44話
「今気が付いた!梯子は外と中、どっちにも必要なんだ。そうしないと入ったはいいけど出れなくなるってね!」
はぁ、面倒くさ。
「待ってよ」
構わず塔へと歩く。
「なんでついてくる」
「だって出れないし」
石畳を歩いて塔の正面に立つ。確か、魔方陣だ、その上に乗れば中に入り込むことができるはずだ。
「なんで魔方陣が2つもある」
魔方陣のあるところの塔には笑っている顔のでかい石像がある。もう一つのほうまで右回りに塔を歩いていくと同じように石像と魔方陣があったが、その石像は怒っていた。
「知らないの?魔方陣は4つあるんだ」
「なに?」
さらに塔を右回りに歩いていくとまた石像と魔方陣があって今度の石像は悲しそうな顔をしている。そしてまた歩いていくと楽しそうな石像だった。つまり円柱の塔を4分割したところにそれぞれ像と魔方陣があるのだ。
魔方陣の上に立つことまでは聞いていたがどれに乗ればいいのかはわからない。普通であればこの塔には兵士が常駐しているからそいつらが説明するのかもしれない。それにしても立て札くらいあってもよさそうなものだが、ぐるっと一周している間にそれらしきものは見当たらなかった。
「教えてほしい?」
子供がニヤニヤしながら顔を近づけてくる。
「また金か」
「今回は特別サービス、ただでいいよ。4つのうち1つ目は帰ってくるときのための魔方陣、2つ目は最初からスタートするときの魔方陣、3つ目は前回の続きから始めるときの魔方陣、4つ目は何も反応しない魔方陣」
「ほう、最初からの魔方陣はどれだ?」
「こっからは有料サービスだよ」
うぜぇ。
「金は今もってないと言ってるだろ。ほら、飴玉やるから早く教えろ」
「飴玉ってそんなに子供じゃない!」
「いいからほら」
「なにこれ袋じゃん」
ああそうか。
「その中に入ってるんだよ」
「え!?一個づつ袋に入ってるの?」
「そうだ超高級な飴玉だ。お前には特別に3つくれてやろう」
「いいの?」
「ほら、そのギザギザになってるところを前後に引っ張るんだ」
「こう?あっ!」
力を入れ過ぎていたのか飴玉は地面に一直線に向かっていった。
「おっと」
けれど子供の手は落ちるよりもずっと早かった。
「危なかったー」
空に放り投げて口でキャッチする。
「うわ!なにこれシュワシュワする」
「超高級品だからな」
ウソだが。
「お前けっこう身軽だな」
「でしょ、逃げ足だって自信あるよ」
「いつも逃げ回ってるのか?」
「全然、そんなことない、そんなこと一回もないよ」
「それならなんで自信あるんだよ」
「いやーまーそれはーっていいでしょどうでも。それより早く行こうよ」
「どれに乗るんだ?」
「怒ってるやつのところ」
「間違いないだろうな」
「だいじょうぶだいじょうぶ。っていうか乗らないでよ。乗ったら本当にダンジョン塔の中に入っちゃうよ」
「乗る」
「ちょっとまってよ、観光客じゃないの?」




