29 目的
謁見が終わったあと、再度マップを表示したが、彩夜が動いていない。
謁見した時間は、三十分はあったはずだ。相当眠っているか、気絶しているのか?
脱出しないとな。魔封じの手錠は、ステータス補正を全開にすれば壊れるからいいとして、問題は全スキルを使えなくしている、《封印》だ。
多分ユニークスキルだと思うが、どうユニークスキルを解くかだな。解けないと思うけど······
嬉しいことに、見張りはいない。マップを表示して見てみるが、このフロア自体に人がいない。
魔封じの手錠と牢屋を破壊して、出る。
王城だから、変な仕掛け無いよな?無いと信じようか。
謁見した時は目隠しをされていたから、どのようなルートを通っていたのか分からない。
手当り次第、と言いたいが黒剣が無い。全魔法も使えない。出来ないことだらけだから、慎重に行かないとな。
「ハハハ、本当に出てくるとはね」
後ろを振り向くと、人がいる。サクラ十家の人で間違いなさそうだな。戦闘は避けないといけないんだけどなー。
「無罪の人を牢屋に入れるのは、そちらの流儀でしょうか?」
「ハハハ、国王陛下に敬語を使わない人が、無罪とかちょっとないんじゃねーか?」
「俺がいつ暴言を言った!」
口だけでどうこうなる話じゃないよな。なるならとっくに解決してるもんな。
幸いなことに、サクラ十家の人は後ろにいる。十メールる先には、階段。
俺は全力で階段に向かって、走る。が、腱が切れていることを忘れていて、その場でコケる。
「ハハハ、レン・シノノメ馬鹿だなー」
カツン、カツンとどんどん近づいてくる。俺の冒険はここで終わりか······
「勝手に諦めるの、辞めてくれる?あんたが死んだら、私が主に怒られるんだから」
俺とサクラ十家の間に突如入ってきた謎の女性。
この人、誰だ?会ったことも無いし。彩夜が助っ人を呼んだのか?でも、動いてないし······
「話は後、逃げるよ」
次の瞬間、俺と女性は上空にいた。
「えっ?はっ?嘘だァァァァァ!?」
どんどんと高度を下げ落ちていく。この人も、サクラ十家の人だったのか?
「私は勇者パーティの一人、ニーナ・エノベルと言うよ!これから宜しくね、レン・シノノメ」
勇者パーティ?彩夜が前言っていた知り合いって、勇者パーティだったのか!
「そんなことはどうでもいいですから、落下するのを止めて下さい」
「君のレベルなら、たえれるでしょ!」
「限度ってものがありますよ!」
落下速度はますます速くなり、地面が見え始めている。
ニーナ・エノベルさんはずっと笑っていて、地面に衝突する気満々だ。
流石に耐えれないな。HPがどれだけ高くても、全身の骨が折れて肋骨が心臓を突き刺すだろう。
さよなら、いろんな人達。
「《止まる》」
ニーナ・エノベルさんがそう唱えると、俺とニーナ・エノベルさんが止まっている。
三秒位経ったらステンと落ちた。
「あー楽しかった」
「こっちは全く楽しくないですよ」
少し平衡感覚がおかしいが、ニーナ・エノベルさんに質問をする。
「彩夜が読んだのですか?」
「まずはそこから説明するか。うん、レン・シノノメ君、君が言う通り、私達はサヨ・モチヅキちゃんに呼ばれて君を助けた」
「そうですか······」
勇者パーティを動かしたのか。百二十年生きてるのは伊達じゃないな。
些細な質問は省いて、本題を聞くとするか!
「俺を助けたってことは、意味があって助けたんですよね?」
「そうだよ!君が捕まっていると、世界の均衡が壊れるからね」
世界の均衡が、壊れる?俺ってそんなこと出来るっけ?
いやいや、できない。あ、でも、種族を魔神にすれば壊せるか!でも、このことを知っているのは、自分だけだしな。どっから漏れたんだ?
「サラム王国は君を軍事利用して、戦争を一気に終結させようとしていたんだよ」
ありえない。俺はサラム王国に加担する理由が無い。
仮にも、彩夜が人質で囚われたとしても、拷問自体、全部回避されるから無理のはずだ。
それとも、サラム王国は、ユニークスキルを無効にする方法でも見つけたのか?見つけたのなら、こっちが教えてもしいな。
「話は走りながらしよっか。こっちにも時間が無い」
「分かりました」
こうして、俺は勇者パーティの1人と走ることになった。
間に合った。




