006頁:鮮紅の血
一部流血描写があります。苦手な方はお気を付けて下さい。
純白の雪が、鮮紅に染まる。
喪う事が怖い。恐れていたことが起きて。
大切な人を、一人一人、殺された。
おかしいよね?こんなのって。
僕をかばって。
黒く、紅く、白く、幻の様に…
狂う。ただ、ひたすらに、狂い続ける。
ひらひら
――――…私は、嘘を吐く。
ふわふわ
――――…ヒトは、嘘を吐く。
きらきら
――――…私は、信じない。
くるくる
――――…偽りも、真実も、
全部、全部、信じられない。
――――…狂いだした。
私は独りで、誰もいなかった。
消えていく。
大切なモノも、
全部、私の中から
零れ落ちていく。
その時、思ったんだ。
――――…もう誰も
信じない 。
――――…私の中の時計は、
壊れたまま、動かない。
♥♧♦♤
4朝。
――――――…あれ、変だなぁ…?
むくりと僕は起き上がる。
「ふわあ……ん~眠い…ぜ?…」
僕はネグリジェから、私服に着替えて鏡を見る。
…実は、あのあと、僕はすぐ自分の部屋に戻った。
二人とも何か言っていたが軽く無視した。で、戻って、開き直った。
なんか馬鹿らしいなぁ…と思った訳で。僕はさらに狂いました…?
本当ですよっ?あ、そこ、引かないでくださいねー。
うーん?でもなんか違うなぁ…
しいて言えば、リミッターが外れた?こんな所です…?
こんこんっ!
誰だろう?………せーるすまんとかだったら嫌だなあ…。
「だれ?」
「シロ・ウィリアム」
「ああ。で?」
「冷静…?」
「開き直りだとおもいますよ。たぶん。」
「開き直り、ですか…?」
「そうだよ。一回言っても分からないとかアホなんですねあっそれともバカでしたか?ニワトリ以下でしたか?あ、分かりました地球外生命体で記憶力がものっそい悪いんですねウサギ耳ですしね。あ、それって新しい部類が生まれましたね。」
思ったことを言う。
酷い罵倒の数ですね。悪いな、なんて思ってしまう。
「ゔうっ…」
「あ、今もシロ君いるけど見つかったら校則違反、でしたっけ?こうそくいはんですよね?昨日聞いた限りにはシロ君て生徒会だった筈ですよね?ここに来てよかったのですか?」
「質問攻め…?」
「そうですよね。それじゃなきゃいったいなんだって感じしないですか?ああ、ごめん」
「な、なにがです?」
「シロ君地球外生命体っでしたね。ごめんなさい、私の言葉分からないですよね?」
「い、いいえ、分かるに決まってるじゃないですか。大体!さっきから僕の事罵倒してますよね!」
「うん。」
「うん、じゃない!」
「ではなんですか?」
「素直に認めた、ってとこが問題なんですよ!」
「どうして」
「そ、それは…」
「言えもしないんですか?言えもしないのに反論とか自爆ですよね、馬鹿ですよね」
「ううぅ…もういいですっ!ラトの馬鹿ッ!」
たたたたたっ!!
「兎だけに足は早いですね…」
でも、バカと言われるのは余り嬉しくないですね。
………。
……。
…。
♥♧♦♤
僕は両腕を広げ、踊るように回りながら学校探索中。
何故回ってるのかと言うと、どこまで回って酔わないかなって思いまして。
うん?変だって?うん、知ってる。
「…よっと」
くるくる…ピョンッ!
ジャンプしてもう一回転。因みに現在無人の中庭。そうして考えるのは、今日の夢だった。
大切な人…今の僕には絶対に存在しない。
一体誰なんだろう。夢の中でその大切な人達は黒と赤で塗りつぶされていて、全く分からないのだ。
「んー…んー…んー…」
軽く詩が出来そうな感じだな。たとえば、そうこんな感じ
『夢の中で見た君は、一体誰?きっと、遠くにいるんだろう。だったら、僕は君を探すよ。空を超えてでも、君に会いに行く。雪は純白なのに、夢の中では鮮紅に染まっていた。君を助けるために、何度でも…』的な?
はい、詩の出来上がり~
「失いたくないから、失う事に意味がある。喪いたくないから喪う事に意味がある。」
思わず鼻と喉がツンとくる。 泣きたくなるよなあ…この言葉。 この言葉は昨日、二人と星を見た時に“思い出した”のだ。思わず泣いてしまって、シロ君に文句言われて、“分かんない”と嘘を吐いた。だがまあ、半分本当なんだもの、仕方のない事だ。
「 aurea caelum.」
口から発せられた言葉。まるで、そうならなくちゃいけないかのように。
聞いたことも無い言葉。それなのに、どこか懐かしさを感じてしまう。
意味は…どこかで聞いたことはあるけど、どうしても思い出せない…
どうしてだろう?どうして、こんなにも、胸が苦しいんだろう…?
「quaedam oblivio」
…それは、遥か遠い約束。
遥か遠い声。聞こえる。いや、聞こえてくる。
『ル■■、■束だよ?』
『■ん、分かっ■るですよ』
言葉には所々フィルターが掛かったように聞こえなくなっている。
雑音ばかりでほとんどが聞こえない会話が繰り返されていく。
『■イ■、絶■に守っ■よね!』
『う■もっ■■んです■!』
「嘘吐き。」
どこからかそんな声が聞こえた。それは、自分に向けられている殺意だと分かった。
「…そうですよ、私/僕/自分はいつだって…嘘吐きなんですよ。自分にさえ嘘を吐く頭のおかしい狂い人なんです」
「自分で言うか?」
「ああ…言うよ? だって、自分でもわかるぐらい嘘吐きで、頭が可笑しいですもんね」
「“刈り取る者”なんてすぐにオレがあの世送りにしてやる!」
「そう…私の名前を言えやしないのなら、君は無名さんですね?」
「…そうだけど」
悔しそうに僕の質問に答える。
まったく…はあ…このド素人め! この私に敵うとでも思っているのか!
…なんちゃって……だってねえ…
「貴方、一つ勘違いをしていますよ」
「…何を?」
「私は君の事を見えている…それと貴方の相手をするつもりはないです、」
「嫌でもオレの相手をすることになるさ」
「うっわあ…自意識過剰ー……ぷーくすくすっ」
「う、うるさい!」
「あ意外と初心なんですねー。」
「無表情でつまんなそうに言うな!」
「おー…正解です。よくわかったね。ぼうず。」
「うぜえー…」
「せいかーい。私うざいんですよー」
「ぐちぐちウルサイ!」
「おっとっと…」
短剣が投げられてすかさず避ける。
「あぶないあぶない…」
「その服を血に濡らすぜ!」
「…この服元は白だったんですよね…」
「え…」
「実はこれ返り血。」
「えっ…??!」
「と言うのは冗談ですよ」
「な、なんだあ…そうだよな…返り血なんて! ふつう考えれば嘘だと分かるしな!」
「返り血浴びたのは別のスカートです。」
「え…また冗談だろ?もう騙されねーぜ?」
「いいえ、残念でしたね。これは本当です。同じく白いワイシャツも赤に濡れてしまったんですよねえ…残念でした。その日は、某怪異ギャングを壊滅させたので、余計血を多く浴びてしまったのですよねえ…」
「え…ニュースでやってたアレ?」
「どのアレかは判りかねますが、多分それでじゃないですか?」
「あの、血まみれフィーバーギャング事件!!!??」
「おお、それそれですー」
「マジか! カッケー! 憧れるわ…」
年頃の少年染みた感じだな…。
「じゃなくて! おまえを倒す!」
「そうですか」
「っは! こちとら手加減なしでお前と戦いてぇんだよっ!!」
「何も言ってないんだけど」
「ぶぐはっ!」
空間を彼のいる場所から横に落とす。そう、見え見えだ。いつぞやの猫くんを思い出すぐらい、見え見えだ。あ、そうそう、空間と言うのは青の魔法の特徴で、空間を作って空間の台座を作ったり、空間で浮いている物体を止めたり、ってそれは違うか。
「はははーざまあー」
まあ、指をさして笑う。
無表情ですが。所謂、……なんだっけ…あ、声真似です。
「うってててっ!」
「おおう、まだっぴちっぴちの若もんじゃねーですか」
「ああ! てめーよか若いがな!」
「うん、見れば分かるよ。と言うか、…私はまだ1%の力しか出してないんですけど…。それに、私は売られた喧嘩は買うタイプなのです。だから、命を大事にするですよ」
「てめっ…! …うるせーよバーカ。」
「………」
「なんだよ?いきなり黙って」
「……………」
「?」
胸元の鍵を握り閉める。落ち着いて…願う。
「リボルバー」
そう呟くと握り閉めていた鍵が二丁のロングバレル型のリボルバーに代わる。
「!! すげ…」
「来なさい。人に散々熱い視線を送っといと、来ないつもりですか?」
「うひひひ」
鳥肌が立つ。 き、きもい…
「くひひひ…」
「うっわあ…新手の妖怪ですかぁ…?」
「また、会いに行くよ…」
そう言い(笑い)声は消えた。
「腰抜け…」
…散々殺気を送ってたくせにいざ勝負、ってなったとこで逃げるなんて……僕はきっと目つきが悪くなってる気がするな…無表情は貫くが。
「新手の妖怪…侮り難しっ」
「おいおいおい!! アナドリガタシ、じゃないよ! 周りを見ろ!」
「んー…?」
言われた道理に周りを見る。
「…………いいさんどばっく」
「は?イイサンドバック? …いいサンドバック!!!??」
「……行きますよ?…まとめて滅多刺しにしてやります」
そう…周りは刺客っぽい野郎どもなのだ。
しかし、怪異ですね。生きていない怪物の匂いです。人型怪異なのですね。
「ちょっ、ちょっ!? ねえちゃん!?」
その言葉と共に僕は走り出す。
ここからコピーで行こう。念じるとリボルバーは元の鍵ではなく、短剣のネックレスになった。そして、瞬時にコピーしたのは、槍。
ただ、無鉄砲に振り回す。それだけで、怪異は黒い消し炭に変わる。怪異は死ぬと消し炭になっても、血は出てるのが不思議な事だ。槍を「書き換えて」大剣にコピーする。
遠い昔。
僕は願った。
生きたいと。
死にたいと。
矛盾している願い。
生きたい。
でも死ななくちゃ。
死ぬ通なんてない。
殺すのは常に怪異ばかり。
苦しいのは僕であって。
私じゃないのに。
僕/私/自分は欺く。嘘を吐く。
わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない。
僕の正体も真実も事実も虚像も嘘も誠も理由も意味も意義も理屈も委細も概略もわからない。
気付けば、全部終わっていた。
「ぁ……あ……?」
「?」
「……な、なな……何者だよ!?」
生存している一匹の怪異から余裕は消え失せて困惑と恐怖の色を隠しもせず僕を見上げた。
「――――――――…今はまだ一年一組かっこ仮。年齢14歳、職業学生。将来の夢は正義の味方(笑)な超絶器用な少女とはこの私、ラトでっす。ちっすです。」
僕は無感情にその名を名乗る。
「別に覚えなくてもいいんで。あなた、死にますから。」
それから無邪気を装ってにっこりと笑ってみせた。
そして真っ二つに上から下へと引き裂く。
朱い、紅い、血が、僕と場所を紅く染め上げる。その光景がいつかの、光景と重なった。
「…んんっー絶景には少し遠いかな。Does not return can not return」
世界は無色だった。
世界は不完全だった。
世界は残酷だった。
だからただ願っていた。
一刻も早く、この鼓動が潰れて無くなりますようにと。
…だから僕は無表情で、いなくちゃならない…
…だって、たくさんの屍の上に骸の上に、私とあたしと僕は、立って居るんだから…
お粗末な戦闘(笑)な描写、すいません。
因みに、Does not return can not returnは、
戻れない 戻れない、と言う翻訳です。
これもGoogle翻訳です。