の建物の中でも特に大きい建物、商人ギルドの姿が見えてきた。


そして、商人ギルドの中に入って行くナミノ教官の後にイルマ達も追いかけるように入って行くのであった。



・・・



商人ギルドの中に入ったイルマ達は、ナミノ教官が商人ギルドの受け付けと話してから奥の部屋に案内されていくのを着いていく。


案内された部屋で待機するイルマ達。

案内された部屋で暫く待機していると部屋に1人の人物が入ってくる。

その人物はナミノ教官と馴染みのある人みたいで、ナミノ教官はその人物に手を上げておうっと声を掛ける。

その人物は、ナミノ教官に対してハァーとため息を吐きながらイルマ達の前に書類の束を持って座る。



「………ナミノ。急に来て、付加魔道具等の販売予定とこのリストにある魔道具職人の最近の様子を教えてくれって無茶を言ってくれる。」


「悪いなターナ。でも、商人ギルドの副ギルドマスターであるお前ならこんなこと朝飯前だろ?」


「ハァー、……そういう問題じゃない。急に来て頼み事をする上に急ぎでしろと言うことについてだ。」


「悪い悪い。これは急な話で急ぎでな?頼めるのはお前ぐらいしか思い浮かべなくてな。今度何か奢るから勘弁してくれ。」


「………もういい。過ぎたことにこれ以上時間を掛けるのは時間の損害になる。今後気をつけてくれたらいい。で?話はこの調べてくれと言ったことか?それにこの子供達は?」


「「「「!?、こんにちは!!養成所の生徒で、ナミノ教官の生徒です。「イルマ」、「メラ」、「ダン」、「シーラ」です!!」」」」


「あぁ、こんにちは。ナミノの生徒達か、挨拶が遅れたね?私はこのチユルの町の商人ギルド副ギルドマスターのターナと言う者だ。」


「コイツとは昔からの付き合いでな?今回の件について力を貸して貰うターナだが、力を貸して貰らうには最適な人間だ。何せこの商人ギルドの副ギルドマスターで不正を嫌う真面目な人間だからな。」


「おい!勝手に私が力を貸す話で進めるな!先ずは話を聞いてからだ。」


「ほら、真面目だろ?」


「おい!早く話をしろ!!」


「それと少しせっかちだ。」


「………帰る。」


「おっと、悪い悪い。悪ふざけが過ぎた。」


「……フン。」


「「「「………はは。(……。)」」」」


「で、今回の話だが………………。」


「ふむ、………ほう。…………」



ナミノ教官とターナ副ギルドマスターとの絡み合いに苦笑いしか出来ないイルマ達。その絡み合いにもターナが話を急かすことで終了し、その後ナミノがターナに今回の事情を話し出す。



「…………話は分かった。それでこれを調べて欲しい話に繋がる訳だ。」


「ああ。それで調べてくれたのか?」


「勿論。ナミノが受け付けで頼んだことはもう調べてある。」


「おお。もう調べてあるのか?流石だな。」


「今回は商人ギルド内の情報を調べるだけだったからその該当する書類を用意するだけだったからな。それでと、付加彫刻刀の販売についてだな?……………今の所そんな話は無いな。」



ターナは、手元の書類を見て、付加彫刻刀の販売情報が無いことをナミノやイルマ達に教える。これで犯人の目的が金銭関係では無いことが確定した。



「……そうか。次に魔道具職人についてはどうだ?」


「そうだな…………2組の魔道具職人の情報があるな。」


「「「「!!」」」」


「………誰と誰だ?」


「魔道具商店オーナーのマークと魔道具職人のカキタの2人だ。魔道具商店のマークは、【マルチェロ魔道具店】の先代のヒルガが亡くなってから売上を伸ばしている。【マルチェロ魔道具店】が盛り返したら損害が食う1人だ。もう1人は、ヒルガとトラブルがあった魔道具職人のカキタだ。コイツは最近質の悪い奴と付き合いが有ると商人ギルドに情報が回っている。」


「………魔道具商店オーナーのマークと魔道具職人のカキタか。」


「教官、どうするんですか?」


「2人の所に順番に行きますか?」


「………どうします?」


「……………。」



ターナの情報にナミノはどうするか考えて、ダンとメラやシーラは教官に今からどう行動するか確認する。

そんな中、イルマは1人考え混んでいる。



「………イルマならどうする?」


「………えっ?……僕ならどうするですか?」


「ああ。お前の考えを聞きたい。」


「ナミノ教官じゃなくて僕の考えですか………え~~と、僕なら2手に別れて2人の所に同時に向かいます。」


「………何故だ?」


「?何でだイルマ。片方ずつ行けばいいじゃねえか?」


「そうよ。わざわざ戦力を分散する危険を犯さなくてもいいじゃない。」


「…………危険を犯す理由がある?」


「そうだよシーラ。……ナミノ教官、実は懸念することが1つ有ります。」


「……言ってみろ。」


「はい。今回、僕らはAクラス生徒達全員で事に当たっています。」


「ああ、そうだな。それで?」


「その事で捜索、護衛、犯人の詮索と色々手を伸ばす事が出来ています。」


「……続きを。」


「その事で、今回の件に犯人側がこっちが大勢で動いている事に気づいていると思うのです。」


「ッ!?そうか!」


「はい。その事で犯人側が証拠を隠して隠れたり手を引く事が考えれます。なので、2手に別れて同時に向かうことで証拠を隠す時間を犯人に与えないようにと僕なら考えます。勿論、戦力を分散する形になる危険は伴いますが。」


「……なるほどな。確かにイルマが言う通りの事が十分に考えれるな。」


「ほう。ナミノ、優秀な生徒じゃないか?確かに今の話は納得出来る話だ。今回の件で捕まる危険が高まっていることから犯人は、今は手を引いて別の機会を伺う方法も有ることだしな。」


「ああ。むしろそっちの可能性の方が高い。今犯人に手を引かれたら俺達もずっとこの件に関わることも出来ないことからいずれかは手を引かざる得ない。犯人からしたら、その後で手を再び出してもいいだけだからな。」


「おお~。」


「イルマの言う通りね。」


「……納得出来る話。」


「なら決まりだな。2手に別れて同時に向かうぞ!只し、先程も言った通り戦力の分散になる。それに妨害してきた男達以外にも悪い奴らが犯人の近くにいてもおかしくない。お前達は十分に気をつけろよ?ヤバイと思えば直ぐに撤退しろ!」


「「「「はい!(了解!)」」」」


「よし。お前らは魔道具商店のマークの方に行け。俺は危険が高いカキタの方に向かう!……情報ありがとうターナ。助かったぞ。」


「「「「ありがとうございますターナさん。」」」」


「構わない。この分は、後日ナミノから奢りでお礼してもらうからな。」


「………手加減してくれよ?」


「クックックッ。……それはどうかな?」



ナミノの言葉に笑って返答を濁すターナ。そんなターナに頼むぞ?今は雇われだから以前に比べてそんなに金は無いんだからなと返すナミノ。


ターナとのやり取りはそこまでにして、イルマ達とナミノは、ターナにお礼を言って商人ギルドを出て、ターナからの情報にあった魔道具商店オーナーであるマークと魔道具職人のカキタの所に証拠を隠されない内に2手に別れて同時に向かうのであった。

次回、今回の件が解決する予定です。

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