76話 ロックvsヴァパール
「ふふ、貴方お見受けしたところ、かなりお強いですね」
「ああ強い、お前も相当できるな」
「ふふ、どうも」
睨み合うヴァパールとロックはお互いの力量を褒め合い始めた。
なんだろう、直感だけどこの2人は似た属性の人な気がする。
そういう奴等が戦ったら最終的にお互いの事を好敵手とか言い出しそうだな。
「ゆくぞ!龍人よ!」
「来い!人の子!」
そうしてヴァパールほロックへ突っ込んで行く。
あれ、アビリティは?
『ズン』
そうしてヴァパールはアビリティとかギフトスキルとかを使うことなくただ単純に左腕を前に出してロックへと体当たりをした。
そうしてそれを右腕で受けるロックにもアビリティを使っている気配がない。
この2人……もしかして。
「やっぱり強いな」
「ええ、お互いに強いですね」
「アビリティは使えるか?」
「ええ使えますよ、でも使う必要はないですね」
「ふっ、そうだな」
ヴァパールはロックがアビリティを使わない旨を伝えるとニヤリと笑いそう答えた。
やっぱりアビリティは使わない感じないなのね。
てかまずいな、なんかあの2人自分達の世界に入り込んでいってないか。
「あのぉオルクス様」
「どうしたアリア?」
俺が2人の戦いを見ていると、アリアが話しかけてきた。
「今、あの自己愛に溢れる不細工はロックに集中していてこちらに注意が向いておりません」
「お、おう」
自己愛に溢れる不細工か。
あまりにも強い言葉だな、これ聞こえてないよね。
もしも聞こえてたら1週間くらい立ち直れないよこれ。
「ですので、その隙をついてあの不細工めに私の一撃ぶつけたいと思います、よろしいですか?」
「……ちょ、ちょっと待ってね考えるから」
確かにアリアの言う通り今は攻撃を与える最大の好機だろう。
でもいいのだろうか、あのお互いを好敵手として認め合いつつある2人の間に水を刺すような一撃を加えてしまって。
うーん……やろう。
どうせ倒すんだし誰がやっても変わらんだろう、すまんなロックよ。
「うん、やっていいよアリア」
「ありがとうございます、では早速、アビリティ発動、鉄血一矢」
そう言ってアリアは鉄血でできた矢を作った。
「それでは、死ぬ不細工」
『ドギュン』
そうして矢はアリアから放たれて、まっすぐにヴァパールへと向かった。
よしこれでまずは1人。
「ふんッ」
『キンッ』
「なっ!防がれた!」
ヴァパールへ命中する寸前でマルクスにより矢は防がれてしまった。
「いやいや、やらせないだろうよそれは」
「そう甘くはないか」
マルクスはそう言うとニヤリと不敵に笑った。
マルクスは少し戦ってわかったが、かなりタフだ。
こいつになら【魔鏡】ぶつけても死にはしないだろう。
「すみませんオルクス様、防がれてしまいました」
「いやいいよアリア、それよりティアナを連れて少し離れててくれ」
「わかりました」
そうしてアリアはティアナの方へと駆け寄っていき、そのまま連れて行ってくれた。
よしこれで気兼ねなくやれるな。
「オルクスよ、さすがだな女を逃すとは」
「まぁ、巻き込みたくないからね、アビリティ発動【魔鏡】闇夜雨山」
『ゴゴゴ』
俺はアリアとティアナの位置を広域知覚センサーで把握し、2人に被害が及ばないよう規模を抑えて【魔鏡】を発動させた。
「ふっ、流石に使えるか」
「お前はどうする、使うのか?」
「いや俺には使えん、ヴァパールなら使えるがな」
「そうか、手加減はしないからな」
「それは嬉しい、全力でこい!」
そう言ってマルクスは構えた。
さて相手的にも、条件的にもあれを試すいい機会だよなこれは。
『チャキッ』
そうして俺はレーバテインを鞘から抜いた。




