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不思議の国の星が煌めくその夜に  作者: 黒猫
第一章 兎の穴に落ちて………
16/37

012頁:Serious story

シリアスの巻。


❅…†…❅



………そっかあ…

 僕は見つめ返す。僕を押し倒せいている体制で、僕の胸に、鋭く尖ったナイフを突き立てている、青年に。


「……寝てるときに襲撃なんて、巧くなったね、チェシャ猫。」

「!!………久しぶりだね、お師匠ちゃんが、オレに、そういうの。」

「……」


コクリと頷く。


「ずっと、もっと早くこうしてればよかった。そうすれば、この戸惑いも、悲しみも、無かったのに。」

「…そ。」


 僕は冷たく見据える、その青年を。

…あー!やっぱり悲しい物は悲しいですね。

裏切られる、と言うのは。悲しい。

ああ、悔しい。悔しすぎちゃうんですよ。

むあ!悔し!絶対に変えてやりますですよ。

何か理由がある。僕を殺そうとする者には必ず理由がある。

だから、その理由を知りたい。



「君は、僕より、嘘吐きですね。裏切らないと言ったのに。」

「…ラト…オレは、アンタが大っ嫌いだ。」

「……。」


僕は再度頷く。


「それで僕を裏切るんですね?」

「っ…!…違う、だから、殺す。」

「わあ…それなんて世紀末ですかー。(棒読み」


 そういうと、チェシャ猫はくつくつと笑う。


「……………殺すの?殺さないの?」


 どこまでも冷たくそういう。


「………コロシテ、いいのかな?」

「殺せば?」

「っつ…!……分かった。」


 そういうチェシャ猫の手は震えてる。


「………さよなら。」

「………」


こくと、頷くと同時に


グジュッ!!


「あ、いた」


 痛みが右眼に感じる。

容赦ないですね。凄く痛い。ナイフで眼球をつぶされたようですね。…おかしいな、チェシャ猫の得意魔法なら僕の眼球は軽く盲目になるのに。ナイフじゃなきゃいけない理由があるみたいです。チェシャ猫はナイフで殺すのは極力避けているはず。……ああ、全く分からん。


「いたいですね」

「…っ…ふう…」

「でも、チェシャ猫、君確か、ナイフで殺すの無理じゃなかったっけ?」

「無理」

「そくとーときたですね。」

「……好き。ラト、好きだ。」

「き○が○ですか?」

「…色気がない…」

「誰でもこう」

「違うと思う。」

「あ…鳥、好き?」


そんな、いつも通りの話がかみ合わない変な会話。だが体制と起こってる状況はたいへん恐ろしい物だ。


「好き、美味しいし。」

「ですよね。」


グジュッ!!


 今度は左眼に熱い痛みが走る。

痛ましい音だことですね。再度考える。それしか方法がないですし。

ナイフで殺すのを嫌なのにどうしてナイフ?そして、最初に言った事、『ずっと、もっと早くこうしてればよかった。そうすれば、この戸惑いも、悲しみも、無かったのに。』とまどい?かなしみ?ではなぜ、ナイフ。ではなぜ、眼球から、少しずつずつ殺すのだ。一番精神に来ない殺し方は、首と体を一気に切断、脳に一刺し、心臓に一刺し、だ。

…ふむ、仮説を立ててみようか。


可能性その一、誰かに命令されてる。

可能性その二、今まで僕が傷つけてきたようにと思ったから。

可能性その三、チェシャ猫が言った言葉からして、元から僕の事が嫌いだったから。

一、何だかありえそう、それならナイフでの眼球や殺傷もありえる。

二、………うむ、分からない。自分で考え、全くこれは分からない。

三、うん、とても、ありえる。それならナイフでの眼球、殺傷も分かる。


「ふぅ…はぁ…」

「っつ……今のは確かに痛いですねー」

「…はあ…も、やだ。」


…一の可能性もあるかも。やだ、ってことはやっぱり一かもしれないですね。


「…どこの女子ですか、君は。」

「女子じゃないっ…!」

「知ってるですよ。」

「…ふざけてるな?」

「………」


 こくりと僕。

ああ、意識が薄れて…


パキーンッ!!


…嗚呼…ダメですね、これ。救いようがありません。僕。

 そう思い、意識を手放す際に聞こえた声は…


「くひゃひゃひゃ!その子は殺させないよ!」


 新手の気味悪い妖怪だった。

 そうして僕は意識を手放した。


❅…†…❅


ある日僕は、自分のその破滅的な性格に気付いた。

相談が出来ない、打ち明けることが出来ない性格になっていた。

口にしないことで、何もないみたいに装うため、無表情ですごす。

誰かを傷つけたんだから、苦しい。本当は僕は苦しいのに、止めたくてたまらないのに、無表情で殺す。

それが事実を押し込んだ胸を引き裂いて傷を作っていると気付かず。

僕は僕を、必死に守っていた。

誰にも打ち明けないことで、殻に閉じ籠り守っていたんだ。

そうすれば、何が起きても、崩れ落ちないと思ったから。

何事もなかったみたいに振る舞うことで、忘れ去る。

僕が続けてきた方法で、こびりついた悪癖だ。

口にしなければなにも起きていないと同じ。

他人に知られなければなにもないと同じ。

口にしなければいい。胸の中にしまいこみ、忘れてしまえ。


ただ、一緒に時間を過ごす相手がいればいい。苦しい時間を埋めるように、楽しい時間だけを過ごす。

そうすれば悲しくならない。口にしなければ苦しい時間はなかったことに出来る。


なのに、なのに…世界は、運命は、それさえも許さない。


僕の所為でシロウサギが襲われた。必死に守っても、彼は最後に僕に『化け物』といい、血まみれになった僕を置いていった。

“……なんで…なんで……!!

“…君の事信じてたのに…”

どうして…裏切った!!

そう思っているあの頃の『あたし』は、たくさんの感情を持っていた。

きっとあの時、自分の感情をどこかに忘れてしまったんだろう。

…………そう――――…私の全てはあの日から始まったんだ。

木にもたれながら、仕方ないと、心では思っても、ただ、ただ涙を流した。

死にかけて守った、シロウサギが幸せであれば僕はそれで構わなかった。

だけど、だけどね、どうしようもなく、悲しかった。体には傷が溢れかえっており、血まみれ。周りには殺したばかりの怪異と人間。

死ぬかと思った。この日から僕は狂ったのだろう。

噎せ返る死体の匂いと錆びた鉄…否、血の匂い。五日間そこにいた。

こんな自分なんて早く死んだらいいと思った。そう思っても全く持って死ね無い。


渇いた笑い声と、蔑む言葉。

その二つは容赦なく自分に突き刺さる。



バカで、何も考えてなくて、ほぉんと駄目ですね。

一人じゃ何も出来なくて、頼ってばかりで


泣き虫で、心の底から______




…………………【大嫌い】



自分なんか【大嫌い】

好きなところなんて無い。

大嫌い、大嫌い、大嫌い、大嫌い、大嫌い

こんな、こんなにも甘ったれた『僕』なんか嫌い。

『僕』が求める『私』は強くて、誰でも頼れる『自分』



【もう嫌だよ、誰か。誰か、助けて。】



僕は、いつこの言葉を口に、声に出せるのだろうか。



───チクタクと時間は非情にも過ぎていく。

──速く、速く、言わなきゃ。

──間に合わない。



でも、声がした。まるで僕を嘲笑うかの声。

『汚い血と綺麗な血だね!綺麗な血は…キミのかな?!よし、決めた、キミは暫くボクのおもちゃ!』そうして血狂いと出会った。変人だが、彼は結構良い人。食べ物を拒んでも、『食べなくちゃ体が持たない!』と言い食べ物を無口に…まずかった。うん。ものすごおく。まずかった。言い表せない位。まずかった。

けど、彼の優しさが見える。僕に住む所を与え、本と言う娯楽を教え、食べる物を与え、服を与え、僕は感謝しきれなかった。

だけど、それもすぐに終わった。また、襲われた。襲ってきた人数も前とは桁違いだった。護る為、必死に殺した。きっと彼の性質が移ったのだろう。殺傷に、娯楽を覚え始めた。楽しくて、楽しくて楽しくて、僕は更に狂った。可笑しくなったのだろう。でも同時に、正義感も生まれた。

流石にこんな事がもう一回続くと僕の体はもたないし、血狂いにも悪い。

彼は『行かないでよ!お願いだよ…!こんな事気にしないのに…!君が居ないのは、悲しいよ!』と言ったが、僕はそれでも自分が許しきれない。

心に大きな尖ったナイフを刺して『また明日。』そう言い、去った。


それで、もう誰にも関わらないため、異国の地、オズの国の森の中にある古びた教会に住むことにした。食べ物を買うために街に行って、帰るときに、出会った。

その少年、チェシャ猫に。

『おーっとっー?誰に断ってこの森に入ってきた?ここはオレの縄張りだぜっー!ここを通りたければその手に持ってる袋の中の、さか…貢物でもぉ……っておいっ!!むしすんなぁっ!!』

ここに住んでもう一週間過ぎてるのに何を言ってるんだか、と思い、一つの事が頭をよぎる。裏切って、裏切られた、シロ君、血狂い…ああ、嫌だなあ。

だから『誰かと関わるのは嫌いです。』僕はただ一言、そう言い足を進めた。

そうして今、裏切られた。

あっは、滑稽ですよね。本当に。

バカみたいに大丈夫だと言い続けながらも、心の底では疑い、疑心暗鬼なまますごしていたら、案の寧、裏切られた。


嗚呼、なんてバカな自分なんでしょう。

踊り狂うピエロの様に、僕は滑稽で、惨め。



何を信じればいいの?

ならいっそ…開き直ればいい。

自分は誰かを信じるなんて到底無理だ。

だから僕は嘘を吐きます。

貴方を信じていると、貴方に嘘なんて吐いていませんと。


変わらなくていい。

それが()の在り方でしょう?


僕は僕らしく、正々堂々と嘘を吐こう。

信じられる誰かは、必ずいるから。


決めた。決めてみて、僕は…

きっと、ありきたりかもしれない。

バカみたいな話かもしれない。

だけど嫌なんだよ。

チェシャ猫に僕を殺そうとした理由があるなら、僕はその理由を壊す。彼の力になりたい。血狂いにしっかりと感謝して、シロ君にちゃんと改めて謝って、そして、僕は、僕を殺そうとしてる人たちを見つけ、その理由を問う。






      きっと、それが正しくなくても、

      その歪んだ道は、僕の道だろう。






その日、僕の中の誰でもない、“貴方”と言う思いが心の中に…



どうでしたか?

『Serious story』は…分かりますか?一応『深刻な物語』なつもりです。

突然ですが、時の流れは、はやいものですね。

なんだが、泣きたくなりますよ、いや本当に。




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