頑張るエイダン。
「あれ?言ってなかったっけ?」
「聞いてない。」
「すっかり説明した気で居たよ。ほら、エルズバーグを取り押さえた日が初対面なわけだったし。」
話を詳しく聞けば、騎士団には3つの部隊があり、それぞれ、第1部隊、第2部隊、第3部隊とあるらしく、オスカーは第2部隊の隊長を任されているそうだ。
また、部隊によって仕事内容が変わるそうで、オスカーが隊長を務める第2部隊は、貴族の取り締まりと、他国から貴族が訪問して来た際の護衛を主な仕事としているらしい。
貴族の取り締まりが仕事内容だと聞いて、だから悪事を働いたエルズバーグを連行したのがオスカーだったのかと今更ながらに納得する。
「隊長、そちらの少女は…?」
「俺の姪っ子ちゃんです。可愛いでしょ。」
「お初お目にかかります。アイヴィ・ウィンストンと申します。本日は、騎士団の皆様のお姿を拝見出来ると聞き、やって参りました。お邪魔にならないように致しますので、鍛錬を積むそのお姿を見せて頂ければと思います。どうぞ宜しくお願い申しあげます。」
「こ、こちらこそ宜しくお願いします…!」
慌てた様子で、私に挨拶を返した若い騎士。ヒューゴよりも年上なのは間違いないが、年齢自体は、そう大きくは変わらない筈だ。
「隊長、姪っ子様は随分としっかりとされたご令嬢ですね…!」
「うん。俺もちょっと吃驚した。」
成長したね、と私の頭を撫でるオスカーはいったい誰目線なのだろうか。叔父目線?そもそも私の成長過程を知らないだろう。
「エイダン様もいらっしゃいませ!」
「今日は宜しく頼んだ。」
「こちらこそ!」
「さて…、皆、自主トレご苦労。今から、本格的に始めるよ。アイヴィ。巻き込まれたら危ないから、其処の日陰で見守っててね。」
「分かった。」
私は、オスカーに言われた通りに日陰になっている場所に移動し、其処で騎士団…正確には第2部隊の訓練の様子を見ることにした。
まずは体力作りから入るらしく、走り込みを始めた彼等は、何周かした後に、訓練用の剣を手にした。どうやらこれから、2人1組での撃ち合いが始まるらしい。勿論、エイダンも参加する。彼の相方は、オスカーだ。
積極的に撃ち込みに行くエイダンの剣を、上手く交わしながら、修練に付き合うという言葉の通りに、もっとああした方がいい、こうした方がいいというアドバイスを伝えていくオスカー。
エイダンは悔しい表情を浮かべながらも、そのアドバイスを素直に受け入れていく。
オスカーのアドバイスは的確のようで、次第にエイダンの動きに無駄がなくなっていくのが、素人目からも分かる。
無論、第2部隊の隊長である彼に、剣を当てることは出来なかったけれど、修練に励むエイダンの姿は、とても生き生きしているように見えた。




