終章、リスタート・カルテット
あれから半年が経った、翌年の六月十四日の日曜日。
ここはJFL『ミカニット和花山 (わかやま)』のスタジアムだ。二千五百人収容の客席が満杯だ。普通、JFLの客席は、なかなか満杯にはならない。しかし今日は、ノミアが所属するチーム『コーフクディアー奈羅 (なら)』と対戦する為、大勢の観客が駆け付けていた。
観客席の中に、結佳と鞠子が座っていた。
鞠子は嬉しそうに言った。
「ユイさん! その白いワンピース、めっちゃ似合う!」
結佳は恥ずかしそうに言った。
「う、うん。ありがとう」
結佳が着ているワンピースは『オフショルダーワンピース』という種類の型だ。肩回りが少し露出しており、ウエスト部分がキュッと締まってる。スカート裾は膝の下あたりまである。
鞠子が感心しながら言った。
「ワンピースってお腹周りのラインを隠す効果もあるんですけど、そのワンピースのウエストは凄いタイトですよね? やっぱユイさんはスタイルいいなぁ。でも、一つ分からないです」
「なにが?」
「以前は『白いワンピースなんて着てたまるか!』みたいな人でしたよね? ユイさんって」
「えっと…はい。そうでした。ただ…」
「ただ?」
結佳は照れながら言った。
「あの子は、色の中では白が一番好きみたいなの。この前、一緒に買物に行った時に---」
鞠子は結佳の話を、ぶっきらぼうにさえぎった。
「あーっ、そんな話はいいです。もう聞き飽きました。聞かなくても分かります」
結佳は残念そうに言った。
「えっ? あっ、そうなの? 良い話なんだけどなぁ。彼の素敵なトコロが分かるよ」
「それよりも今日、いよいよジョルノが公式戦デビューするんですね?」
「だと良いんだけどね。『ベンチ入りするのが精一杯だった』って言ってたから、どうかな?」
「そもそも、よく入団できましたね? 十年くらいブランクがあるのに、」
「この半年間は、朝から晩まで特訓してたからね。なんとかセレクションに合格したみたい」
「『プロサッカー選手に再挑戦したい』っていうのは、ジョルノから言いだしたんですか?」
「ううん、私だよ。『絶対にやった方が良い』って、猛プッシュしたからね」
鞠子は少し不思議そうに言った。
「そこが分からないんです。正直、今から始めてもJ1のチームに入れたりする可能性は、ほぼ無いでしょ? だったら、薬科研究に集中させた方が良いと思うんですけど」
「うん、確かにそうなんだよね。薬科研究を選んだとしても、彼は充実した毎日を送るだろうし、医薬界の為にもなる。でもね、『周囲や結果を気にせずに、夢を追いかける』っていう経験をさせてあげたいんだ。実際に夢を叶えられるかどうかは、どうでもいいと思ってるの」
「夢を追いかける…ですか?」
「うん。私やキクはさ、自分で夢を選んで、叶える事が出来ていると思うの。苦しんだ時もあったけどね。でも、彼はそれが出来なかったの。サッカー選手は盲目の少女の為に断念した。医薬博士を目指したけど、トラブルに巻き込まれた。それから四~五年は、人目を忍んで生きてきたんだよ。まるで逃亡者みたいに」
「ノミアと過ごした時期は、良かった事も多かったと思います。でも、新データの件以降のジョルノの生活は、過酷でしたよね」
「だから今からでも遅くないよ。ハッキリとした夢があるなら、挑戦してほしいんだよね。そのせいで新薬の開発が遅れるかもしれない。でも思うの。だからって、彼の人生を犠牲になんてさせないって。間違っているって分かっているけど、譲れないよ」
「フフ、それ分かりますよ。『悪魔にだってなってやる』って事ですよね?」
「あっ、悪魔? なんのことを言っているの?」
「なんでもないですよ! まぁ、そこまでは私も納得できます。賛成できるんですけど…」
「そこまでは? なにが納得できないの?」
「ノミアの事ですよ。ジョルノを鍛える為のマンツーマン指導をするコーチが、ノミアだっていうのがね…。それも、結佳さんが勧めたって言うんだから、もう信じられませんよ」
「私はサッカーの事は分からない。でも、スポーツの修練っていう観点なら分かるよ。教える相手のプレースタイルや生活面も含めた考え方。そういうのを理解ができている人がコーチなら、習得がグッと早まるんじゃないかな? それにノミアちゃんの師匠は彼なんだから、これ以上の適任者はいないと思うけど」
「そういう事じゃなくて---」
「現にセレクションに合格するぐらい上達したんだから、ノミアちゃんで良かったんだよ」
「そうじゃなくて! またノミアとの仲が再燃しないかって、心配にならないんですか?」
結佳は苦笑いを浮かべながら、あっさり言った。
「なるよ。二人でいるトコロを想像するだけで、気持ちが耐えられないもん」
「え?」
「それにプロサッカー選手になれば、色々な人と触れ合う機会が増えるよね。当然、若い女も含めてね。今まではアパートで孤独に研究していたんだから、もう比較ができないぐらい」
「ユイさんは、それで良いんですか?」
「私は人並みに、恋愛は経験してきたよ。でも、彼はそれが無いでしょ?」
「ええ。ノミアはジョルノに対して、恋愛的な気持ちだと思います。でも、ジョルノはノミアに対しては、親子や兄弟のような気持ちの方が強いと思います」
「だから、他の女性の人柄くらいは知ってほしい。その上で、私を選んでほしいの」
「それは楽観的というか、人が良すぎますよ! ジョルノはルックスだけは良いんだから、周囲の女が放っておきませんよ!」
「うん! カッコイイよね! 『だけ』は余計だと思うけど」
「ちょっとぉ、しっかりして下さいよ! 冷静沈着なユイさんは何処へ行ったんですかぁ!」
「アハハ…。彼と恋人同士になって半年だけど、束縛はしたくないの。言っとくけど『積極的に浮気してね』って訳じゃないから。自然な流れだったら、仕方ないかな。もちろん、この気持ちは彼には言っていないよ」
「う~ん…。ユイさんはジョルノに対して、恋人としてだけじゃない。母親というか、姉のような愛情まで抱いちゃってません?」
「そうなのかな? まぁ、彼が幸せになるなら、なんでもいいよ」
「そっか。要するに、ジョルノに対して『ガチ恋』なんだ。良かったですね」
「そんな若い言葉使わないでくれる? 私もう、四十前なんだからね」
「女子高生並みにメロメロになっておいて、なに言ってんだか…。さて、試合までまだ時間ありますし、なにか食べに行きません?」
「うん、いいよ」
●
スタジアムの外にある数々の屋台。買い物を済ませた二人はベンチに座っていた。鞠子は紙コップに入った唐揚げを爪楊枝で食べていたが、結佳はウーロン茶を飲んでいる。
「あれ? ユイさん、なにも食べないんですか?」
「私、間食はしないようにしたの。肌の劣化は止められないけど、スタイルだけは頑張るよ」
「最近、昼食にお弁当を持参しているのは、その為ですか? 大好物の菓子パンも食べなくなったし。まったく、今のユイさんは何処をつついても、おノロケしか出てこない…」
「あら、呆れちゃった?」
「呆れるのと、ジョルノに焼けるのと、両方です!」
鞠子が食事を終えるのを見た結佳が、神妙な面持ちで言った。
「キク、言っておきたい事があるんだけど…」
結佳の真剣な雰囲気を感じて、鞠子は姿勢を正して聞いた。
「はい、なんでしょうか?」
「私、近い将来、会社を辞めるかもしれない」
「えっ? そうなんですか? どっ、どうして?」
「起業したいの。彼と二人で、薬科研究の会社を起こしたいの。私が事業開発で、彼が研究員。上内製薬のような大手で働くのも良いと思うし、会社にも凄い感謝しているよ。でも、小回りが利かないというかね。私…特に彼のしたい事を、ピンポイントで出来る環境を作りたいの。あと、彼は表立って薬科研究はできないけど、情熱と才能は人一倍あるからね。これなら世間から目立たないようにして、研究に打ち込めるかなと思って」
「それは実現したら最高ですね! 毎日ユイさんと会えなくなるのは、悲しいけど…。それって、いつ頃の話ですか? ジョルノには話しました?」
「まだ話してないよ。これは彼がプロサッカー選手を終えてからになるからね。もし選手として成功したら、何年先になるか分からない。でも、キクには早めに話しておきたかったの」
「良い目標だとは思います。ユイさん・ジョルノと一緒に働けるなら、私もその会社に就職したいくらいです。給料なんていくらでもいいから。でも、段々と腹が立ってきました」
「えっ! なに? なにを怒っているの?」
「さっきからユイさんは『ジョルノの為』ばっかりです! 献身ばかりしていて、アイツからは何かしてもらってますか? サッカーばかりやって、ユイさんの事を考えているんですか?」
「分からないけど、別にいいよ。彼はこの五年間、ずっとあのアパートに引き籠って研究を続けてきたんだよ? 休日なんて無くって、早朝から深夜まで、ずっと働いていた。まるで自分を責めるようにしてね。だから、自分の好き事を頑張っている彼を見てると、私は幸せなの」
「でも! でも! 私としては、もっとユイさんを想いやってあげてほしいんです!」
「良くしてくれてるよ。あまり言いたくなかったけど、毎日食べてるお弁当あるじゃない?」
「ええ。最近はお母さんが作ってくれるようになったんでしょ? って、あれ? まさか—-」
「うん…、あれは彼が作ってくれているの。毎日、駅まで持ってきてくれるんだよね」
「えーっ! 本当に? 確かにお母さんが作ったにしては、大雑把だなぁと思ってました」
「彼は料理が得意ってほどじゃないけど、私よりは遥かにマシだからね。『昼食に菓子パン食べてる』って言ったら、『僕に作らせて!』ってきかないの」
「へぇ~、意外と世話焼きなんだ」
「デートの機会も確保してくれるよ。一般的なカップルに比べたら、かなり少ないけどね。意外と、そういう普通の『恋愛』を頑張ってくれるよ。電話やメールも毎日くれるしね」
「それは良かったです。ぶっきらぼうで、ユイさんに寂しい思いをさせないか心配でした」
「アパートの管理人もずっと前に辞めてるし。今の彼は百パーセントサッカー選手だよ」
「私としては、ジョルノにはセプロラビィ関係で相談に乗ってもらったり・助言してもらったりしたかったんですけど…。ユイさんに止められましたものね」
「それはキクにも・医薬界全体にも申し訳ないと思ってる。でも、今だけは何も考えず、思いっ切りサッカーをさせてあげたいの」
「そっか。まあ、ジョルノの今までの功績を考えたら、それぐらいは良いかもしれませんね。私が心配なのはユイさんです。二人が仲が良いのは分かりましたけど、どうしてそこまでジョルノを信用できるのですか?」
「どうしてって? 理由なんて聞かれてもね」
「私がユイさんなら、毎日でも『君の事が好きだ』とか言われないと不安になるかもです」
結佳は呆れたように言った。
「はぁ? 彼はそんなの言わないよ」
「アハハ、ですよね。あいつ、そんなキャラじゃないですし」
その時、二人の前から声が聞こえた。
「なんの話? 困るとかキャラじゃないとか?」
ベンチに座る二人の前に、ジョルノが現れた。白いユニフォーム姿だ。
鞠子が言った。
「ジョルノ! お前なにやってんだ? 選手がこんな所をウロウロしていて良いのか?」
「選手って言っても、俺は無名の控えだからね。それに、今日のお客さんのお目当ては、弓玀ノミアだから。俺がここに居ても問題ないんだよ。全然騒がれないだろう?」
「本当だ。もっと有名になって、少しはサインをせがまれるような選手になりなよ」
「本当にそうだな、頑張るよ。それに今日は少しでも出場できたら、嬉しいんだけどな」
結佳がジョルノに聞いた。
「デビュー戦だから?」
「それもあるけど、今日はノミアが出場すると思う。一緒のピッチに立ってみたい。真剣勝負をしてみたいんだ」
「師弟対決か。実現するといいね。でも、キクの言う通りだよ。試合前なんだから、選手は準備しないとね、ジョルノ君」
鞠子は少し驚きながら結佳を見て、内心で思った。
「(くん! ジョルノ『君』って呼んでるんだー。ま、姉御肌のユイさんらしいかな)」
ジョルノは結佳のワンピース姿が目に入り、嬉しそうに叫んだ。
「そのワンピース似合うよ! 可愛いよ! 一緒に買いに行って良かったね」
結佳は恥ずかしそうに視線を伏せて言った。
「ジョルノ君…、お願いだから人前でそんな事は言わないで。しかも大声だし…」
「あ、そうなんだ。ごめんね、結 (ゆい)ちゃん」
鞠子はとても驚いた為、内心では収まらず、思わず声に出してジョルノに言った。
「ちゃん! 結ちゃんって呼んでるの? ビックリしたよ」
「日本では、凄く親しい関係性にある人に対して『ちゃん』という敬称を付けるんだって? 結ちゃんとは恋人同士になったんだから、使ってみようかと思ってさ」
「アンタから『ちゃん』なんて言葉を聞くとはね。ユイさんはどう思ってるの?」
「わ、私は…困ってるよ。四十前で男の子に『ちゃん』なんて呼ばれるなんて困る…」
「困ってない! メッチャ喜んでるじゃないですか! もう勝手にしてください」
「アハハ…、そうさせてもらいます。ところでジョルノ君、本当に何やってるの?」
「玖口と一緒に試合を見に来てくれるって聞いたから、結ちゃんを探してたんだよ。いつもの言葉を言おうと思ってさ。会えるんなら電話じゃなくて、直接言いたいからね」
鞠子はハッとなり、困り顔で焦って言った。
「まさか、今言おうなんて思ってないよね! こんなに人がいる中で言わないよね!」
ジョルノはキョトンとした顔になった。
「…言うつもりだけど? どうして人が大勢いたら、言ったらダメなの?」
鞠子は不思議そうに、交互に二人の顔を見ながら言った。
「ん? なに言ってんの? ジョルノ、何を言うつもりなの?」
結佳は勢いよくベンチから立ち上がり、ジョルノの右腕を両手でつかむと引っ張って言った。
「ジョルノ君! ちょっとこっちへ来なさい!」
●
スタジアム奥にある、人気の無い通路に二人は移動してきた。
結佳はお説教の様な口調で言った。
「あのねジョルノ君。あれは人前で言ったらダメ。ましてキクの前でなんて絶対ダメだよ!」
「もしかして嫌だった? 毎日言っちゃってるけど、困ってたの?」
「嫌じゃない! 困ってない! 嬉しいよ! でも---」
白いワンピース姿の結佳は言った。
「言わないで! 絶対に言わないで! 二人だけの時に言ってね」
ジョルノは不満気に、渋々言った。
「分かった。結ちゃんがそう言うなら」
「もう! もっとしっかりしてよ! 冷静沈着なジョルノ君は何処へ行ったの? あれ…? さっき、私もこんなセリフを言われたな…」
「あのね、結ちゃん。僕が冷静さを欠くのは仕方ないよ」
「どうして?」
「好きだから。結ちゃんの事が大・大・大好きだから。冷静さや判断力が弱まっちゃうんだ。こんな事を言われても、あまりピンとこないかもしれないけど」
「分かるよ! 凄い分かるよ! 私もそうだから! ジョルノ君の事が大・大・大好きだから!」
「そうなんだ、良かった! じゃあお互い様だね」
結佳は目を伏せて、恥ずかしそうに言った。
「まったく、困った子…」
ジョルノは甘々な雰囲気を切り替えたかのように、真剣な表情で言った。
「二人きりになれて丁度良かった。一刻も早く伝えたい事ができたから、聞いてほしいんだ」
「ん? なにかな?」
「僕、サッカー選手は辞めるよ。十一月のシーズン終了で引退する事に決めたんだ」
「は…? 冗談だよね?」
「いたって本気。もうプロ選手にはなれた。後はシーズンで活躍できるよう全力を尽くすよ」
「いや、なれたって言ってもJFLだよ? J3・J2・J1を目指さないの?」
「JFLだってプロだよ。十年のブランクがある僕が入団できただけでも、奇跡に近いんだからね。満足しているよ」
「この半年、限界まで体を追い込んで頑張ってきたのに! …それに、辞めてどうするの?」
「次は僕だけじゃなくて、結ちゃんの夢を目指したい。叶えたいんだ」
「ジョルノ君の夢は、私の夢だよ! 君は自分のしたい事をしていれば良いんだよっ!」
「結ちゃんが強く勧めてくれたおかげで、『サッカー選手を目指す』っていう夢のような時間を過ごす事ができた。ノミアと師弟関係を組めたから、ノミアと離別してからの『空白の五年間』を、埋め合わせる事もできた。全て結ちゃんのおかげなんだ。本当にありがとう」
「だから! これからも君は、大好きなサッカーを心ゆくまで頑張ればいいんだってば!」
「僕の夢は叶ったよ。だから次は結ちゃんの夢を叶えたい。さっき、結ちゃんは言ったよね? 『君の夢は、私の夢』だって。僕だってそうだよ。結ちゃんの夢は、僕の夢なんだ」
「さっきからそう言っているけど、私の夢ってなんなの?」
「小児がんの治療。昴君の様に、苦しんでいる子供達を助けたい。それが結ちゃんの夢でしょう?」
「…うん」
「シーズンを終えたら、僕は研究者に戻るよ。がん、小児がんに特化して研究する。セプロラビィの解明に関しては、玖口への助言や提案で、尽力していこうと思っている」
「嬉しくない…」
「え?」
「嬉しくないっ! 自分を犠牲にして私の夢を叶えてくれても、全然嬉しくないよっ!」
「昴君は、野球が好きだったんでしょ? 野球をしたかったんだよね?」
「え? う、うん」
「僕はこの半年間、大好きなサッカーに打ち込めた。本当に幸せだった。
だから気付いたんだよね。スポーツがしたくても、出来ない子供達が沢山いるって事に」
「ジョルノ君…」
「僕はもう十分サッカーはできた。次は『野球やサッカーをしてみたいな』っていう子供達の夢を叶えたい。結ちゃんの夢を叶えたい。犠牲なんかじゃない、僕の新しい夢なんだ」
「…うん、分かったよ。ありがとう。君とだったら、絶対に叶えられるよね」
●
二人は鞠子の居るベンチまで戻る為に、並んでゆっくり歩いていた。
結佳は言った。
「サッカーを辞める事、ノミアちゃんは知ってるの?」
「うん、入団した時には言ってあるからね」
「なんて言ってた?」
「呆れた顔で言われたよ。『やっぱりねー。ソーマさんが大人しくサッカー選手を続けるハズがないと思ってた』ってさ」
「ノミアちゃんは研究者としてもジョルノ君を尊敬してるから、嬉しかったかもしれないね」
「だと良いけど、サッカーでは師弟が逆転したからなぁ」
「アハハ、そうだね。ところで、『私達の夢』についてなんだけど…」
「ん?」
結佳は、ジョルノと二人で起業したい目標がある事を伝えた。
ジョルノは歓喜して答えた。
「えーっ! そうなんだ! それは素晴らしいよ! 絶対に良いよ!」
「賛成してくれるんだ! 良かった…」
「でも良いの? 上内製薬を辞めちゃって。起業したら、待遇は比較にならない位に下がるよ?」
「待遇は別に良いよ。自分で選んだ進路だから納得できるし。それとジョルノ君の環境も大切にするからね。起業も会社ではあるけど、今まで通り、自分のペースで研究できるように配慮するから」
「うん、分かったよ。ありがとう、結ちゃん。今思ったんだけど、これは良い機会だし・区切りだと思う。だから会わせてほしいな」
「誰に?」
「昴君。お墓参りを一緒に行きたい。僕の事を、紹介してほしいんだ」
「…ジョルノ君。この半年間、君には何も考えず、大好きなサッカーにだけ打ち込んでほしいと思ってた。実際、そうしてくれていると思ってたの」
「ホントにそうしていたよ。大変だったけど、毎日が充実して楽しかった」
「でも、それだけじゃない。私の幸せも、常に模索してくれていたんだね」
「そんな大袈裟な事じゃないよ。結ちゃんの幸せは、僕の幸せとイコールなんだからさ」
「ありがとう。今度の休みに、一緒に行こうね。昴に紹介するよ。ジョルノ君だったら、きっと気に入られるハズだから」
「いいの?」
「もちろんだよ。こんな日が来たらいいなって、ずっと思ってたから。君の言うとおり、これは良い機会だよ。ありがとう、ジョルノ君」
「うん、楽しみにしてる」
結佳は笑顔から一転して、恐る恐る聞いた。
「あのさ、ジョルノ君。一つ聞いていいかな?」
「なに?」
「ノミアちゃんの事なの」
「ノミア?」
「スタジアムで和解した事、大まかに話してくれたじゃない? 世界的な脅威を考えたら、ジョルノ君とノミアちゃんの絆は絶った方が良かった。でもキミは、『親戚のような関係』という絆を残したでしょう? どうしてなのかと思ってたの」
「確かにそうなんだよね。僕とノミアの絆は危険が伴う。だから関係は絶たなければいけないと思ってたよ。でも、こうも思ってた。『世界の為に、この子の気持ちを押し殺さなければいけないのか』って。毎日のように迷っていた」
「うん…」
「でも、僕は固く決心したんだ。『世界中の患者の為に、ノミアとの関係は絶とう』って。そして何処かで静かに暮らそうと決めた。僕にとっても・ノミアにとっても、厳しくて辛い道を選ばざるをえなかった。でも---」
ジョルノが話していると、結佳がさえぎって言った。
「ジョルノ君がその決心を変えた理由、当ててもいいかな?」
「分かるの?」
「泣かれたんでしょう?」
「えっ?」
「ノミアちゃんに、スタジアムで泣かれたんじゃない?」
ジョルノは驚いて言った。
「どうして分かるの? そこまで詳しく話してないよね?」
「私がジョルノ君に出会った当初に、言った言葉を覚えてない? 『貴方は女の涙に弱い』って」
「あ、言われたね」
「君の医薬研究者としての固い決意。それを溶かす事が出来るのは、女の…ノミアちゃんの涙しかないから」
「うん。目の前で泣いてる家族同然の女の子を切り捨てて、良い未来が待っているのかなって。『相手に優しく振る舞えない人に、大した未来はやってこない』。これは結ちゃんの言葉でしょう?」
結佳は目を細めて言った。
「ジョルノ君…!」
「簡単ではない決心だったけど、結ちゃんの言葉…結ちゃんが背中を押してくれた。ありがとう、結ちゃん」
「ううん、それはジョルノ君の決意と覚悟なんだからね。私は大したことはしてないよ」
ジョルノは心配そうに言った。
「もしかして、ノミアとの絆が残った事は、結ちゃんにとっては辛いのかな?」
結佳は笑顔で首を振った。
「まさか。『大切にしてきた女の子を見捨てたりしない』。そんなジョルノ君だから、私は好きになったんだからね」
「うん、ありがとう、結ちゃん」
●
二人は鞠子の座っている、屋台のベンチまで戻ってきた。
「あ、ユイさん・ジョルノ。お帰りー」
結佳とジョルノは、ベンチに座っている鞠子の前に立った。
鞠子は呆れ気味で二人へ言った。
「何を話していたか知りませんけど、ラブラブな話に間違いないようですね」
結佳は不思議そうに言った。
「どうして、そう思うの?」
「いやいや、二人ともメッチャ笑顔だし! 手を繋いでるし! しかも恋人繋ぎだし!」
「アハハ…。そっか」
結佳は手を離そうとしたが、ジョルノが離さなかった。
「ちょっとジョルノ君?」
「もうすぐ試合だから僕は行かないといけないんだ。あと少しだけいいでしょ?」
「もう、仕方ないなぁ」
二人の甘々なカップルぶりを見ていた鞠子は、さらに呆れ気味に言った。
「ジョルノ。最初に会った時とは、もはや別人じゃん。もっとしっかりしてよ」
結佳もジョルノに言った。
「そうだよ、ジョルノ君。しっかりして!」
鞠子は語気を強めて、結佳に言った。
「ユイさんも同じくらい酷いから! メロメロになっていないで、しっかりしてください!」
「メロメロって事はないでしょう?」
「自覚無いんかいっ!」
鞠子と結佳の様子を見ていたジョルノは、クスクスと笑い始めた。
結佳がジョルノに聞いた。
「どうしたの? ジョルノ君」
「嬉しいなって・有難いなって思ってさ。二人に感謝していたんだよ」
「感謝って?」
ジョルノは二人に語り始めた。
「五年前に日本に逃げて来た時。俺はもう、人を信用する気持ちを無くしていた。いや、人を怖がるようになっていた。あのアパートで世間から隠れて、ずっと一人で研究をする生活を続けるんだろうなと思ってた」
結佳と鞠子は聞き入っていた。
「でも、二人に出会えて変わったよ。色んな事が起きて・たくさんの感情の起伏が起きて・世間の事を知れて・新しい世界にも飛び込んで…。僕が人らしい感情を取り戻せたのは、二人のおかげだよ。とても感謝している。ありがとう」
鞠子は恥ずかしそうに言った。
「ばっ、バカ! それは結果的にそうなっただけだよっ! 感謝なんてするんじゃねぇ!」
結佳も照れ気味に言った。
「鞠子の言う通りだよ。ジョルノ君の努力と勇気でもあるんだからね。それに、ノミアちゃんもでしょう?」
「そうだね。イタリアで四面楚歌になって辛い時に、支えてもらったし。再会してからも、良い時間が過ごせた。サッカー復帰にも力を貸してもらった。感謝しているよ」
「それに鞠子と私も、ジョルノ君には感謝しているよ。私達二人は仕事に没頭しすぎて、少し自分を見失ってたトコもあるんだ。でも君と触れ合う事で、学んだり・自分を見直したりするキッカケができたんだからね。ありがとう」
鞠子はソッポを向いて、不貞腐れた感じで言った。
「私は別に感謝なんかしていないから! ほんのちょっぴり影響を受けただけだから!」
結佳は少し笑いながら言った。
「ジョルノ君。これはキクなりの、精一杯のお礼の言葉なの。分かってあげてね」
鞠子は結佳に言った。
「ユイさん! 私の話を勝手な通訳しないでっ! 前にも言ったでしょ!」
ジョルノは嬉しそうに結佳に言った。
「結ちゃん、今のは訳さなくてもお礼だって分かった。嬉しいよ」
鞠子は悔しそうにボソリと言った。
「本当に…もうっ!」
結佳は鞠子に言った。
「キク、ジョルノ君には言ったよ。起業の件、賛成してくれた」
「へーっ、そうなんだ! 良かったですね。ジョルノ、その会社、私も就職するからな」
「玖口も? それは心強いな」
「私は部下には厳しいからね。覚悟してなよ」
「えっ? 俺は部下になるのかよ?」
これには結佳が答えた。
「それはそうだよ。キクの方が社会人としては先輩だからね。女二人でこき使ってあげる」
「そ、そうなの? 怖い…」
鞠子は笑い、結佳も笑いながら言った。
「冗談だってば! 三人で頑張ろうね」
鞠子は不敵な笑みでジョルノに言った。
「私が上司って言うのは本当だからな~」
「分かったって! 先が思いやられる…。でも---」
「でも?」
「とても楽しみだ。二人から、色々な事を吸収したいというか、学びたいんだ。そうすれば、俺の研究にもいい影響が生まれるに違いないから」
鞠子は嬉しそうに答えた。
「ああ…、そうだな。私もユイさんも、お前にそう思っているよ」
結佳も笑顔で言った。
「鞠子の言う通りだよ、ジョルノ君。君から沢山の事を学びたい。この三人なら、良いチームになるよね。ノミアちゃんも近い将来、何らかの形で参加してくれると思うよ」
「そうだね!」
ジョルノは元気よく答えると、名残惜しそうに、そっと手を離した。
「じゃあ行くね」
「うん、頑張ってね」
鞠子は軽く右手を振りながら言った。
「頑張れよ。少しは試合に出れるといいな」
ジョルノは二人に微笑むと、背中を向けて歩いて行った。結佳はその背中をずっと見ていた。、十メートルくらい離れたあたりで、鞠子に体を向けて言った。
「さて、私達も客席に戻ろうか?」
「私、分かりましたよ。ユイさんがジョルノを信頼できる理由が」
「ん? なんの話?」
「私、思ってたんです。ユイさんが『ジョルノが他の女と知り合っても構わない』って言った時、『どうしてそこまで信じられるのかな』って。でも、あれほどラブラブなら、安心ですね」
「それもあるけど、ジョルノ君はハッキリと言葉で伝えてくれるから」
「まさか、私がさっき言った『君の事が好きだ』を毎日言われるってヤツですか?」
「だから、毎日『好きだ』なんて言われないってば! さっ、もう客席に戻ろうよ」
鞠子は結佳の後方に視線がいき、ボソリと言った。
「あ---」
「キク、どうしたの?」
結佳は鞠子の視線の先を追って、後ろを振り返った。すると、ジョルノが立っていた。
結佳は子供を叱るような口調で言った。
「ちょっとジョルノ君! 何をしているの? 早く戻らないとダメだってば!」
「そうだけどね。毎日言っている言葉を、まだ言ってなかったから。だから言わせてほしい」
鞠子は不思議そうな表情で言った。
「それ、さっきも言ってたな? いったいなんだよ?」
白いワンピース姿の結佳は、困り切った表情でジョルノに全力で懇願した。
「言わないで! こんなに人がいる前で、絶対に言わないで! お願いだから言わないで!」
「う~ん…。自分でも止められないから、無理だよね」
「そ、そんなぁ! …じゃあイタリア語で言って! それなら誰にも分からないから!」
ジョルノは納得した様子で、笑顔で言った。
「うん、いいよ! じゃあ言うね。Yui-chan Ti amo oggi... (ユイちゃん ティ アモ オッジ)」
そう言われた結佳は困った表情が消えて、ジョルノを愛おしそうに見つめて言った。
「Anch`io Ti amo giorno... (アンキーオ ティ アモ ジョルノ)」
結佳は言い終えると、ジョルノを優しく抱き寄せた。
鞠子はその様子を恥ずかしそうな表情で見ながら、内心で思った。
「(結ちゃん、今日も愛してる → 私もだよ、ジョルノ君…か。この二人、私がイタリア語分かるの、忘れてるなぁ。ユイさんは『毎日好きだなんて言われていない』って言ってたよね。確かにその通りだよ。『好き』じゃなくて『愛してる』だったけど。こんな甘々な会話、目の前で聞かされる私の大変さも考えてよ! …まぁ、こんなの毎日言われているなら、ユイさんが安心するのも当然かな)」
鞠子はジョルノと抱擁し合っている結佳を見て思った。
「(ユイさん、幸せそうだなぁ。私の『ユイさんを幸せにしたい』っていう夢は叶ったかな。それに、ノミアの『ジョルノを幸せにしたい』って夢も、叶ったってトコロかな)」
そう思った途端、鞠子はある事を思い出して立ち上がった。
「そうだ! ユイさんの白ワンピを見ていたら思い出した!」
結佳とジョルノは驚き、抱擁を解いて鞠子と正対した。
結佳は鞠子に聞いた。
「なに? 私の白いワンピースが、どうかしたの?」
「ユイさんは、以前は白いワンピースが嫌いだったでしょ?」
「うん。でも今は好きだよ。ジョルノ君が好きな色が白なのもあるしね」
「もう一つあったでしょ? ユイさんが苦手な白衣」
結佳は困った表情で考え込んだ。
「う~ん? 私が苦手な白衣ねぇ…。あっ!」
結佳はハッとなって、思い出した。
その様子を見た鞠子は言った。
「あっ、思い出しましたね?」
結佳は恥ずかしそうに、うつむき加減に返事をした。
「う…、うん」
「今はどうですか? あの白衣は、今でも嫌いですか?」
「ううん、そんな事ないよ。着てみたいな…」
「色は? 黒か赤って言ってましたよね?」
「そんなのヤダよ。白がいい。真っ白がいいな…」
結佳はウットリした表情で、ジョルノの目を見た。
ジョルノはドキッとして言った。
「どっ、どうしたの? なんの話をしてるの?」
ジョルノは結佳に質問したが、鞠子はそれを邪魔するかのように、ジョルノに言った。
「さぁて、甘々な雰囲気はここまで! ジョルノは試合だろ? 気持ちを切り替えろよ!」
「そうだな、分かった」
「あと、ユイさんにプレイヤートンネルまでエスコートしてもらったら? エスコートキッズみたいにさ」
サッカーに疎い結佳は、不思議そうな表情で鞠子に聞いた。
「なに? 『トンネル』とか『キッズ』とか。分かんない」
「とにかく、ジョルノと手をつないで行ってらっしゃいって事ですよ。なぁ? ジョルノ」
「うん、そうだな。もう行くよ。でも、その前に…」
ジョルノはそう言うと、鞠子の前に立った。
そして真剣な表情で言った。
「玖口、色々とありがとう」
鞠子は戸惑って言った。
「はっ、はぁ? 何よ、急に。『色々』ってなんの事?」
「色々は色々だよ。お前が思っているほど、俺は鈍感じゃないからな。今こうして、結ちゃんと幸せな時間を過ごせているのはお前のおかげだ。ありがとう、玖口」
「いや、だから、なんの事を---」
鞠子が言い終えるのを待たず、ジョルノは右手を鞠子に差し出した。鞠子はその右手を少しの間見つめると、自分の右手で強く握った。
そして、少し笑みを浮かべて言った。
「私もジョルノには感謝してるよ。なんたって、ユイさんを幸せにしてくれる男なんだから。ありがとう、ジョルノ」
お礼を言い終えると、鞠子はジョルノの手を離した。
ジョルノの一歩後ろに立っている結佳が言った。
「私もだよ。今の私がいるのはキクのおかげだもん。いっぱい支えてくれて、励ましてくれて、ありがとう」
鞠子は照れながら言った。
「もう良いから、行ってください! しっかり手をつないでね!」
「うん!」
結佳はジョルノの横に立ち、右手でジョルノの左手を繋いだ。
次に左手を、鞠子に向けて差し出した。
「キクも一緒に行こうよ」
「は?」
ジョルノも鞠子に言った。
「俺も思ってた。玖口も一緒に行こうぜ」
「でも、私は---」
鞠子が話していると、結佳が左手で鞠子の右手を握って言った。
「ねっ?」
鞠子は嬉しそうに、顔を赤くして言った。
「はい…」
三人は手を繋いだまま、三角形のように向かい合った。
結佳は言った。
「私、こうして二人と手を繋いでいたら、思いついちゃった」
ジョルノが結佳に聞いた。
「何を?」
「会社の名前。三人で起業する、会社の名前だよ」
鞠子は興味津々で聞いた
「へーっ! なんですか?」
「『すばる』。すばるなんてどうかな?」
「あ、弟さんの名前ですね」
「『すばる』って『集まって一つになる』って意味なんだけど、『夢と希望』っていう意味もあるの。今まで私達は、バラバラに生きてきたじゃない? でも、こうして集う事ができた。そして病気で苦しんでいる人達の『夢と希望』になる事を目指している。ピッタリじゃないかと思うの」
「うん、いいですね! 賛成です!」
ジョルノも嬉しそうに言った。
「僕も良いと思うよ。『すばる』にしよう!」
結佳はジョルノに言った。
「ノミアちゃんもだからね」
「え?」
「ノミアちゃんと一緒に仕事をする機会はあまり無いかもしれないけど、彼女も私達の仲間だと思ってる」
「結ちゃん…」
「あの子はジョルノ君にとって、妹のような存在でしょう? 君の妹なら、私にとってもそうだよ。大切にしたいの」
ジョルノは嬉しそうに言った。
「うん…。ありがとう、結ちゃん」
鞠子は空いている左手の人差し指を立て、自分の顔を差した。そしておどけて結佳に言った。
「あのー。ノミアが『妹』で、ジョルノが『恋人』。私はどうなっちゃうんですかねぇ?」
結佳は嬉しそうな笑みを浮かべ、優しく鞠子へ言った。
「親友」
「え…?」
「キク。アンタは『親友』だよ。辛い時も楽しい時も、一緒に過ごして乗り越えてくれた。キクにはどれほど感謝してもしきれないの。大好きだよキク。これからも、私から離れないでね」
鞠子からおどけた表情が消えた。そして顔を赤くし、恥ずかしそうに言った。
「はい…、私もですよ。ユイさん、あなたが大好きです」
三人は微笑み合いながら、お互いにつないでいた手を強く握った。
丈璃乃結佳。ジョルノ・ヴェロネージ。玖口鞠子。そして弓玀ノミア。
この四人が、多くの患者の『夢と希望』になるであろうという事は、想像に難くなかった。
この『すばる』達から、新たな医薬の歴史が始まろうとしていた。
〈了〉
イラスト:migmag
「Yui-chan Questo abito bianco non significa chetu debba tingerti dei miei colori.
Iniziamo insieme una nuova vita,pura e bianca.」
(結ちゃん。この白いドレスは「僕色に染まって」という意味じゃないよ。「真っ白な新しいスタートを一緒にしようね」っていう、僕達の願いなんだからね)
「うん、ありがとう。キミと一緒にこの白いドレスを着れて、本当に幸せだよ。
ジョルノ君、キミを愛してる!」
(Si,grazie mille.
Sono cosi felice di indossare questo vestito bianco insieme a te.Ti amo,Giorno!)
イラスト:migmag
イラスト名「すばる」
※本作担当イラストレーターmigmag様に描いて頂いた、ファンアート作品です。
(イラスト名は著者が命名)
☆あとがき☆
私の好きな漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に「ダービー・ザ・ギャンブラ―」というお話があります。主人公はトランプ対決をするのですが、弱い手札しか持っていない。そこで相手を「ハッタリ(嘘)」で打ち負かす…という筋書きです。
私はこのお話が大好きで、長年の憧れでもありました。もし自分で物語を書くなら、「ハッタリ」をテーマにした物語をぜひ…!
そう思い続けて、具現化に挑戦したのが今作です。
「ハッタリ」を言い続けるのがジョルノとノミアだった訳ですが、二人とも「一歩も退かない」とう姿勢を貫いてもらいました。おかげで「何処で・どちらが折れるのか」という着地点が定まらず、書いていてヒヤヒヤしました。そして思ったのは、「女性相手に口で勝つ」というのは本当に大変なんだな、という事です。ジョルノに「お疲れ様でした」と言ってやりたいです。
ちなみに主人公の名前「ジョルノ・ヴェロネージ」は、ジョジョの登場人物「ジョルノ・ジョバーナ」から拝借したものです。出身地も同じイタリアにしました。
弓玀ノミアは、実在するサッカー選手の「中村俊輔」さんがモデルになっています。
経歴・背番号・プレースタイルなどを参考にさせて頂きました。
最後に謝辞を。
今回の四作目のイラストも、migmagさんにお願いできました。これで二年以上もやり取りをさせて頂いております。演出面で助言を頂ける事もあり、本当に助かっています。相も変わらず、女性の美しさが際立つ絵で、見ていてウットリできます。ありがとうございました。
最後に読者様へ。本編が四百六十ページ越えという、自分史上最長になりました(他作品と比べると、百五十ページくらい多いんです)。最後まで読破して頂けた貴方に、最大限の感謝をいたします。本当にありがとうございました。もし、楽しんで頂けたのであれば幸いです。
今、第五作の執筆が始まっております。いつも「今作が最後」と思いつつ、五作目までたどり着きました。次作は、自身初めてのファンタジー。
しかも「戦わないバトルファンタジー」と銘打ってしまいました。大丈夫か?
大きな不安を抱えつつ、この辺りで失礼します。また皆さんと御縁がありますように。
二〇二六年三月三日・テラター
※日付は執筆当時




