そして
未だ言い合っているじいちゃんと時雨さんをみていれば…
不意に、あの時の夢を思い出した。
銀杏並木を歩く幼い頃の俺と、誰か。
そして時雨さん。
今ならはっきり分かる。
あれは…
「なあ、時雨。」
あの声は…
なんだ。
なんだ。全部、全部じいちゃんだ。
声の正体がわかったとたんいろいろな記憶が蘇った。
この場所を何故か知っていたのも、
懐かしくなったのも、
やっとわかった。
逆になんでいままでわからなかったのか不思議なくらいだ。
「兄さん?どうしたにゃ?」
いつの間にか俺の肩に移動していた小豆が心配そうに俺をみつめる。
そんな小豆の頭を撫でてじいちゃんを見る。
「やっと思い出したよ。」
「まあ、気づくの遅かったけどな。」
たしかに。
「神様の正体は分かりましたか?」
「はい。」
時雨さんの言葉に頷く。
「神様はじいちゃん。…そして」
俺の言葉にじいちゃんはにやりと笑って…
「…俺だ。」
わああああああああ!!
たくさんの人々の歓声が響き渡る。
「大正解だ。」
いい笑顔でじいちゃんはまた俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。
俺は全て思い出した。
あの銀杏並木で。
「秋。お前、今いくつだ?」
「5歳!」
手のひらを見せながら叫ぶように言ったあの日、交わしたもう一つの約束。
「お前が、そうだなあ…16、いや17、それくらいかなあ…17になったその時は、秋。」
「んー?」
「お前が、次の神さんになるんだぞ。」
そう言われた。でも…
「やだ!」
「っ?!」
「じいちゃんも一緒!!」
あの時もじいちゃんはいい笑顔で俺の頭を撫でた。
そう、今みたいに。




