旅は道連れ(後編)&貴女は?
時間の都合で短いです。
「わ、私が?そんなの………嘘?」
自分が喋ったと、信じられない陽子であった。
「ううん……美沙子さんが言ったように、お母さんが零さんに話したのよ!」
美沙子の言う事を信じない陽子に、凛が事実を伝える。
「そんな……私……全く憶えていないわ………」
放心状態で立ち尽くしている陽子に、凛は側に寄るとソファーへ誘導して座らせる。
そして、陽子が落とした携帯を拾うと、話しだした。
「初めまして零さん。私は寛子お姉ちゃんの妹の凛と申します!」
『えっ!?寛子さんの妹?』
「はい、そうです。」
零は何かの悪戯だと思った。
陽子に聞いた話しを思い出した。
『そんな………妹さんは………昔に亡くなった筈です……』
「はい、確かに私は死んでますよ!」
凛はあっさり認めた。
『え、ええーー!?』
「何が問題でもありますか?」
『いや、いや、大アリだろ!何で、死んでる妹さんが、携帯で普通に喋ってるんだよ?』
「それは、一時的に生き返ったからです!」
『………言ってる意味が分からん!!』
凛の言っている意味が全く分からなくて、頭が痛くなる零だった。
「あの〜大丈夫ですか?」
心配そうに凛が話かける。
『大丈夫そうに見えるかい?』
「うーん………見えませんね!」
『だろ!陽子さんが話した事にしろ、君の存在にしたって意味が分からないんだよ!それに陽子さんは、一体どうしたんだい?』
(急に携帯を落として、美沙子さんと何が話していたのは少し聞こえたが、何を話していたんだ?)
さきほどから、電話に出なくなった陽子の事を心配する。
「お母さんなら、大丈夫です!」
『しかし、陽子さんが言った事が気になるし、君の事だって……一体、どういう事なんだい?』
「それに付いては、ちょっと……今は話せないので、時期が来ましたら説明します。だから、先程のことは気にしないで下さい!」
『しかし………』
「今の零さんに早い内容なので、分かって下さい!………初対面で失礼な事を言って、申し訳御座いません。」
零に失礼な事を言ったことに対して、謝る凛だった。
『それは……今の俺では、役に立たないからかい?』
「そ、そんな事は…………」
『図星だったみたいだね!分かったよ………もし俺が儀式を受けて、今よりも強くなったら、話してもらうよ?』
「…………はい」
『約束だ!では、俺は準備があるから、これで失礼するよ!それから陽子さんに、親父には伝えると言っといてくれ!』
「………伝えときます。」
『ああ、頼んだ。じゃあな!』
「待って下さい!」
『ん?どうかしたのかい?』
「その……何も聞かないでくれて、有難う御座いました。」
『その事か………別にいいよ!でも、儀式を成功させたら……分かってるな!』
「はい、その時は何でも聞いて下さい!」
『ああ……沢山、質問させてもらうよ!じゃあな!』
「失礼します。」
プッ!!
凛は携帯を切ると大きく溜息を吐いた。
ソファーを見れば、放心状態の母親とそれを介護している美沙子の姿があった。
由美は、色んな事があり過ぎたせいで腕を組んで悩んでいる。
(酷い………全く困った方ですね!)
凛は、横を見ると誰もいない場所に話しかけた。
「一体、どういうつもりなんですか?」
由美も美沙子も、凛の誰に話してかけたのか、分からなかった。
「ねえ、凛ちゃん?誰に話して掛けてるの?」
由美が凛に訪ねると、凛は自分の横を指差した。
「この人にですよ!いい加減、姿を現して下さい!気配を殺してもダメですよ!」
怒鳴るように凛が叫ぶと、誰もいない場所から声が聞こえた。
「ふむ、もうバレてしもうたか!」
「「「!?」」」
凛以外の三人が、その声を聞いて驚く。
パキッ!パキパキッ!!
突如、空間にヒビが入り、硝子のように破れると大きな穴が空間にできた。
すると、空間の中から腰まである長い金髪を揺らしながら、真っ白いワンピースを着た青い瞳の少女が姿を現したのだ。
余りにも美しい少女の姿に、由美は思わず見惚れてしまった。
「あ、あ、あ、貴女は………」
陽子が少女の正体に気付いた。
「久しぶりじゃな元気だったか?陽子よ!」
が、陽子に向かって手を振る。
そんな少女を見て、凛が再び溜息を吐いた。
「やっぱり、貴女の仕業だったんですね!………エスト様!」
何時も読んで下さり、有難う御座います。
次回は仕事の都合で未定です。
なるべく早く更新しますm(._.)m
これからも宜しくお願いします。




