表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

393/526

必勝の策とは?

「でっ、騎手は?なぁ副長、もう決まってるんだろう?教えてくれたっていいじゃねぇか?」

「鬱陶しいやつだな、左之っ!邪魔だ、どいてくれ」

 昼下がり、集落をあるく土方に、原田がまとわりついている。

 土方は、蝿を追い払うかのように自身の体躯のまえで掌をひらひらさせた。

「まだ決めちゃいねぇ。ついでにいうと、走る馬だって決めちゃいねぇ」

 つれない土方に、原田はおおげさに溜息をついた。

「「鬼の副長」が、まだなんの()もたてちゃいねぇだと?そんな馬鹿なことがあるもんか。必勝のが練り上がっているはずだ」

 原田の推測を背に受け、土方は脚を止めた。原田は、すんでのところでその背にぶつかるところだった。

「褒めてくれてありがとよ、左之?」土方は、体躯ごとくるりと振り返ると、長身の原田をわずかにみ上げた。

「おめぇ、まさかスー族の人たちから金をせしめようってんじゃねぇだろうな?」

 声量こそ落としたものの、声音に凄みがきいている。

こんにちはハロー』『やあハイ!』

 スー族の人たちが、通りすがりに二人に声をかけてくれる。

 土方も原田も、そのたびに笑顔で挨拶をかえした。


「なにいってる、副長?おれがそんなことするわけねぇだろう、ええ?」

 原田もまた、声量を落としていいかえした。

「これはただのお披露目だろう、え?おれたちの連れてきた馬を、スー族の人たちにみせるだけだろ?」

「ほう・・・。やけに殊勝なことをいいやがるな、左之・・・。神様たちが圧勝するのをみ越し、金を賭けさせる算段でもしてやがるとでも思っちまったぞ」

「ふーん、じゃあやはり、神様方はだすんだ」

 土方をわずかにみ下ろす原田の男前ハンサムな相貌に、「してやったり」とでもいうような不敵な笑みが浮かんだ。


 そして、いま一つの男前ハンサムな相貌にもひらめく、不敵な笑み。

「なら、ついてきやがれ」

 そういい捨てると、土方はとっととあるきだした。

「ええ?どこにいくんだよ、副長」

 その背を、慌てて追いかける原田。


「な、なんだって?あんたアー・ユー正気か・クレイジー?」

 てくてくあゆんだすえに、あゆみがとまった先は・・・。


「クレイジー・ホースと取り決めたんだよ、左之。おれがスー族の代表を、クレイジー・ホースがおれたちの代表を、それぞれ決めるとな」

 土方の二枚目イケメンは、「してやったり」とでもいうかのような尊大な表情ものになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ