子孫
お久しぶりです。
仕事が忙しく色々とあった為に、遅くなりました。
「その者は、儂の血を受け継いでおるわ!」
エストの言葉に皆が固まる。
……………
………
…
「えっ?…………えーーーー!?」
凛が大声を上げる。
凛の叫びに、由美達も我に戻る。
「ち、ちょっと一体どういう事よ!何で私が貴女の子孫なのよ?」
由美は、エストの言葉に混乱中だった。
確かに由美が混乱するのも分かる。突然、見も知らぬ者から「お主は儂の血を引いておるわ!」と言われれば、誰でも驚くだろう。
驚ている由美達とは対照的に、にこにこしながらエストは目の前の由美に話しだす。
「お主……確か……由美と申したか?」
「そ、そうだけど……」
「ならお主でよいわ!お主は天羽の一族の始まりが、天使って事は知ってるか?」
「う、うん。その事なら聞いた事がある。」
「なら、説明しやすいのじゃ」
「?」
「儂絡みの話しなのじゃが、お主達にも深く関係してくるのじゃ!だから心して聞いて欲しいのじゃ」
「……うん」
「儂はある契約に縛られておっての、その契約の内容は天使を護ることじゃ」
「…………」
エストは主語なしのアクセル全開トークを始めだし、由美を混乱の渦に叩き落とすのだった。
出始めから、苦痛の顔の由美。
そんな由美など、お構いなく話を続けるエスト。
「その契約が厄介での、何故か天使の子孫も護る対象になってるのじゃよ………一体、儂が何をしたっていうのじゃ!儂の人生を何だと思ってるのじゃ!!全くやっておれんわ!!」
エストは腕を組みプンプンと怒りながら、一人愚痴をこぼし始めた。
愚痴をこぼすエストに全員が(うわー)と思い引いた。
「そこで儂は考えた!真面目に、その契約を守っておったら、儂の大事なプライベートな時間がなくなると!こんなサービス残業みたいな事が許させてたまるか!儂はブラック企業に一生捧げないといけないのか?儂だって、愛しの我が家でコーラとポテチを飲み食いしながら、買い溜めしてる漫画(BL)でも読みたいのじゃ!」
「………」
契約より、自分の時間が大切だと言い張る貴女にガッカリだよ!と思う由美だった。
「だ、か、ら、儂は自分の大切な物を守る為に必死に考えたのじゃ!」
「な、なにを考えついたのよ?」
かなり、ドン引きな由美は仕方なく訪ねる。
由美の質問に、ドヤ顔で胸を張って答えるエスト。
「よくぞ聞いてくれた!儂は自分の代わりを創ればいいと考えついたのじゃ!」
「「「「……………」」」」
みんな呆れて何も言えない。
しかし、エストの喋りは止まらない。
「天使だけでも、凄く大変なのに天使の子孫まで護るとなると胃が痛くなるわ!」
「ご、ご愁傷様です………」
「ん?ありがとう。で、儂の子孫が護るなら、契約を違反しないんじゃないかなと思って、試しに子供を作ってみたのじゃよ!」
((((そんな理由で子供を作るな!!))))
全員が全く同じ事を思った。
しかし、ここで期待を裏切らないエストの必殺トーク。
「先に言っとくが、べ、別に子供なんて欲しいとは思わなかったわ!!………で、でも、出来た時は嬉しかったのじゃ………//」
少し頬を赤くして、モジモジしながら、話の最後の方をボソッと言った。
((((誰も聞いてない!それに、そこでデレるな!!!))))
今、ここに四人がの意思が、かつてない程一致した。
「………な、なにを儂に言わせておるのじゃ!話を戻すのじゃ!」
エストは口に手を当てて、コホンと咳をする。
((((もう、何も思わないし、ツッコまない………))))
四人はそう思うのだった。
「まあ、儂の子に使命を言い聞かせて、天使の子供を護らせてきたのじゃが……儂の予感は的中して、契約違反の罰が下らなかった!儂は余りの嬉しさで、テンションがMAXになっての、思わず能力を暴走させてしまったのじゃ!気が付いたら自分の周辺の地形が変わっておった………てへ//」
((((が、我慢よ、我慢!!………ツッコンだら負け………))))
必死に堪える四人。
「てな訳で、儂の子供の子孫がお主達なのじゃ!」
エストはドヤ顔で言った。
((((さっぱり分からん…………))))
四人は同時に首を傾げた。
断片的に何となく理解した由美だった。
しかし、エストが先祖?納得がいかないので、エストに質問する。
「嘘でしょ?そんなの信じられないわよ!それに、その話が本当なら貴女は、何歳なの?それに天使の仲間なら、貴女も天使のなの?」
由美は疑問に思った事を全て言った。
「五月蝿い!お主ら質問が多いわ。」
「貴女が、ザックリと話すからよ!」
エストは面倒くさそうに言うと、由美は素早くツッコミを入れる。
(((あっ?ツッコミ入れた………)))
由美以外の三人はそう思った。
三人の事は気にせず、エストと由美の話は続いていた。
「兎に角、嘘ではない!これだけ話して信じないなんて、本当に儂の子孫なのか?」
「だって…………胡散臭いもん」
由美は聞こえないようにボソッと言ったが、地獄耳のエストにはハッキリと聴こえていた。
プチッ!
由美の言葉に、エストは静かに怒る。
「もうよい……そこまで信じてもらえないなら、これならどうじゃ?」
エストはゆっくりと右手を突き上げると、由美を見て笑う。
「ウフフ。初めからこうすれば良かったのじゃ」
エストは右手に能力を集中させると、ドス黒い靄が現れて右手を覆う。
「お主に我慢できるかの?」
独り言のようにも聞こえるエストの言葉に、由美は眉間に皺をよせ身構える。
「なにをする気なの?」
「あは、あははははは!!」
突然、エストが狂ったように大声を出して笑だすと、右手を覆っていたドス黒い靄がどんどん広がりだした。黒い霧はエストの身体を覆いオーラとなった。
オーラを纏ったエストの周辺で黒い稲妻がスパークし始める。
エストの周辺に現れた黒い稲妻に共鳴するかのように、急に由美と美佐子が苦しみ始めた。
「クッ!!!!!」
「い、痛い!!!ウ、ウヮァァァーーーーー!!!」
由美と美佐子の右手から、エストと同じ黒い稲妻が現れた。
二人とも黒い稲妻を放つ右手を左手で必死に抑えるが、想像以上の痛みに悲鳴しかだせない。
「も、もう、止めてぇぇぇぇ!!」
余りの痛さに涙を流しながら、由美がエストに叫ぶ。
「ん?もうギブアップなのか?」
エストはつまらなそうな顔をして、由美を見つめる。
涙を流し何度も頷く由美。
「ふう……よかろう!」
エスト突き上げていた右手を下ろし、スパークしていた稲妻を消す。
すると、由美と美佐子の右手から発していた稲妻も同時に消えて、痛みが引いた。
「どう?これで信じてもらえたかの?」
エストは、座り込んで未だ右手を抑える由美に笑いかける。
「はあ、はあ、はあ……信じます。」
息を切らせ、自然とエストに敬語で答える由美だった。
「どうだった?儂の【咎】の共鳴は?」
「【咎】の共鳴?」
由美は、エストの言った【咎】という言葉に何故だか胸が締めつけられる感じがした。




