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過去の代償

(………咎)


その言葉に、由美は胸が締めつけられ苦しくなってきた。


由美は苦しくなった胸に手を当てるとエストへ視線を戻して質問した。


「その【咎】とは、一体なんですか?」


由美の言葉に、エストはニヤリと笑う。


「ほう、儂が伝えた事でお前に【咎】の影響がでているみたいじゃの」


「何故だか分からないけど………貴女が【咎】と言った後から、急に胸が苦しくなったの!何が起こってるの?貴女が何かしたの?」


「したと言ったら、どうするのじゃ?」


由美の問い掛けに鼻で笑うエストだった。

エストの態度に血が逆上した由美は、凄い勢いで殴り掛かった。

しかし、由真の拳は空振りで終わり由美は呆気に取られた。


「えっ?えええ!!」


いつの間にか、由美の背後に移動したエストが人差し指で由美の頭を突く。


「短気じゃなの〜お主は?」


「い、いつの間に移動したの?」


「お主に分るように、ゆっくり移動したのじゃが、お主には見えんかったようじゃの。まあよい、話をもどすぞ!」


腕を組み直し、再び偉そうに語りだすエストだった。


「もう一度確認するが、お主は胸が苦しいのか?」


「ええ、胸が痛いわ……」



「ふむふむ、ならお主は話を聞く資格があるようじゃの!」


「資格?」


「そうじゃ、儂達が犯した誤ち…その過ちが【咎】なのじゃ」


そう言うと、エストは淡々と語りだした。


「そう……あれは遥か昔のことじゃった。神話と言ってもよかろう…まだ地上に生物が存在しない時代があった。」


「神話?生物が存在しない?」


「そうじゃ!この星が出来て間もない時代じゃよ」


「はあ?…かなり過去にぶっ飛んだわね」


いきなり神話だの星が出来てすぐの時代だと言われて、どんだけ過去な話なのよ!っと心でツッコミを入れる由美だった。


そんな事を思われてるとも知らず、黙々と語りだすエストだった。


「で、その時代には神と呼ばれる創造主さまがおって、その下に5人の天使が使えておったのじゃ!ちなみにその中には、儂がおったぞ」


「創造神?はい〜?」


「む、その顔は信じてるおらんようじゃの!」


「いや、信じるもなにも話についていけないだけです!天使だけでも頭一杯なのに、創造神ですって?非現実すぎて信じられないわ」


現代っ子の由美には理解したくない内容だった。

神様など架空の人物としか思えない。

そんな由美をみてエストは溜息を吐く。


「全く面倒臭い奴じゃの!よかろう、儂が話すより直に見たほうが信じるじゃろ」


エステが由美に右手を向け光を放った。


「な、なに?」


由美の視界は一瞬、真っ白になった。



気が付くと由美は辺り一面が真っ白な雪が積もった場所にいた。


「こ、ここは何処なの?」


「あら〜気が付いたの由美?」


「お母さん?」


「どうも、私も呼ばれちゃったみたいなの〜」


由美の横には呑気な表現の美紗子が立っていた。


「ねぇ、私達どうなったの?」


「う〜ん。残念だけどね〜、私にも分からないわ〜!」


「分からないって……」


「でもね〜ご先祖様はあれを見せたいのかもよ〜!」


「あれって何?」


美紗子が正面を指差す。

由美は指差す方を見て驚愕した。



由美と美紗子の目の前で、四枚羽根の4人の天使と六枚羽根の天使が闘っていた。


由美と美佐子は気付いた。

四枚羽根の天使の中に知っている人がいた。


「あれはエスト?……どうして天使達が戦っているの?仲間割れ?」


目の前で起こっている戦いに、考え絡み追いつかない。

仲間割れ?

何故、エストは自分達にこの様な戦いをみせるのか?

いくら考えても答えは出ない。

そうしている内にも天使達の戦いは激しさを増していく。


「あの六枚羽根の天使……強すぎじゃない」


由美は天使達の戦いを見て、生唾を飲み込む。


4対1……普通なら誰が見ても圧倒的に不利な戦いとしか思えない。しかし、驚く事に天使達の力は均衡しているのだ。


5人の天使が己の激しい能力を使い辺り一面をクレーターにしていく。

しかし、不思議な事に飛び散る石が由美達に当たってもすり抜けてしまう。

目の前で行われている闘いはホログラムみたいなものだろうと2人は思った。


2人は黙って天使達の戦いをずっと見ていた。


……………



どれ程時間が過ぎたのだろうか?


均衡していた闘いに変化が生じる。


四枚羽根の天使3人が各々、物凄い気を放ち正面から己の武器で斬りかかった。


多分、残ってる力を振り絞った最後の攻撃なのだろう?


3人の攻撃を六枚羽根の天使は必死に攻撃を交わしていた。


六枚羽根の天使は3人の怒涛の攻めに守る事だけで精一杯だった。


「あっ!?」


由美が思わず声をあげる。


エストが気配を殺し六枚羽根の天使の背後へと回ると己の武器で胸を剣が貫く。


六枚羽の天使の行動が止まると残りの3人が一斉に己が武器で六枚羽根の天使を串刺しにし、白い雪を血で赤く染めるのであった。


「「!?」」


由美と美紗子は、余りにも悲惨な状況に目を背けた。



天使達の武器で串刺しとなって、今にも倒れそうな六枚羽根の天使の元へエストが駆け寄る。


「この馬鹿者が!!」


エストは涙を流し、今にも倒れそうな血だらけの天使を抱きしめ罵倒する。

そんなエストに血だらけの天使が寂しそうに笑い言った。


「ありがとう……そして、ごめんなさい」



血だらけの天使は、エストにそう呟いた。


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