地獄の黙示録
こんにちは。久しぶりだな。俺は絶体絶命のピンチである。
ぐにゅ。あ。すまんスバル。
既婚とはいえまだうら若き美女である。
彼女がその美貌もわからぬほどボコボコにぶん殴られて伸びているのは理由がある。
炎のなか、大斧を持ってニヤリと笑う娘。
お前はターミネーターかよっ?!
俺と遥以外はボコボコにされて全滅。死んでいないのが不思議。
レイ? アイツはあっさり白旗揚げて観戦している。あとでボコられるのが確定。
「さて。どうしようかなぁ」ニヤリと笑うミオを見ながら、俺たちは苦笑い。
「まて。はなせば解る青春後期」「どこの目薬の宣伝よ」
あと、私はバリバリ青春だからと抜かす娘は巨大な斧をぶん回す。
「峰うちにしてあげるから安心しなさい」「いや、死ぬ」遥。お前も同罪だ。
ミオとレイのやつをくっつける俺たちのたくらみはあっさりミオに露呈して、
何がどう間違えたのか戦闘に発展した。バカにもほどがある。
「取り押さえようにも滅茶苦茶強い」「十人掛かりで勝てないとか」
本当に人間かよ。この女。そもそも巨大な斧を楽々振り回す時点でおかしいのだが。
「そもそも、お節介なのよっ?! 」
人とびで10メートル近くを跳び越してきたミオの一撃を辛うじて『風鳴』で防ぐ。
風鳴でなければ押し切られてそのまま風鳴の峰で俺は死んでいた。
「私の斧が斬られるなんて」やるじゃん。そういってヤツは拳を構えた。
「遥。素手はお前の仕事だ」「ヒグマのほうが嬉しいな」マジかよ。
「いっくわよ~! 」楽しそうに微笑むミオ。本当に楽しいんだろうケド。
「は~い」「は~い」やる気なさそうに応じる俺たち。レイは我関せずと茶を啜っている。
素手で俺と遥を圧倒するミオ。本当に人間か。
「はいっ 」掌が胸に乗ると「ドムッ 」と音を立て、俺の身体が木の葉のように飛んだ。
嫌そうにミオと殴りあう遥だが、形勢不利。
「あ」「? 」「? 」
「オヤツの時間だ。レイ。オヤツ出して」「……」「……」
レイはニコリと笑うと睡眠薬入りのお菓子を出した。
「……」「……」「……」「……」
あっさりぐーすか眠る娘を見下ろす俺たちを尻目にレイは優雅に茶を飲んでいる。
どう見ても女だが、コイツを女呼ばわりすると酷い目に遭うのは既に解っている。
「ああ。その。気持ちは嬉しいけど。これはこれで気に入ってるから」
いや、マジで身を固めて欲しいんですけど。俺と遥がそういうと彼はにこりと笑った。
「まぁ。ね」
夕日を受けながら、茶を飲む其の姿はビックリするほど決まっていた。




