表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コレは俺の真実の物語だッ  作者: 鴉野 兄貴
よっつめ 第三の男
26/35

鉄の女

○月○日

ハルカナルがまだ迎えに来ない。

女王との『バトル』がひと段落した。この世界では王の号令がかかってから下々に行き渡るまで時間がかかる。

うちの国との戦争行為がすべて終了との報告をうける。


○月△日

なんか知らないが、女共がアホほどいる。女王の親戚一同らしい。

殺す気か。いい加減返してくれ。これならカゲロウのほうがまだ独占欲が強いだけましだ。


△月×日

『順位』がかってに決められているうえ、俺の体力に合わせたプランが出来ていて笑えない。

というか、いい加減国に帰せ。


△月○日

アレ以外は暇なので体力が尽きたら勉学に励むようになった。

仕事だけすれば外出可能になってきたのであちこち見て回る。

王家の馬なし馬車なるものを見て驚いた。どうみても自動車だ。

操作を教えてもらうがハンドルのところにあるスイッチの使い方がいまいちわからん。

車の右左の部分がピカピカ光るだけで効果不明。

女王曰く、曲がる前につけると事故を防げるらしい。よく出来ている。


 今日は農作業のコツを教えてもらった。

なるほど。カゲロウが思いつきで色々抜かすなと言う理由が理解できた。

俺は王として足りないものが多々あるようだ。反省する限りである。


△月×日

鍛冶や職人の真似事をやってみる。これは重労働だ。

滑車を作ってみるがうまくいかない。大昔に科学館で見た奴が再現できたら女の子でも大きなものを上げ下げできるのだが。

やっぱり色々なことをしっかり勉強しておくべきだった。痛感する。


■月○日

国に帰るのもそうだが、日本は今どうなっているんだろうか。あの子は元気だろうか。

交通事故から庇って死んでいる側からすれば元気でいて欲しいが。

結局貞操は護れませんでした。申し訳もございません。



■月×日

女共をなんとか篭絡していったおかげで自由度は増えたが。

お前等暗闘やめろ。マジで辞めろ。この世界では男は魔物にして子作りの道具でしかないことを痛感する。


……。

 ……。


「よう。真。元気か」「ハルカナル。お前、今更迎えにきやがって。絶対お前は死刑にする」

久しぶりに特使として派遣されてきたハルカナルとスバルを見ながら俺は不満をぶちまけた。


 周囲には半裸同然の女どもがウヨウヨ。

俺の動向を睨みつつ、お互い激しく視線をバチバチ。正直食傷気味である。

「あの変態女は」「ああ。快適に暮らしてもらっている」マジでアレが快適に暮らせて俺がこんな目に会わねばならん理由が。


「何年か前にお前のワガママを受け入れてやった俺に何か言うことはないか」「マジ御免なさい。帰りたいです。マジで」


 ハルカナルとスバルはニヤリと笑いあう。

「当面、帰らなくていいんじゃね? お前モテメン目指してたじゃん」「シン。カゲロウが男の子産まれたから帰ってこなくていいって言ってたよ」

マジか? でかした……と。言って良いのか悩むところだが。


「シンのことなんてまったく心配して無いぞ。天に浮かぶ輪にかけて心配していない。欠片もシンのことなんて考えていない。他所の国の王族のモノになった奴のことなんて知らない。知りたくも無いし真のような愚か者の事を聞くだけでも不愉快だし耳に入れたくも無い。シンの考えていることなんてまったく興味も無いし……」「おい。ハルカナル」俺はたまらず彼の台詞を遮った。

カゲロウの奴が目の前にいるかのように彼は話す。


「あんな愚かでどうしようもなくて、世話がかかる上に恩知らずで、身分も卑しく……」


 延々と言葉を続けるハルカナルに問う俺。「まだあるのか? 」

この男、他人の言った台詞を一言一句全て記憶する特技を持つ。

「あと、5分ほどあるが……全てお前に対する愚痴だな」「……」

あの女、どれだけ嫉妬深いんだ。マジで。

シズルも大概嫉妬深かったが、カゲロウほどではない。何処で間違えたのだろうか。


「まぁ。それはとにかく。俺たち同盟結ぶことになったから」「はぁ」

「お前の仕事は三倍増える」「マジか……」


「男が三人に増えたから楽になると思いきや。水鏡の奴が頑固で困る」あの女面。シリアルキラーだしな。


 俺は女王と二人を人気の無い部屋に連れて行って告げた。

「ミオを暗殺しよう」結構マジで。


「言うと思った」「まぁ気持ちはわかる」

呆れるスバルとハルカナル


 「無理ですわ」と女王は言ってのけた。

「暗殺者十人をあっさり返り討ちにしました」なんじゃそれ。

「毒も病気も効かないようです」「ああ。あいつは健康優良児だもんな」いや、変態だろ。


「そもそも。私がミオを暗殺すればレイを独占できると考えない筈が無いでしょう」確かに。

「あの女ナニモンだよ」「さぁ。変態に見えるが」「剣闘士出身の私より強いわね」「私も出て行ってくれてホッとしました。レイを連れて行かれたのは痛かったですが」

バカなやり取りを交わす俺たち。同盟を結んで最初の相談が水鏡の奴の恋路なんて情け無いにも程があると言うモノだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ