おしまい
わあああっ…
という歓声はしばらく止むことはなかった。
横丁の人々は相変わらず優しくて新たな神様になった俺を温かく迎えてくれた。
もしかしたら忘れていたのは俺だけでみんな知っていたのかも知れないけれど…
だとしてもそれを言わないみんなはやっぱり優しかった。
「金蔵。シュウくん。そろそろ。」
「ん?おお、危ない危ない。そろそろ時間だったな。」
あ…
もう帰らなくちゃいけないのか。
なんだか楽しくて忘れていた。
いや、忘れようとしていたのかもしれない。
「それじゃあ、な、またな!みんなっ!」
みんなに別れを告げるじいちゃんの声がなんだか遠く感じる。
「んじゃ、 帰るぞ、秋…秋っ!?」
え?
じいちゃん何慌てて…あれ?
頬に手をやる。
あ。俺…
泣いて…るんだ。
「兄さん。」
小豆が心配そうに俺の頬を舐める。
「シュウくん。泣かないで下さい。」
俺の背中を優しくさする時雨さんの瞳にも涙が浮かんでいて…
「っ…時雨さん。
お世話にっ、なりました。」
「いえっ…こちらこそ。」
そんな俺達に水を指すようにじいちゃんは口を開いた。
「あー…ちょっと悪い。秋。お前いつでもこっちこれるけどな?」
…はい?
どうやら時雨さんも同じ気持ちのようできょとんとしている。
「あー、だから、神さんはいつでもこれんだよ。」
…あ、え?んん!?
ってことはつまり、
「金蔵…そういう大事なことはきちんと言いなさい!!」
「うおっ 」
わああああっ…
再びおこる歓声。
「いつでもこいよ!」
「秋くんいなくちゃ寂しいよ!」
たくさんの人からの温かい言葉に胸があったかくなる。
いつでも、来ていいんだ。
いつでも、来れるんだ。
「シュウくん。いつでも来てくださいね。
毎日でも!」
そう笑顔を浮かべた時雨さんに負けないくらいの笑顔で答える。
「はい、毎日きます!」
もういう言葉はさよならじゃない。
「それじゃあ、また!」
急に現れた魔法陣。
「またなー!」
「またね!」
みんなの笑顔を見届けて瞳を閉じた。
あの頃みたいに手をつないで。
…ん。
瞳を開けば見慣れたはずの通学路。
なんだか懐かしくなるけれど、
時間は時雨さんの言っていた通り、変わっていなかった。
ピコン。
ん?
携帯を開けばじいちゃんからだ。
はやく帰ってこいよ。
わかってるさ。
簡単に返信をして自転車に跨る。
なんだかまだワクワクが止まらない。
ポケットには夢原さんの選んでくれた夢と
時雨さんのきつねうどんのレシピが入っていて、
花蜜さんには、ばあちゃんへ伝言を頼まれている。
俺はもう忘れることはないだろう。
いや、忘れない。
たくさんの素敵な友人達のことを、
「もちろん、お前のことも忘れてないよ。」
いつの間に入ったのか籠の中には真っ黒い猫
「みゃあ」
「紅葉さんに怒られても知らないからな。」
「みゃー」
いつもみたいに人の言葉ではなかったけれど
「なんとかなるにゃ」
そんな風に言ってるように感じた。
「じゃあ、帰ろうか。」
「みゃあ!」
小さなころから魔法とか、妖精とか、そういうもの達を信じていた。
まさか、本当に友達になれるとは思っていなかったけれど。
もう暗くなった帰り道。
キラリと光る星たちはなんだかいつもより輝いていて。
あ、流れ星。
美月さん達かな?
なんて思ったり…
星空の下俺は、いや俺達は空を見上げて微笑んだ。
困っている人がいたならばどんな時でも力になろう。
きっと…
きっと…素敵な事がおこるから。
なんでも揃うなんでも横丁
いつでもどこでもいらっしゃい。
優しい人なら大歓迎。
いじわるさんでも大歓迎。
本当は優しい知ってるよ。
さあ、次はあなたの番。
はじめまして!水澤星香です。
なんでも横丁へいらっしゃい。
を読んで頂きありがとうございました!
個性豊かなキャラクターが暴れたりと、
私の文才では制御できないことが多々ありましたが、無事完結でき、嬉しさでいっぱいです!
それでは、ありがとうございました!




