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【時間停止の復讐者】裏切りの魔法庁を断罪する、クールな少年のリベンジ・クロニクル  作者: ねこあし


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第17話:地下深部の魔力炉心と、黒曜の「次なる賭け」

 九条刹那と霧島冴子は、廃墟研究施設の地下から伸びる、古いメンテナンス通路を猛スピードで駆け下りていた。この通路は、魔法庁のメインのセキュリティルートから外れており、地下深部の極秘魔力炉心へと繋がっている。


「零司くんの風のドームは、数分で破られるでしょう。時間はないわ、刹那」


 冴子は、疲労した身体を押して、先行する刹那に声をかけた。


「分かっている。風見さんの情報によれば、魔力炉心周辺は、零司のドローンの監視が届かない『魔力の穴』だ。これが、最初にして最後のチャンスだ」


 刹那は、手に持つ『空間干渉増幅器』を握りしめた。風見から学んだ空間理論が、彼の新たな『法則』となっていた。


 通路の奥から、ゴーッという巨大な魔力の駆動音が響いてきた。


「あれが、魔力炉心よ。東京中の魔法施設に魔力を供給する、魔法庁の心臓だ」


 通路を抜けると、巨大な地下空間に出た。そこは、青い光を放つ巨大な魔力炉心が鎮座する、SF映画のような場所だった。炉心からは、膨大な魔力が脈動のように放出されている。


 そして、その炉心のすぐ隣に、特務部部長・影山が、数人の部下と共に立っていた。彼の前には、禍々しい黒い金属製の兵器――『対時間魔術兵器クロノ・デストロイヤー』が設置されている。


「影山!」 刹那は、怒りを込めて叫んだ。


 影山は、彼らの出現に驚きもせず、優雅な笑みを浮かべた。


「おや、九条刹那くん。霧島冴子も一緒とは。裏切り者の同窓会か。まさか、この場所がバレるとはね」


「貴様の悪事を阻止する。家族の復讐、そして雫を巻き込んだことへの報いだ!」


 影山はワイングラスを傾けるように、兵器に視線を移した。


「復讐?君の家族の死は、この兵器の成功に必要な、尊い実験データだよ。そして、君の友人の回復魔術は、この兵器の究極のエネルギー源になる」


 影山はそう言って、部下に指示を出した。


「魔力炉心から、兵器へ魔力供給を開始しろ。最終調整だ」


 ゴオオオッ!


 魔力炉心から、極太の青い魔力光線が兵器に接続された。兵器全体が、不気味な黒い光を放ち始める。


「阻止するぞ、冴子さん!」


「ええ。私は、影山の部下を食い止める!あなたは、兵器の心臓部を狙って!」


 冴子は、影山の部下に向けて、炎と風の複合魔術を放った。刹那は、その隙に兵器へと駆け寄る。


 その頃、極秘研究棟の地上。零司は、冴子の風のドームを、自らの空間魔術の応用で、瞬時に崩壊させた。彼の瞳は、もはや怒りを超えて、冷たい執念を帯びている。


「逃がしたか……!九条刹那、霧島冴子、そして風見。君たちの連帯は、ここまでだ」


 零司は、監査チームに指示を出そうとしたが、その時、超大型ドローンのスピーカーから、聞き慣れた飄々とした声が響いた。


「やあ、断罪者様。ご立腹だねぇ」


  声の主は、黒曜だった。


「黒曜!貴様、どこにいる!情報で私を弄び、秩序を乱した罪は重いぞ!」 零司は、黒曜に対し、初めて明確な敵意を向けた。


「罪?僕は、ただの観客さ。そして、次の賭けを、君に持ちかけに来た」


 ドローンのモニターに、黒曜の顔が映し出された。彼は、遠隔地から、不敵な笑みを浮かべている。


「刹那は、今、魔力炉心で影山と対峙している。影山は、君の『法』が裁けなかった巨悪だ。君の『法による正義』が真実ならば、君は刹那を追うべきではない」


「何を言いたい」


「簡単だ。僕の次の賭けは、『神崎零司の法と、九条刹那の復讐、どちらが先に影山を裁くか』だ。零司くん。君の法は、不正を働いた同僚を裁けるか?それとも、君は、法を乱した刹那の追跡を優先するか?」


 黒曜は、零司に、「法」の真の試練を突きつけた。


「僕は、君がどちらを選ぶか、全てを賭けて見物するよ。それが、君の『正義』の真価だ」


 零司の顔に、深い葛藤が浮かんだ。彼の法への絶対的な信念と、刹那への個人的な断罪。その二つが、彼の心の中で激しく衝突していた。


 魔力炉心。刹那は、影山の部下を撃破し、兵器の心臓部へと辿り着いた。黒い兵器は、既に最終調整を終え、不気味に脈動している。


「間に合った!」


 刹那は、増幅器を兵器の心臓部に押し当てた。


「風見さんの理論で、この兵器の魔力回路を、時間的に逆転させる!」


 刹那は、渾身の魔力を込めて、『時間逆転クロノ・リバース』を発動しようとする。


 その時、兵器の心臓部から、凄まじい反動魔力が放出された。それは、刹那の魔力を跳ね返し、彼の身体を打ちのめす。


「馬鹿な……!」


 影山が、高笑いを上げた。


「私の兵器は、君の『時間魔術』を予測して作られている!君の『逆転』は、兵器によって、『魔力暴走』へと変換されるように設計されているのだよ、刹那!」


 刹那は、魔力の逆流によって身体が焼かれるような苦痛を感じた。このままでは、彼の魔力回路が破壊される。


「これで、君は終わりだ、復讐者。そして、君の友人の回復魔術は、私のものになる!」


 影山は、『対時間魔術兵器』の起動スイッチに手をかけた。絶体絶命の窮地。刹那の復讐は、影山の「予測」という名の、完璧な罠に、再び嵌められたのだ。

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